ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Feb 10, 2008
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カテゴリ: 映画、テレビ
「Eyeこそはすべて」

 突然の発作により左目以外の全ての身体機能を失ってしまった男の話。そういうあらすじだけを予備知識として映画を観たけど、見事な手法で映画化されてたのには嬉しい驚き。
 題材としては、号泣系の感動巨編に仕立てることもできたのに、敢えて一人称で淡々と事実や空想を語らせたり、海のいろいろな表情を映したり、押し付けがましくない描写のしかたが、かえって心に染みる。

 今年の米アカデミー賞で、この作品が、監督、脚色、撮影、編集部門で候補に挙がってるというのも妙に納得。

divingbell.JPG
www.chou-no-yume.com

 寝たきり患者という難役を、 フランスの三上博史 こと(?)マチュー・アマルリックが熱演。ほか、脇を固めてる役者も上手い。なにより女優陣がみんな美人。

 左目のまぶたの動きだけで意思を伝えるという気の遠くなるような作業にもめげず、イマジナシオン(想像)とメモワール(記憶)を一冊の本にまとめ上げてしまう主人公。


 潜水服と蝶 the Diving Bell and the Butterfly という比喩も渋い。身動きがとれないまま深海にどんどん沈んでいくという人生なんて確かに恐ろしい。そして、そんな彼が夢見るのが小さな蝶のはばたきというのも健気。

 なんとなくチェロ奏者のジャクリーヌ・デュ・プレの生涯を思い出したりもして。

 一度きりの人生、いったい何が起こるかわからない。
 つまらないことでクヨクヨしたりイライラしたりするのって、ほんとに時間の無駄だと改めて思う。この映画の主人公のように、ある日突然意思疎通の手段を失ってしまうこともありうるわけだし。
 日常生活においても、感謝の気持ちとかは、照れずにその場で本人に伝えるようにしといたほうがいい。

追記 : 映画のなかで、唐突にバッハのカンタータBWV156「アリオーソ」(アモローソ? アリエール ?)が流れる。強引な選曲かと一瞬思ったけど、観終わった今になって、なんかじわりと効いてくる。





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最終更新日  Feb 12, 2008 02:37:33 PM
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