ほんやく☆こんにゃく

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ちゃしー

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April 20, 2008
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カテゴリ: 翻訳
さて、空飛び猫 第1作目、第2章。

第2章は、子猫たちが住んでいた町を出てから森に到着するまでの旅についてのお話です。


(英文)As Thelma, Roger, Jamers, and Harriet flew on, all they could see beneath them,
     mile after mile, was the city's roofs, the city's streets.
 (訳文)セルマとロジャーとジェームズとハリエットは空を飛びつづけましたが、目に映るものと
     いえば、行けども行けども都会の屋根、都会の通り、それだけです。
 ( 私 )セルマ、ロジャー、ジェームズ、ハリエットは飛び続け、何マイルもの間、下には町の
     屋根と通りしか見えませんでした。

  私の訳は、直訳ですね・・・
  1冊を通してずっと、「訳が硬いな~」と思っていました。でも、それを柔らかくするには
  どうしたらいいのか、まったくわからず・・・。


(英文)"What kind of birds are you, anyways?" it finally asked.
 (訳文)「ところで君たち、なんていう種類の鳥なのかな」と鳩は考えあぐねた末に尋ねました。
 ( 私 )「とりあえず、なんていう鳥なのさ?」とうとうハトは尋ねました。

  これは、子猫たちに出会った鳩が、しばらく子猫たちを眺めまわしたあとに話しかけて
  いる場面です。


  言葉の意味はちゃんと理解できるんです。
  鳩がおかしなものに遭遇して困惑し、話しかけようか迷ったけど、気になるから話しかけて
  いる、そんなかんじ。
  でも、それをうまく表現する日本語となると・・・


(英文)"Sitting in the catbird seat!" sang Harriet, perphed on a pinnacle.
 (訳文)「これはぬくぬく、らくちんだ!」とハリエットはとんがり屋根のてっぺんに腰をかけて
     歌いました。
 ( 私 )「てっぺんもーらい!」ハリエットは楽しそうに、塔のてっぺんに降り立ちました。

  これも、第1章の例と同じように、自分で訳文を創作してしまいました。

  「sit in the catbird seat」:訳注に書いてあったのですが、これは英語の熟語
  なんだそうです。
  意味は「ろくに努力もしないのに、高い裕福な地位にいて、のうのうと暮らす」
  というかんじ。
  私はハリエットが「catwings」を「catbird」と言い換えただけかと思ってしまい、

  なので私は、ハリエットが、イス取りゲームみたいなかんじで、教会の尖塔のてっぺんを
  自分の席にしたのかな、と解釈してしまったのです。

  「sing」:これは「歌う」ですね。これも、楽しいかんじを「say」ではなく「sing」で
  表現したのかな、と思ってしまいました。

  「perch」:これは「腰をかける」という意味です。ここでも私は、飛んできて着地する


  1つの文で勘違いが3つも重なり、出来上がったのはまったく違う訳。
  「あれ?と思ったところはきちんと調べる」
  「単語の意味をきちんと反映した訳にする」
  この2つは多分翻訳の基本で、すごく大事なことなんだな、と思いました。


(英文)They were slept for a while in a weary, furry heap.
 (訳文)子猫たちはもうくたくただったから、しばらくのあいだ、みんなで折り重なるようにして
     ぐっすりと眠りました。
 ( 私 )くたくたになった4匹はそこでふわふわの毛玉の固まりになってしばらく眠りました。

  「in a furry heap」。これも、どう訳したらいいのか困ってしまったところです。

  みんなでひとかたまりになって眠ったんだろうな、ということはわかったのですが、
  そう訳してしまうと、せっかく「furry heap」という言葉から伝わってくるフワフワ
  したかんじが消えてしまう気がして。
  なので、「ふわふわの毛玉の固まり」と訳したのですが・・・。
  見返してみると、変ですね
  「ふわふわのボールみたいにひとかたまりになって」とかなら良かったのかな~。

  でも、訳書ではフワフワなかんじが全然表現されていないところが気になります。
  著者はべつにフワフワにこだわってこの単語を使ったわけではないのかな?


(英文)"I think it's dinner," he said.
 (訳文)「こいつはどうやら夕御飯のおかずになりそうだぞ」とロジャーは言いました。
 ( 私 )「夕ごはんだよ」彼は言いました。

  これは、森の小川ではじめて魚を見たときのセリフです。

  訳文と私の訳をくらべてみると、私の訳では「I think」が反映されていないようです。
  場合によっては私の訳でも当てはまると思うのですが、魚を見るのが初めて、という
  背景を考えると、私の訳では「I think」を軽く扱いすぎたかな、と思います。

  「翻訳する英文だけでなく、その背景を踏まえて日本語にする」って、こういうこと
  なのかな、と思いました。



 もう1つ。
 昨日、第1章で書き忘れたことがあって。
 以前の日記で、空飛び猫に出てくる「fly-by-night」の意味が分からない、という記事を
 書きました(記事は こちら )。

 Wikipedia(英語版)で意味を調べると、
 「fly by night」=「軽蔑の意味を持つ言葉で、短期間やその場つなぎの仕事をして
 町を渡り歩いている人のこと。仕事がいいかげんで、依頼主や警察から逃れるために
 夜逃げをすることもある」

 空飛び猫の訳注に載っていた意味は「腰が軽くて、落ち着きがなくて、調子が良くて、
 すぐに雲隠れするような人」

 意味はまあまあ、同じです。
 ですが、出てきた訳は全然違ったんです。

(英文)"I suppose their father was a fly-by-night"
 (訳文)「そりゃ、この子たちのお父さんが、飛びまわって遊んでばかりいるような人だった
     からだよ」
 ( 私 )「父親は夜逃げしたんだと思うわ」

  私の訳では、翼と父親のあいだにはぜんぜん関係がありません。
  著者が「fly」と翼をかけたことはおそらく間違いないので、それが分かるような訳に
  するべきでした
  「街から街へ飛び歩いている人」とか。
  (これでも訳文とは全然違いますが、参照した「fly-by-night」の意味そのものがちょっと
  違うので、そこは大目に見ます☆)

  「原文に忠実に」って、意味が同じだけではないんですね。
  比喩、しゃれ、リズムなど、いろんなことに気をつけないといけないんだな、と思いました。





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Last updated  April 20, 2008 06:50:47 PM
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