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2014.06.06
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カテゴリ: 科学と教育
このままじゃイノベーションなんかできっこない1

「委員会」と「変な人枠(仮称)」の問題点
総務省のホームページを見ると、この委員会の議事録が委員提出資料とともに公開されている。せっかく、総務省的には「イノベーション=社会経済変革」と正しく問題提起して委員会を設置したにもかかわらず、それが各委員に浸透していないせいで、第一回から、富士通研究所の事例とか、パナソニック研究所の事例、とか出てくる。これらの事例は「成功例」なの?それとも失敗例なの?委員の方々は、メンツもあるので、これらを「たくさんお金をかけたけれどもイノベーションが出なかった失敗例」とはしたくないだろう。だが、世間の客観的評価ではどうなのか?

そんなこんなで、膨大な回数の会議が行われ、相当な量の資料が回覧されたこの委員会であるが、途中から、「解決すべき課題=2030年ごろのわが国の重要課題」というように議題が誘導されていき、中間報告書を経て、「今後重点的に取り組むべき技術課題」というように議論が集約された。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000285974.pdf

おかしいなあ、へんだなあ 。初期のころの議論には、「イノベーションには多様性、流用性を念頭に進めること。」「一昨年、米国のインキュベーターを回って現場のマネージメントを見てきた。日本はこの機能が弱い。特に出口戦略は、出口をしっかり固定するというよりも技術がぶつかり合う場をどのように日本国内で作っていくのが大事なことかと思う。」など、Piyotaがdスクールやmedia lab事例から学んだことと同じような、それらの重要性を指摘する意見があった、のに(第一回資料より抜粋)。

どうして途中から、「我が国の重要課題を絞り込む」というバリバリ固定化された出口指向の話になり、さらにそのことに委員が違和感を唱えない、みたいになっているのだろう。

最終的に、「独創的な人向け特別枠(仮称)」の公募要領に、「ICT分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦する人を支援する」とはあるが、「我が国においては、研究開発等による成果を社会経済変革(イノベーション)につなげることが強く求められている」のくだりはなくなってしまっている。募集する人材は、
技術課題に挑戦する個人(Inno)
だそうだ。これは、innovation / inventionの用語を厳密に使い分けるのならば、"inventor"に該当するんだが。一体いつどの時点で議論がすり替わったのだ?それとも、イノベーション創出委員会委員はinventionについても議論していたのか?

我が国の施策における問題点
さて、イノベーションはわが国では言葉の定義があいまいで、その意味に対する共通の認識が確立していないので、議論に参加する委員がその場のフインキで好き放題話せる便利なワードであることがわかった。わが国の高等教育において、真の意味で、30年後、50年後に通用するようなinventionを推進するための施策が年々細ってきているのはご存知の通りである。だから我が国の科学的施策において innovation人材育成と同時並行的にinvention人材育成・inventor育成のための教育研究資金・予算を切に手厚くしてほしいのである。そのために必要な施策こそが、「本当に変な人の支援・保護活動」、「社会の雑音と雑用から隔絶された研究に集中できる環境の整備」だと思うのだが、それは、産業界と財務省からのバッシングにより骨抜きにされた。

結論
用語を正しく使って、その上で成功事例に学ばない限り、日本版イノベーション人材育成は大失敗に終わる可能性がある。 特に、inventionとinnovationの誤用をすべきではない。 なぜなら、それぞれに向いた人材の育て方が根本的に異なるからだ。おそらくinnovatorを育てる施策に、inventorの素質のある者を入れても、おそらく育たない。

しかしイノベーション創出委員会はもう一つ面白いことを示してくれた。企業からの委員の多いこの委員会が委員会の名称を逸脱してまで最終的にまとめた結論が、「inventorを育成したい」というのは、これは企業に潜在的にinventor需要があることを示しているのではないか。 それだったら communication能力皆無、納得いかなければ上司のいうことにも従わない、同僚との協調性もない、 PhD所持者をもっと雇用したらいいのに 。彼らは、その意味では十人が十人「変な人」なんだから。

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最終更新日  2014.06.06 11:14:20
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