教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

PR

×

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
February 27, 2006
XML

私は出版社のPR誌というのが割に好きなんですが、今は岩波書店の『図書』とちくま書房の『ちくま』を講読していて、毎月の月末から月初めにかけてこの2冊が相次いで郵送されてくるのを楽しみにしているんです。で、今日は『図書』の方が届いたので、夕食後、ベッドで横になりながら、この小冊子をぱらぱらとめくって、あちこち拾い読みしていました。

すると今月号には林望さんの「この書もしありせば:『完本 日本料理事物起源』を読みて」という小文が載っているじゃあーりませんか。お、リンボウ先生か、と思って真っ先に読み始めたのは言うまでもありません。

で、もちろんこのエッセイ自体はとても面白く、私も川上行蔵という方が書いたこの料理の本が読みたいな、と思わされたわけですが、しかし、その中に私にとってはとてもショックなことが書いてあったんです。

なんと、秋刀魚という魚を一般の人が食べるようになったのは明治の頃からで、それ以前は、「魚中の下品也」とされ、魚油を取るための原料にこそなれ、人が食べるものではなかった、というんです。

ガーン・・・。秋刀魚・・・。僕好きなのに・・・。君は「下品」な奴だったのかい・・・。

秋刀魚というと、現在では秋の味覚の代表の一つだと思いますし、それこそ佐藤春夫の「秋風よ 情あらば 伝へてよ ――男ありて 今日の夕餉に ひとりさんまを食らひて 思ひにふけると。さんま、さんま、そが上に青き蜜柑の酸を したたらせて さんまを食ふはその男が里の ならひなり」のように、詩にも歌われるような風物であるわけですけど、江戸時代以前には秋と秋刀魚が結びつけて考えられるようなことはなく、それどころか、秋刀魚について言及されている文献・文学作品が極端に少ないんだそうですね。で、それは先に言いましたように、人さまの口に上るものではなかったからなのだとか。ふーん。そんなもんですかねぇ。私なんぞ、焼き魚の中で一番好きなんだけどな、秋刀魚の塩焼き。

リンボウ先生によれば、件の川上行蔵博士も「さんまの大群が日本近海に来れば漁らぬはずはない。漁れば食べないことはないと思うが、記録のないのはどうしたことであろうか」と書いているとのことですが、食い物になるものがある、ということと、それを食べる、ということの間には、案外大きな隔たりがあるのかも知れませんな。たとえば日本人の感覚だと「犬」は食べ物の中に入ってないですけど、犬を食べる民族は世界には結構いますからね。

そう言えば19世紀のアイルランドでジャガイモの大凶作が続いたことがあって、随分多くの人が飢え死にしたり、アメリカへの移住を余儀なくされたりしたことがあったんですが、彼らだって海に囲まれた民族なんだから、魚を取ったりすれば死ぬようなことはないんじゃないかと思うのは間違いなのであって、当時のアイルランド人にとって「鮭」以外の魚は食べ物じゃなかったんですってね。ましてや貝だとか海草なんてのは、ネズミとかミミズみたいなもので、それを食うくらいなら人間やめた方がいい、というようなシロモノだったのだとか。貝好き、海草好きな日本人としては心外な話ではありますなあ。

ま、もちろんそういう話は他にも色々あって、タコやイカを食べたがらない民族は多いですし、ウニとかナマコを食べる民族はそう多くないですよ。身近な野菜で言えば、ゴボウを食べる民族って日本人くらいなもんです。今、中国あたりでさかんにゴボウが栽培されてますけど、あれはすべて日本への輸出品ですから。



しかし、まあ、自分がおいしいと思っているものを人から「こんなもの!」と言われるのは嫌なものですから、私は「人間の食べるものは、すべておいしい!」と見なし、内心苦手な食べ物であっても、それに対して拒否反応を示すことはしません。それは下品な振る舞いだと思いますので。

ですから、その裏返しで、秋刀魚のことを「魚中の下品也」なんて言われると、傷付きますなあ。こら! 江戸時代の人たち! 焼きたての、油のジュウジュウ言っている秋刀魚にジュバっと醤油をかけ、ぎゅっとスダチでも絞って、大根おろしと一緒に食べてみなさいって。考えが変わるから。

あー、秋刀魚、食べたくなってきた。干物でいいから食べたい。秋刀魚の干物も、美味い奴は美味いですからねー。そうだ、家内に頼んで、明日あたり秋刀魚の干物でも焼いてもらおうかな。菜の花のおひたしでも添えれば、きっと季節外れの感じも少しは薄れるでしょう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 27, 2006 11:05:16 PM
コメント(5) | コメントを書く
[おいしいもの好き!] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


テッポウムシ  
釈迦楽さん、ごぞんじですか?
木曽の山中では、カミキリムシの幼虫を刺身にして食するようです。上トロにも似た芳醇な甘みとうま味が最高の珍味だそうですが、なかなかそんな機会がありませんね。
そういえば、ニューギニアでも昆虫食があたりまえ、タンパク質は虫から、、とか。
ゴキブリなんかもおいしくいただいているそうで、考えようによっては、海のシャコなんかもかなりな格好してますなぁ。 (February 28, 2006 03:19:36 AM)

Re:テッポウムシ(02/27)  
釈迦楽  さん
Mike23さん
カミキリムシの幼虫を食べる習慣はフランスにもあるらしく、『ファーブル昆虫記』にその記述があります。
 それによると、まず幼虫を1日、2日絶食させて腸の内容物を全部出し切ってから串に刺し、軽く塩・胡椒して焼くらしいのですが、焼きたての幼虫は「上等のソーセージのよう」で、やや厚めの皮をプチっと噛み切ると中から芳醇な味わいの肉がとろけ出るのだとか・・・。ファーブル自身、最初は幼虫の見た目に食べるのを躊躇ったらしいですけど、一緒に試食に行った盲目の友人が舌の感覚だけに神経を集中させ、おいしそうにこの「幼虫ソーセージ」を食べているのを見て、勇を鼓して食べてみたのだそうですけど、「うまかった」そうですよ。
 ちなみに、『ファーブル昆虫記』が長く読み継がれているのは日本だけで、本国フランスではファーブルの名前さえ知らない人が多いといいます。本もまた、「その本を読む民族」と「読まない民族」に分かれるのでしょうかね。
  (February 28, 2006 10:24:30 AM)

料理法によりけり?  
実は私も「なまこ」「ほや」は食べたくない方です。けっこう食べず嫌いのものもありますが・・・
でもその好きでない「なまこ」も「茶ぶりなまこ」にすれば食べられます。普通「なまこ」は切ってそのままポン酢で食べますが、どうも私は臭みみたいなものを感じてだめなのです。「茶ぶりなまこ」とはほうじ茶で霜降りするのです。全然臭みも感じないし、違和感がありません。まあだからといって大好物にはなりませんが・・・ちょっとした料理法により変わるので、やっぱり和食は奥が深いです。 (February 28, 2006 03:17:26 PM)

Re:料理法によりけり?(02/27)  
釈迦楽  さん
夢見るペチャさん
ほう、ほうじ茶で・・・。うーん、日本人は臭味の抜き方に関して、ちゃんと智恵を絞ってあるんですなあ。さすが、日本料理は奥が深い。・・・にしても、私は生きている時のなまこの形、というか、存在自体に恐怖しているので、やっぱり食べるのは厳しいかなーーー!! (February 28, 2006 05:26:19 PM)

幼虫刺身  
釈迦楽さん
日本では生のまま、輪切りにするようです。
焼くのでも、あまり焼きすぎないのがポイントでしょうね。フォアグラもそうですから。

 先日おすすめのワイン、白もなかなかおいしかったですよ。 (March 1, 2006 10:27:35 AM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

俳諧の鼻祖山崎宗鑑… AZURE702さん

残暑が続くが ゆりんいたりあさん

YAMAKOのアサ… YAMAKO(NAOKO)さん
まるとるっちのマル… まるとるっちさん
Professor Rokku の… Rokkuさん

Comments

釈迦楽@ Re[1]:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) ゆりんいたりあさんへ  いやあ、メッシ…
ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
釈迦楽@ Re[1]:S師範と稽古(06/11) はちみつ先生へ    こちらこそ、有意義…
はちみつ@ Re:S師範と稽古(06/11) 先日の稽古、大変勉強になりました。 あり…
釈迦楽 @ Re[3]:柔術のコツが少し分かってきた気が・・・(04/23) はちみつ先生へ  引っ越し、思っていた…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: