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September 23, 2011
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カテゴリ: 教授の追悼記



 今でこそ「バーコード系」のヘア・スタイルとして何か言われそうな感じですけど、柳生博さんなんかもそうですが、以前はああいう髪型の俳優さんって結構いたし、それぞれよく似合ってましたよね。杉浦さんもあの髪型が実によく似合っていた。それにあの人は目の力が凄くて、そこから俳優らしいオーラが出ていた。

 テレビでのお仕事では、私の世代にとっては『岸辺のアルバム』が印象的ですが、もう一つ、NHKの単発のドラマで『今朝の秋』だったかな? そんなタイトルのドラマに出ていた時の杉浦さんの演技が素晴らしくて、私もよく覚えています。

 劇の上では50代半ばくらいの設定だったと思いますが、働き盛りの年頃の杉浦さんが癌に侵されて余命いくばくもない、ということになる。ところが、それまで家庭を顧み見なかったせいか、倍賞美津子演じる妻とは疎遠になっていたもので、死ぬことへの恐怖を分かちあってくれる人さえいないという状況になるんですな。まあ、男ってのは、会社ではそこそこの役職にもついて威張っていられたって、いざこういう状況となれば実に情けないものでございまして、杉浦さん演じる男も、死の恐怖に脅かされて、無様にのた打ち回るわけ。

 そこで笠智衆演じる父親が登場して、一人息子の苦悩を汲み取る役を引き受けると。

 で、杉浦さんが人生悲観しきって、「もう俺はダメだけど、死ぬ前にもう一度、蓼科の秋が見たかったなあ」みたいな弱音を吐く。すると笠さん演じる親父さんが、「じゃあ蓼科に行こう」と言う。で、病院に入院していた杉浦さんを、ほとんど拉致するみたいに連れ出し、タクシーで蓼科に行ってしまう。

 で、蓼科についた笠さんと杉浦さんが、父と息子、男二人で話をするんですけど、このシーンが良くてね。杉浦さんが「お父さんはすごいな」としきりに言うわけ。「まさか、いつ死ぬかもしれない僕を連れ出して、本当に蓼科まで来ちゃうとはね」なんてね。

 すると笠さんが言うわけ、「お前は死ぬ死ぬって言うけど、誰だって死ぬんだ。お前だけが死ぬわけじゃない」と。で、それに対して杉浦さんが、泣き笑いしながら「そうか、そうだよね。みんな死ぬんだよね。お父さんには参ったなあ・・・」なんて。

 確かそこで場面は切り替わって、杉浦さんはもう死んだことになるんだったかな。



 それから、杉浦さん自身にも責任があったとはいえ、最後まで尽くせなかった妻の倍賞美津子が、申し訳なさそうに笠さんに挨拶するシーンとかも印象的で、その辺の人間模様もよく描かれていた。

 人が死ぬってことは、その時点までに色々たまっていたツケを全部払わなきゃいかんことでもあって、本人にとっても周辺の人たちにとっても大きな意味を持つことなんだな、ということを実に上手に描いた、いいドラマでした。笠さん、杉村さん、そして杉浦さんと、役者も揃っていましたしね。

 その杉浦さんが、本当に癌で亡くなってしまった。寂しいことでございますよ。いい役者だったのに。

 俳優らしい俳優がまた一人、日本から居なくなりました。杉浦直樹さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。





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Last updated  September 23, 2011 06:55:51 PM コメントを書く
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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