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June 6, 2015
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カテゴリ: 教授の映画談義
 1974年に作られたブライアン・デ・パルマ映画『ファントム・オブ・パラダイス』を観ましたので、心覚えを。以下、ネタバレ注意ということで。


 主人公ウィンスローは、スター性こそまったくないものの、作曲のセンスは抜群で、悪魔に魂を売った博士をテーマにした長大な組曲『ファウスト』が完成間近。しかし、その完成度の高さに気づく人はおらず、レコード会社との契約などは夢のまた夢。

 ところが、それに気づいた奴がいた。それが大手レーベル「デス・レコード」社長で、かつては自身も大スターだったスワン氏。彼は、デス・レコードの稼ぎ頭だったグループ「ジューシー・フルーツ」の賞味期限がそろそろ尽きかけていたこともあり、また「パラダイス」という自前の劇場を建設中であったこともあって、新しい才能を探していた。で、ウィンスローこそ求めていた才能だとは認めるのですが、しかし、彼にはまったくスター性がない。そこで、ウィンスローが作曲した未完成の『ファウスト』組曲の一部を奪う一方、息のかかった警察官を使ってウィンスローを麻薬売買の容疑をかけて逮捕させ、シンシン刑務所に送りこんだばかりか、刑務所内でウィンスローの歯を抜き、すべて銀歯にしてしまうことで、今後どうあっても表社会で活躍できないような容姿にしてしまう。そしてその間、「パラダイス」の杮落しの準備を着々と進めるわけ。

 しかし騙されたことに気づいたウィンスローも黙ってはいない。彼はシンシン刑務所を脱獄し、デス・レコードに単身殴り込みをかけるのですが、暴れている間に誤ってレコード・プレス機に顔を挟まれる事故に遭い、彼の顔は無惨に焼け爛れてしまう。彼はその焼け爛れた顔を仮面に隠し、他ならぬパラダイス劇場に隠れ住む怪人となると。

 一方、パラダイスの杮落しの日が近づき、リハーサルが繰り返されているのですが、怪人となったウィンスローによりジューシー・フルーツの面々は爆死。そこで、スワン氏は一計を案じ、ウィンスローと正式な契約を結んで、ウィンスローが前々から見初めていた新人女性歌手・フェニックスに彼の歌を歌わせることを条件に、ロック・オペラ『ファウスト』の楽曲を完成させて提供することを約させる。ウィンスローは半信半疑ながら、フェニックスのことを思い、必死で曲を完成させるんですな。

 ところが、やっぱりこれがスワン氏の策略だった!

 スワン氏はウィンスローの楽曲が完成するや、その楽譜を奪うと、ウィンスローを劇場内の作曲部屋の中に生き埋めにしてしまい、フェニックスではなく、「(ドラキュラの出身地)ペンシルベニアから連れてきた」という触れ込みでデビューさせた「ビーフ」率いるクイア・バンドにウィンスローの歌を歌わせることにするんです。

 で、その策略に気づいたウィンスローは怪人パワーを発揮して監禁されていた部屋を脱出、パラダイス劇場のプレ・オープニング公演でパフォーマンス中の「ビーフ」を殺害。その騒動の中、ビーフに代わってソロを歌ったフェニックスが一躍注目の的となる。

 しかし、それはウィンスローの望みでもあったと同時に、スワンの思うツボでもあったんですな。



 なぜスワンはそれほど邪悪なのか?

 実はスワンは、かつて自分自身が大スターだった頃、年齢と共に自分の容貌が衰えていくことに絶望し、自殺を試みていたんですな。そこへ悪魔がやって来て、永遠に衰えない若さと引き換えに、彼の魂を悪魔に売り渡す契約をするようそそのかし、スワンはその契約書に血のサインをしてしまった。しかもスワンは、先にウィンスローと契約した際、自分とウィンスローの寿命が同期するような条項を盛り込んでいたんです。だから、ウィンスローはスワンを殺すことができない。もし殺せば、自分も死ぬのですから。

 しかし、愛の力は強かった。ウィンスローは自らの命を顧みず、フェニックス狙撃を阻止した上でスワンを殺し、そして自らもスワンと共に死ぬ。そしてそれを見たフェニックスは、ウィンスローこそ自分の真の恩人であったことを知る・・・。


 ・・・ってなお話。こう説明していると、何だか深刻な話のようですが、これ、むしろギャグ映画ですから、実際はかなり可笑しい話になっております。


 で、この映画に対する私の評価は、と言いますと・・・


 「86点」でーす! 高評価! かーなーりー面白い!


 筋書きからも分かるように、『オペラ座の怪人』『ファウスト』『ドリアン・グレイの肖像』などのエッセンスをうまく組み合わせながら、スワンを演じているポール・ウィリアムズ(=超有名なミュージシャン)自身の楽曲によるロック・オペラそのものが秀逸。しかも、デ・パルマ監督の映像美学が素晴らしく、映画にしかできないセンスのいい映像美が横溢していて、ストーリー進行のテンポもすごくいい。『サイコ』など、過去の名作映画からの引用・パロディもそこここにあって楽しめるし、個々の俳優もそれぞれいい仕事をしていて、冒頭から最後まで一気に観させます。

 例えば映画版『ルパン三世』に登場する「マモー」のモデルがスワンであることからも分かるように、この映画に影響された日本のアーティストやクリエーター、文化人も多く、まさにカルト映画の名に恥じない傑作。映像のセンスから言うと、スタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』にも一脈通じるような、すごい作品だと思います。

 ただ、これは洒脱な映像センスそのものを堪能する映画であって、内容で人を感動させる類の映画ではない。ということで、映画評論家の中には『ファントム・オブ・パラダイス』を自分にとってのオールタイム・ベストの映画だと明言している人もいるようですけれども、私はそこまでは高評価はしないの。私にとってのオールタイム・ベストは、やっぱり今も『ゴッド・ファーザー』かな。

 でも、とにかく抜群にセンスのいい、面白い映画であることは確かですから、未見の方には教授の熱烈おすすめ! と言っておきましょう。



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Last updated  June 7, 2015 06:45:31 PM
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ゆりんいたりあ @ Re:スペイン優勝、そして早くもW杯ロス(07/20) 釈迦楽さん、 ご無沙汰しております。 お…
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