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森の中の海

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2005.02.12
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カテゴリ: 人考察
11日の朝,日本でのボランティア仲間,M君の告別式に参列した。

享年24歳。

とても若い死。



実は彼とは,一度しか会った事がない上に,ほんのちょっぴりしか言葉を交わしたことがない。

1年半ほど前,ある地域で行った子供フェスティバルで,仲間10人ほどでピエロになって参加し,他の催し物を行う人々と供に祭りを盛り上げたのだ。

衣装も友人達で作り,顔にもペインティングを施して丸一日,会場である学校内をそれぞれの持ち場にしたがって,行ったり来たりした。

M君は,車椅子に乗っての参加だった。

当時,車椅子生活の理由すらも知らなかった。

ただ,彼のきらきらしたやわらかなオーラにひかれた。



あ~,この子,すきだなぁ (*^。^*), と。


それに,身体的障害を背負って暮らす人達に,私はひとしおの尊敬を抱く。

そんな難しい課題を選んで産まれてくるなんて・・・と。

自分自身の不自由さと取り組まなければならないことについては言うに及ばず,彼らに関わる周囲の人達にも何らかの深い影響を及ぼす,稀有で高潔な魂として。


そして11日。

棺桶に横たわるM君。

会ったのは,やっと2度目。


訃報を知ったとき,私はカナダを出る日の朝で,そんな距離にありながらも,可能であるなら参列したいと,迷いもなく強く思った。

しかしふと我に返り,一回しか会った事がないのに出向くのはおかしいのかな?と躊躇する。

M君のヘルパーをしていた,共通の友であるY君に後押しをしてもらうかたちで,参列させてもらうことにした。

それになんと言っても,カナダから戻った翌日なのだ。



呼ばれているとしか思えない。 (例によって,思いこみ?)



M君と彼の家族は,オオネズノなんとかさんという神様を心の支えにしており,告別式はそれにのっとって行われた。

白袴を着けた神主さん(とお呼びしていいのかな?)や,進行係の方々が,M君の御霊が健やかに心の世界へ逝き,また生まれ変わった時には,今世でやり残したコトをひきついで生きるでしょう。 そして残された人々が彼の魂を通して生を感謝することを・・・と,とうとうと述べる。

いいお話だった。

が,式途中で,違う,これはM君の言いたいことじゃない。 空中のどこかから聞こえる。





なぁに~?

何を言いたいの~?  o(°°)o ホヨ?


そのまま式は進み,信主(喪主)であるお父様が,M君に向かって話をされた。

「産まれてきてくれてありがとう。
障害を負いながらも,精一杯前向きに生きる姿を見せてくれてありがとう。
次に生まれ変わるときには,健康で自由に動き回れるといいね。」

なんて愛情深いご両親なんだろう! 


でもまだ,「ちょっと違う?」という気がする。  まだ言われるべきことが言われていない。


そしてさらに式は進み,お父様が今度は来場者への謝辞を述べる。

遠目にもわかる,随分枚数のある原稿を手にされている。


M君は,3歳で筋ジストロフィーと診断され,小学校5年生時より車椅子生活を余儀なくされた。

友達に恵まれた彼は,地元で小中高と進み,大学へも進学する。

自分に障害があることをばねに,障害者だからこそ活動できる,と福祉関係へ進もうと決意し,さらにそのフィールドを掘り下げようと大学院へも進学。

ボランティア活動も始める。

しかし,大学院在籍中に参加した研修旅行から帰ると,M君はがらりと人が変わってしまった。

旅行中に,先輩にあたる人物から,心と体に深い傷を負わされてしまったという。

お父様は,「虐待」を受けた とおっしゃっていた。

学校の教授に相談をするも,さらに心無い言動に終始し,傷はいっそう深まった。

M君の病状には,いつかお別れが来ると,家族全員で覚悟をしていた,けれどこんな形ではなかったはずだと。

無念であると。


(先述したY君から,「無念の訃報です。」 と知らせを受けたとき,仏教用語のそれとして受取り,M君自身の寿命をおおらかに全うし,安らかに往生したのだと思った。  けれどどうやらそうではないらしい。)


そしてお父様は続ける。

虐待を期に,前向きだった彼はふさぎがちになり,果ては自分を攻めつづけ,対人恐怖症にも陥ってしまった。

弱りきってしまった心は,以前のように不自由な体を支えることはできず,この1年半で病状が一気に悪化した。


けれどM君はそんなつらい状態でありながらも,その経験から心のありかたの大切さを繰り返し語っていたそうだ。

そして,障害がある人達もない人達も,お互いに気持ちよく,やさしく助け合って生きていける世の中にしてゆきたいと言っていたという。

友人たちと徐々に,また笑顔を取り戻しつつあった時の急逝だった。




M君の志の高さが,私の琴線を思いっきり揺さぶる。




君の人柄と,心に光を持つその信の深さに,たった一度しか会ったことのない私も強くひかれ,お別れにも参加させてもらったのだね。

ほんの一瞬だったけれど,出会えて光栄でした。

ありがとう。

君の魂が安らかにあることと,君の思いが一人でも多くの人の心を照らすことを,心の底から願うよ。

*合掌*  





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Last updated  2005.02.18 22:15:19
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