rainywoods2001

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2010.03.15
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自然に数学的秩序がある あるいは読みとれる というのは実に不思議な話です。

理系オンチの素人の私めがそう思うばかりではなかった

物理学者や数学者でさえも しばしば そういう感慨をもらしているのに
でくわします。
特に観察からつみあげた数学ではなく 物理学へ応用されることなど
まったく想定せずに 独自に創られていたある数学が ピタっと物理学世界に
あてはまってしまうような時には なんでこんなにうまくいくのか
とゾワーっとしてしまうそうです。

数学的秩序といっても 素人には物理法則はなかなか理解がむつかしいけど、

因果関係を含んだ物理法則は 時間の次元をいれた数学的パターンだと思えば
わかりやすいが 波 なんていうのも相当へんなパターンですね。 

「自然界の秘められたデザイン 雪の結晶はなぜ六角形なのか? 」イアン・スチュワート
のような ヴィジュアル的にわかりやすい 自然のなかの数学的秩序を
扱った本はいろいろありますが なぜ?という冒頭の疑問には応えてくれない。
イアン・スチュワート も不思議がっていて 一応 人間もいろんな秩序をもつ自然の一部なんだからそういうパターンが理解できるのは当然なんだろう と納得できない短い答え。


数学って 頭の中にあるけど 脳みそそのものという自然にあるわけでは
ないですね。自然という経験世界からは独立している。それがなんで
自然のなかにあるのか。 自然の中にあるわけではなくて やっぱ頭の中にある
としかおもえんけど いずれにせよ 一致するのはなぞ。 
おおまかとはいえ 科学法則は現実に成り立っているようです。


こういう疑問に応えてくれそうな 科学哲学というものを ひっくりかえしても
なかなか 解答は見つかりませんでした。

ところで 現代の科学哲学に重要な役どころをしている 大昔のヒューム
という人がいる。帰納法的検証では科学法則の正しさは証明されない、という

科学観をおおきくかえてしまった。
ニュートン物理学全盛期の哲人、ヒュームに応じたのが カントですね。
実は 科学哲学の教科書には 不思議となかなか名前が大きくでてこないんですが
カントこそ おそらく 冒頭の疑問に答えをだそうとしていた
科学哲学者だったんたんだと ようやく気がつきました。

いろいろカント本をあさるうち
黒崎 政男の「カント『純粋理性批判』入門」にでくわした。
この 前書きに感動。
黒崎さんが 子供のころ アポロ宇宙船の月着陸があったそうだけど
そこころから
なんで 人間の考え出した数学みたいなもんの結果が 月や地球の運行と
ピッタリ合うのか、という 冒頭の疑問をずーーと持っていたそうである。
永井均なんかもそうだけど 子供のときの素朴な疑問を育ててるのが
いいですねえ。
で 自分の疑問は 途方もなくおろかであり、なんら問うにあたいしないのか
と思いかけていたところ。
カントの「純粋理性批判」のテーマ、
「ア。プリオリな綜合判断はいかにして可能か」という
難解な表現で問われているのが
実は その素朴な疑問のことらしい と気がついたそうです。
いやー 同士ですなー。

以前も見たことがある本だったけど そのときは
もう半分のテーマである 形而上学批判のほうに目がいっていた、
科学哲学を一応目をとおしてから見ると
ほんとに カントは現代的科学哲学者です。
ポパーの科学と疑似科学の線引きとか
につうじることを もうやっているし、
科学とは 自然それ自体のなかの真理を探究するものではない
という 今の構造構成主義のはしりでもあるわけだな。

さて 冒頭の問いへのカントの答えは略。
いまや カントの解説書は よりわかりやすいものが
 たくさんでているので。
自分では
人はなまの自然をそのまま見ているわけではなく
数学秩序が成立するような側面だけをを 
あらかじめに無意識に自然から切り取っている
のではないだろうか とか ぼんやり考えていたわけですけど
あたらずとも遠からず、みたいです。
ま カントの答えで 疑問が消えたわけではないですけど。
ますます不思議というほうが あたってる。

やっぱ 哲学って 自主的に芽生えた愚問に応えている人が
どっかにいるもんだなと思いますね。
科学音痴の人には この ヒューム やカント の時代が
ニュートン物理学に圧倒された時代なので
けっこう ピッタリくるのでおすすめ。





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Last updated  2010.03.15 18:35:51
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