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Sep 18, 2011
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カテゴリ: 会社時代
Cupid and/or Pierrot

山の手線の電車に乗っている。
椅子席は満員であるが立ち席はまばらである。
美しく背が高い、髪はStraightで長く、皮膚が透明の女性が立っている。
皮膚が透明なのは、日焼けをしない体質もあるが、やや病気がちでもあるようだ。
「深窓のお嬢さん」とは、彼女に似合う言葉である。
そのそばに、ややみすぼらしい学生のような小生が立っている。
女性と小生の関係は、子と親のような言葉の契約関係がありそうである。
彼女は、東京に住んでいるのに、街のことはあまり知らない。

田舎ものの小生の方が観光地・東京は知っている。

「これから君に紹介したい人がいるから、次の駅で降りよう」と言った。
背の高い女性は、ハイヒールを履かない。
小生に気兼ねしているかのようである。
緑の濃い森から夏の涼しい風が吹き抜けていくのを感じながら、大きな門のある家の前に立つ。

呼び鈴を押すと、いつもにこやかな、上品なお母さんがでてきた。
この家には、泊めていただいたことがあるくらい世話になっている。
「ご紹介したい人をつれてきましたが、先輩はいらっしゃいますか?」というと、先輩が出てきて、「君たちか。上がりなさい。」という風になった。

もちろん、先輩は小生達を知っている。
なぜなら、先輩は、会社の硬式テニス部のマネジャーであり、小生達は部員である。
このことがあって間もなく、上品な奥さんから、「息子に、よい嫁を紹介いただきまして。」と心から嬉しそうに、挨拶された。


さて、司会は、先輩と大学同輩、あのハワイアンバンドのウクレレ・ボーカリストであった。
言うのを忘れたが、彼女もレイがよく似合うウクレレ奏者であった。
先輩の父親が社長をしている関係で、司会者は次々と、お偉方を紹介していく。
ボーカリストである以上に、饒舌な司会と、素晴らしいSpeechが続いた。

何の打ち合わせもなく、司会者は、それでは、本日の「Cupid」を紹介しましょうという。

先輩のお母さんは、にっこりと、こちらを見ている。
「やばい。」とあがってしまった。
折角の雰囲気を壊さないように、先輩の人柄、彼女の人柄など、思いつくままに並べたが、何をしゃべったのか憶えていない。
とにかく、言えるだけ、知っているだけ、最上の文句を並べてみたようだ。
よく映画で、結婚式に恋人を奪っていく役柄の俳優をみるが、小生のような、どぎまぎした「キューピッド」の役柄は見たことがない。
まるで、Pierrot そのもののようだった。

先輩と彼女は幸せに暮らしているようだが、それ以降は彼女にはお目に掛かっていない。
先輩がいうには、「Cupidは君ではなく、その前からつきあっていたのだ。」とのこと。

後先はどうでもいいが、お母さんには大変感謝されており、兎にも角にも、いつまでも、お幸せにと思う。
実は、彼女のお姉さんが会社の近くにいて、一度だけ、お会いしたことがある。
小生達の行動が理解できないようだった。
大切に思っている人を他人に紹介したり、しあったりすることは可笑しいと。
たしかに、不条理だがそれが人生なのだ。
彼女を自分が幸せに出来ないなら、幸せに出来る人がそうするしかないのだから。
弁解じみるが、映画にあるような、俺についてこい、などといえる格好良い人間ではない。

件の司会者の先輩であるが、その後、小生が出張で九州「延岡市」に行ったついでに、彼の赴任地「長崎市」まで、はるばると高千穂峡谷を抜け、バスの乗り継ぎで尋ねたものだ。
夜は、バーで一緒に飲み明かした。
その夜は雨だったかも知れない。
雨でなければ、稲佐山から見下ろす夜景(函館、神戸、長崎が1,000万弗の日本三大夜景である)が素晴らしいのだが。

諸兄には、ご注意願いたいことが一つある(読者がいればのことだが)。
長崎は、豪雨で被害甚大だったので、小生のように、バーで「長崎は今日も雨だった」と唄うのは、今も昔も、賢明とはいえないそうだ(ママの話)。
むしろ、歌唱力があれば、藤山一郎の「長崎の鐘」の方が、「こよなく晴れた青空に・・」で無難であろう。

10数年経過して、司会者はなぜかアルコールが原因で亡くなったという。
ご冥福を祈る次第である。





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Last updated  Oct 31, 2013 03:54:34 PM
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