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2015.02.16
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カテゴリ: 文学
140 『カ ブラの冬』 藤原辰史

人文書院  154頁¥1500 2011.1.15 初版第1刷発行

[目次] 

はじめに 戦争と食糧

第1章大国が飢える条件

第2章食糧危機のなかの民衆と政府

第3章日常生活の崩壊過程―「ブタ殺し」と「カブラの冬」

第4章食糧暴動から革命へ

第5章飢饉からナチズムへ



 参考文献

 あとがき

略年表

[内容]

 一般の食物史では平時の時の食の歴史が中心で、戦 時という非常時の食糧難
に触れているものはほとんどありません。この本は、第一次世界大戦中のドイツ
で76万人の餓死者を出した飢饉のことを書いたものです。 (餓死者数は第二次
大戦中の連合軍によるドイツ諸都市への空襲での死者数60万人よりも多い)書名
の『カブラの冬』のカブラは、ル タバガ(別名スウェーデンカブ)のことで
す。カブラを主食としなければならないほどの飢饉でした。

 この本では、多数の餓死者が出た時代の人々の悲惨な情況が詳しく描かれてい


○エンバク藁の粉が50%入ったビスケット、10%のジャガイモを含む戦時パン、
豚肉に乾し鱈の実を入れた代用肉が工夫された。(日本でもダイコン、ニンジ
ン、サツマ イモ茎などを米飯にまぜて増量したことがありました)

○1916年にはパンの配給が少なくなり都市下層の人々の主食は ルタバガになっ
た。ルタバガをスープ、スフレ、だんご、カツレツと手を変え品を変えて調理す

た。(ルタバガは英国ではスウィードといわれます。アブラナ科ですが、日本の
カブとは異なる野菜です。私 も英国で何回か煮て食べたことがありますが、日
本のカブとは大違いで、硬くてまずい)

○ 腹を空かせた子供たちは、パンやパン切符を盗んだ。盗みを犯した少年少女
たちには牢獄での懲役刑が 待っていた。これは緩慢な死刑に等しかった。弱っ
ていた身体はさらに弱った。(私も、1945年3月10日未明 に東京大空襲で焼け出
されたときの夜に配給された一人1個のおにぎり、1週間後に疎開先へ行くために
待っていた駅のプラットホームで、見知らぬ人から譲って頂いた1袋のポップ
コーンが忘れられません。)

[感想]

戦時、脂肪不足に対処するためドイツ政府は学校の生徒にサクランボの種子を集
めさせた。また食糧不足を補うため畑の害 虫、ブナの実、キノコ、野イチゴを
集めさせ、豚の餌用にコガネムシを採集させた、と書いてあります。

(日本でも第二次大戦中、疎開先の田舎の小学校で、一人あたり60キログラムの
野草を集めて乾燥させて学校にもってくるよう言われた記憶があります。あれは
何の役に立ったのだろうと今 でも不思議です。)

[頁のか けら] 

○ 「50キログラムの豚肉の生産のためには90キログラムのジャガイモか25キロ
グラムの大麦を必要とするのに対し、これらは人間の食料としては1キログラム
の豚肉よりも遥かに多くの栄養を供給し得 る」という「単純な計算」。(中
略)学者たちは、もし、このままジャガイモが豚にまわされるのであれば、1915
年7月末で、ジャガイモの在庫が尽きてしまう、という計算をはじき出した。
1200万頭の豚の殺戮が必要であるとされたのである。(74頁)

○ 3週間に卵1個と か、1週間に5ポンド(約180グラ ム)のジャガイモしか当た
らないとか、牛乳が全くなく、台所に香辛料さえないとか、リンデンの花を紅茶
がわりにし、タンポポの根や炒った ドングリをコーヒーに用いなければなら
ず、しかも牛乳も砂糖もなく、わずかに少しばかりのサッカリンがあるだけとい
うようなこととかを、 肌で体験したことがない人が表現することは絶対に不可
能である。(79頁)

○ 「カブラの冬」の最大の犠牲者が女性と子どもで あったことは、ドイツ民衆
の憎悪をかき立てた。しかし、それはケインズが恐れたように敵国へと向かうだ
けでなく、内にも向けられた。つま り、ドイツ帝国政府とユダヤ人である。前
者は革命へ、後者はナチズムへと接続している。(92頁)

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 ランダム読書日記 

  by 道は るか MICHI Haluka (2015.2.25. No.140)








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Last updated  2015.02.25 14:20:25
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