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2008年09月13日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
すっかりご無沙汰いたしました。

どなたに向かって言ってるの?

いえ、このブログさまに、です。
良きも悪しきも、私の指の思し召すまま、
吐き出す、あるいは掃き出す言葉の数々を、
文句も言わず黙って受け容れてくれたブログさまに、
挨拶ぐらいはきちんといたしたい。

と、挨拶が済んだところで、書いておきたいことがある。
私の誕生日に久々の電話をくれた息子に「元気?」と聞いたら、突発性難聴であると言う。

暇な母親が病気の息子を見舞って悪いわけがない。
夫の了解を得て、翌々日のヒコーキに乗った。
で、まっすぐ息子の住むアパートに行き、まずはたまりにたまっていた洗濯物を洗濯機に放り込み、スイッチを入れて買い物に出かける。
段取りよくしなければ宅急便と入れ違いになる。
歩いてスーパーへ買い物に行くなんて、何年ぶり?
都会の人は歩く。ほんとに歩く。おばあさんだって歩いている。
田舎の人が歩かないことを改めて思う。
田舎の人になって損をした最大のことはこれだと思うよ。
まったく、歩かない。おかげでフィットネスに行かなければならない。
不便な土地ほど車が必要。公共交通機関がない。
自転車に乗ろうにも急勾配の道なのだから断念するしかない。

おばあさんたちの腰は曲がり、皆手押し車(シニアカーと言うの?)を押す。
年寄りの絶対数が多いこともあろうが、都会より腰の曲がったおばあさんが断然多い。なんでやねん?
なんてことをぶつぶつ言いながら歩いた。
9月と言えど暑いぞ。
両手にスーパーの袋をぶら下げて、また歩く。

玄関のドアとベランダの窓を全開にする。
空気が澱んでいるのは、まず私が不快である。
空気さえ通れば、多少散らかっていても耐えられる。
どうしてわが息子はこの「空気の入れかえ」をしないんだろう。
お日さまの恩恵に浴すことをしないんだろう。
この件についての本人の弁。
「ここは、寝に帰るだけだから」
はい、さようで。
たしかに彼の住むアパートの室内に、彼が出入りしている痕跡はある。
見事に、日常的に動いている動線の部分だけが汚れていないのだ。
いや、この表現は正しくない。
息子が動いているところだけ空間があるというか。
それ意外の場所には埃が積もり、そのままこびりついているのである。
きったない、のである。一言で言えばね。
ベッドの上と、パソコン机の上は、必要なスペースが空いている。
そうそう、息子が大事にしているもののみに秩序があった。
新しい本棚にずらり、きちんと並んだマンガと文庫本。シリーズもののようだ。
それから「24」などのDVD。
これらは順序よく整頓されていた。

しかし、息子の部屋の乱雑さは今は始まったことではない。
(この日改めて私が息子に施した教育、しつけが何だったかを思い知らされてがく然としたのだったが)
かつてのわが家では、息子の部屋からリビングに彼のモノがあふれ出していた。
それを見た父親が言ったもんだ。
「○○の脳味噌とおんなじだな」
あまりの混沌に、頭蓋骨からはみ出しかねない脳味噌?
ほんと、そんな印象だった。
脳味噌そのものはなかなかボリュームがあるのだけれど、容量が多いだけに秩序立てるのに苦労する、そんな感じに、親には見えていた。
(翌々日この話をしたら息子が衣裳ケースの整理を始めた)
当時も、本人は「机の上はきれいにしている」と誇っていた。
これはとりあえずの方法としては賢明かもしれない。
全体が大きすぎて整理するパワーが足りないときは、一部でいいから秩序を取り戻す。
ある種のココロの病は、このやり方で乗り切ることができると思うのだけど。
一部で、とりあえずは構わない。
そうやってかつての引きこもり君は、黙々と仕事に精を出し、部屋にモノを溢れさすに十分な程度の収入を得ている。
「仕事、向いている?」と訊ねると、「うーん?」と首をひねる。
「人間関係のストレス、あるの?」と訊ねると、強く首を横に振る。
へえ。
どうやら人間関係というよりは、仕事の中身について少し疑問に思っているのか。
母親は人間関係のストレスがないと聞いて一安心。
(この子を育てるときに、いの一番に人間関係への耐性を育てようと決めた母の満足である。それは何より私自身が、人間関係のストレスが一番きついと思っていたからだけどね)
続いて、仕事の内容について不満はあるにもかかわらず、黙々と働いているのだと知って、心の中で拍手を送った。
自分に合った仕事は?とかの自分探しに熱中している諸君に見せてやりたい。
おっと、鼻息の荒い母親で、すんません。

息子の現在は、このアパートの様子と、「二課の刑事みたいだ」と現夫に言われた私の執拗な?聞き取りにより、おおよその輪郭がつかめた。
かなしいけれど、東京は「お金を稼ぐ人」と「お金を使う人」のための町だ。
東京の片隅で、息子よ、お前は「ザ・消費者」としてのみ生きるのか?
父さんと母さんたちの世代が、ぼくたちの世代をそういうふうに育てたんじゃないか。
言えば、こう返されるかもしれぬ。
ほんとに、私たちがどう生きてきたかは、子どもの現在を見ればよく分かる。
他人事みたいに、「今どきの若者は」なんて言う大人を私は軽蔑するね。
黙々と稼ぎ、ただ流されるように消費するわれわれ。
豊かなもんかね。
「本当の豊かさってね、お金で買えないんだよ」
今さらながらではあるけれど、息子に向かってそう言った私である。
お金では買えない豊かさのひとつとして、分かりやすい例を挙げた。
家事、つまり掃除、選択、ご飯つくり、それから笑顔。
こんなものお金で買える?
お金で買えると豪語する人の心に、寂しさはないか?
私も前夫も、お金を稼ぐ人=できる人、という時代を生きた。
家の中でお金にならない仕事をする人を下に見る時代を生きた。
仕事ができる女が、なんで無料の家事労働なんか。
そんな風潮にまんまと乗っかった。
仕事ができる女のその後は?
結論はすでに書いている。
家事とはなんと豊かさを生むものであることか。
お金で買えない豊かさ、ゆとりとは、ここにある。
毎日太陽の光をさんさん浴びて乾いた洗濯物。
木々の間を通ってくる風がそのまま季節を届けてくれる部屋。
目に見えないものが、五感を通して人を豊かにする。
こういう仕事、お金にならない仕事を軽んじた結果。
人づくり、人育てとはこのあたりからなんだよな。
臭いがついたから臭い消し、じゃなくてさ。
風を通せばいいのよ。
臭い消しを買うお金を稼ぐより、窓を開けようよ。

お金を稼ぎ、お金を使うだけの暮らし。
それだけでよしと思うなよ。
私から息子へのメッセージだ。
「あ、ガスコンロがきれいになってる」
「ね、部屋もきれいになったでしょ?」
「うん」
「ま、自己満足かな?」
帰る間際に、そんな会話をした。
東京駅で、病院に点滴に行く息子と別れる。
改札口の前で、
「ありがとね」と言い、「また、行くから」と付け加えた。
直前まで、「出張で来ることある?」と聞く私に「ない」なんて冷たい態度だったのに。
数年前の改札口を思い出す。
振り返ると、私の姿を目で追っていた。
心細そうで、切なかった。
子どもの頃、後追いをしていた息子と同じだった。
でももう今は違う。
彼は母親から自立した。
寂しいけれど、喜ばなくちゃ。
立場が逆転したみたい。

モノレールから都会の高層マンションを見て、再び思う。
東京は、お金を稼ぎ、使う人の町。
私が住む田舎は、余生の町。
棲み分けができてていい?
そうかなあ。





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最終更新日  2008年09月13日 10時49分14秒
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