思いのままに書け!

2006年02月24日
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カテゴリ: 基本性格確定時期




 中学3年の受験も押し迫ってきた頃、
 1本の電話が掛かってきた。


 電話の相手は同じクラスの男子。
 彼は学年でもトップクラスの秀才で、
 私とはグループも違っていたのだが、
 不思議と仲は良かった。


 『聞いて欲しい事があるんだけど、今から出てこれる?』


 声に元気がない。



 私は自転車を走らせ、待ち合わせのファーストフード店に向かった。


 店に到着すると、彼は奥の席に座っていて、
 私が声をかけるまで、ぼんやり宙を見ていた。
 しかも慣れないタバコなんて吸っている。


 彼の真正面に座ると、ごめんね…と呼び出した事を詫びてきた。
 しばらくの間、彼は黙ってタバコをふかしていた。
 時折、おいしくないね、よく吸えるね…とぼやきながら。


 きっと、言い出せないんだろう。
 口を開いては、別の言葉を吐く。
 そんな心中は察している。
 察しているのだが。








『早よ、言えや。』








 台無しである。


 だって、イライラするんだも~ん。


 言いにくい事かも知れんが、それを聞いて欲しい相手に

 しかも選ぶまでに相当悩んだ筈だ。
 悩んだ末に、この人なら大丈夫…と、思ったんだろう?


 だったら、打ち明ける事に悩むな。
 己の人選を信じろ。


 意を決した彼は、ようやく重い口を開いた。


 『高校の事なんだけど…俺、○○高校に行きたいんだ。』

 『えー?あんた△△高校薦められてるじゃん。』


 どちらの高校もそこらの人間の脳では入れない難関の進学校だが、
 彼の行きたい高校は男子校なのだ。
 『行きたい』と言えるところに殺意を覚えるが。


 『共学の方がいいんじゃない?
  別に○○高校しかやってない科目って、ないよね?』

 『うん…。親もそういうけど、でも○○がいい。』

 『何で。』

 『…………。』

 『言えよ。』









『男の子がいっぱいいるから。』








 初めてのゲイとの遭遇であった。







 彼は親を説得し、晴れて名門○○高校の生徒となった。
 反対する理由もない素晴らしい高校なのだが、
 ひょっとすると彼のご両親は、
 自分の息子がゲイだと、気付いていたのかも知れない。 



 何故、あの時私に打ち明けたのか……。
 数年経って彼に聞いてみたところ、
 このようなお返事が返ってきた。



 『あんた、馬鹿にしないじゃない?』(オネェ言葉)




三椏、好感度アップ。







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最終更新日  2006年02月25日 03時40分38秒 コメント(11) | コメントを書く
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