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2004年08月06日
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: カテゴリ未分類



 でも、「人民帽」は潔い。これは自分のミスで、今後の勉強になったと、きっぱりと財布をあきらめていた。中に入っていたのが40元と小額だったこともあるのだろうが、うじうじせずに、僕にそう語る様はなかなか恰好良かった。僕がそのような立場にたたされた時も、彼のようにありたいと思った。

 バスはさらに峠を2つ越えた。二つ目の峠は舗装道路だった。舗装された道を走るのはずいぶん久しぶりのような気がする。実際は中旬までは舗装道路だったのでそれほど懐かしいはずは無いのだが、少しでもバスの揺れが収まって、尻への振動が収まると、もうそれだけで僕は天国に昇ったような気分だ。バスはようやく午後1時にビルの立ち並ぶ康定の街に到着した。そう言えば昨日何時に康定に着くのかと聞いた時に、1時と言っていたっけ。1時と言うのは今日の午後1時ということだったのか。

 この街は、真ん中に川の流れる山に囲まれた奇麗な街だった。「人民帽」と二人で、今日はもうバス・トイレ付きの高級ホテルに泊っちまいましょうと盛り上がり、この街で一番高級そうな「康定賓館」にチェックインした。一泊2人で160元である。ホテルでほんの少しだけ休んだ後、僕らは公安に向かった。もちろんビザの延長の申請をするためだ。何度か迷いつつも、なんとか公安局外事課に到着する。ここしばらくビザの延長のことばかり考えていた僕としては、「いよいよ」という感じだ。

 けれども、そこに坐っていた体格の良いおばちゃんは、僕がビザを延長したいと言うなり「この街では出来ない」と言い張る。僕がパスポートを見せようとしても取り合ってくれない。「成都へ行け」と言うばかりだ。英語が通じないので、なんとか筆談で、あの手この手を使ってお願いするが、もう何を言っても暖簾に腕押し状態なのだ。僕は途方に暮れてしまう。なにしろ、今日延長の申請が出来ないと、明日から不法滞在になってしまい、いくら罰金が取られるか解らない。さらに、この後の中国旅行の支障にもなり兼ねない。

 そこで方針を変更する。「じゃあ、成都に行くから、今日僕がここに来たと言う証明を書いてくれ」とお願いする。僕がここに来たという証拠があれば、成都で申請する時も、向こうの印象がかなり違うと判断したのだ。ずいぶん下手にでてお願いしたのだが、それでもそのおばちゃんは首を横に振るばかりだ。しまいには、ヒステリックに叫びだした。

 もうだめだ。ここまで怒らせてしまうと、もう何を言っても無駄だ。それでもあきらめずに、ホテルに帰ってきてフロントに訳を話して中国語で電話をしてもらったが、でも結果は同じだった。もうどうにでもなれという気になってしまう。今日は水曜日で、ここから成都までは一泊二日の距離だ。そして公安のこういうサービスは土曜日曜は休みなので、今週中に延長をしようと思うと、明日ここを発たないといけない。けれども今の疲れた状況を考えると、明日またバスに揺られる気にはとてもなれない。

 「人民帽」は心配してくれているが、もう考える気力も無くなって一度睡眠をとることにする。眠ればなんとかいい考えが思い浮かぶに違いない。7時ころ再び起きるが、これと言って良い考えは思い浮かばなかった。そこで久しぶりに風呂に入ることにする。風呂に入れば何かいい考えが思い浮かぶに違いない。バスタブに浸かって、歌の一曲でも歌ったが、やっぱりうまい考えは浮かばない。「人民帽」とうまい飯を食おうと盛り上がって、鍋を食うことにする。その店には冷えたビールがなかったので、外の売店で買ったのを強引に持ち込んで、旅の疲れに乾杯する。けれどもやっぱりうまい考えは浮かばなかった。本当にどうしよう。  





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最終更新日  2012年04月07日 11時39分22秒コメント(0) | コメントを書く


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