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2004年08月13日
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テーマ: 中国&台湾(3345)
カテゴリ: カテゴリ未分類
朝、予定よりも少し早くトンファさんが僕らの部屋のドアをノックした。まだ準備が整っていない僕らは、急いで準備する。そしてトンファさんは僕らを彼の実家に連れていってくれた。「人民帽」は一度訪れていて、結構慣れたようすでトンファさんのお父さんやお母さんに挨拶している。お父さんは割腹の良い感じで、ちまたに溢れる中国人の老人という感じがしない。身なりもとても整っていて、いつも優しい目をしていた。お母さんは小柄で、何かと僕らに気を遣ってくれる。特にまだ風邪から完治していない「人民帽」は薬攻めにあっていた。トンファさんは、すぐに車を修理するためといってどこかに行ってしまった。その間、お父さんが僕らにこれから向かう地域のビデオを見せてくれる。そしてところどころ解説を入れてくれた。

 昨日、トンファさんは、僕らは早ければ今日の10時に出発できると言った。けれども昼飯どきになっても彼は戻ってこない。やっぱり車の調子がかんばしくないのだろうか。昼飯はとても豪華で、松茸を大量に使った炒めものが僕を泣かせた。最近食が細くなったなどとぼやいている側から、図々しくもご飯を3杯もおかわりしてしまう。その後トンファさんのお姉さんの娘であるニイニイ(13)に折鶴を教えてあげたりして、のんびりと午後の一時を過ごした。

 まだ調子のよくない「人民帽」は、待ちくたびれたのも手伝ってか、「ちょっと眠ります」と行って、居間から消えた。それからしばらくしてトンファさんから電話があり、やはり車の修理の状況が芳しくなく、今日は出発できそうに無い事、彼自身は5時ころ戻ってくる事などを僕に伝えた。そうなってくると、折角の天気の良い午後を家の中でだらだらと過ごしているのはもったいない。そこで、熟睡している「人民帽」はそのままに、僕はその辺をうろうろする事にする。

 突然温泉に行きたくなった。2日前に行った温泉の快適さが忘れられなくて、だから前に行った温泉をもう一度目指した。今回は一人で広い湯船を独占できる。前回は6元の部屋だったが、今回は一人ということで、4.5元の部屋をあてがわれた。と言っても実際の広さにはそれ程の差も無く、なんとなく得した気分だ。40分ほどのんびりと湯に浸かって、トンファさんの実家にもどる。そして、僕もちょっと横になる。

 あっという間に夕食の時間だった。昼にも増して豪華な食事で、大根と鳥肉の辛炒めは絶品だった。ご飯はチャーハンになっていて、それだけ食べてもなかなかいける。ここの家の料理はとてもうまい。勧められるままに、またもや腹がパンパンに膨れあがるまで箸を休めなかった。そのころトンファさんが、とても疲れた顔をして戻ってくる。僕はもうすべてをトンファさんに任せるつもりでいる。なかなか出発できないのはそれなりの理由があるのだと理解している。大船に乗った気持ちだ。けれども、だからといってだらだらといつとも解らない出発を待つ気はない。その辺をきちんと伝えるべきだとは思っていた。

 「人民帽」も同じ考えだったらしい。彼がいらいらしている様子は手に取るようにわかる。そして最初に口火を切ったのは「人民帽」だった。どうしてもビザの制限があるので、ここで溜まっているわけにはいかない。もし明後日までに出発できなければ、僕らは陸路でラサに行くことをあきらめて、飛行機を使わざるを得ない。けれどもできるだけ陸路で、トンファさんと一緒にラサを目指したいので、何とか明後日までに出発できるようにしてくれというような言い方を彼はした。それはなかなかうまい交渉の進め方であると僕は感心する。

 ただ、一つだけ気にかかった事があった。彼が、トンファさんと会話をしているあいまあいまで、トンファさんが言う事に対して「信用できないなあ」とか「うそくさいなあ」とか日本人相手の交渉では決して口に出さない様な事を、独り言で言う。そしてトンファさんは日本語をある程度理解できる。これは誠実に僕らの要求に対して答えようとしている相手に言うべき言葉ではない。もし仮に僕がトンファさんで、そのような物の言い方をされたら、このラサ行きそのものを破棄してしまいたい気分になる。幸いトンファさんは、彼の独り言を理解していなかったようだが、僕は彼がそのような独り言を言うたびに、いちいちドキドキしていた。

 青いなと思った。トンファさんがいなくなった隙に僕はこっそりと彼に向かって、独り言の日本語に気をつけるようにと言った。そうすると、彼は、僕の常識では信じられない反応を示した。彼は突然怒り出して「そんなの大きなお世話ですよ」と言ったのだ。「そんなのは別に関係無い。トンファさんが理解していたって構わない」と続ける。その一言で僕は彼が自分のしている事が、ひいては僕にまで影響してくると言う事を全く分かっていないのだと悟った。視野が狭すぎる。まだ学生なのでしょうがないのだろうか、それとも、待たされすぎていらいらしていて、分別を失っているのだろうか。

 その一言を浴びせられて、僕は急にどうでも良くなってしまった。一瞬カチンと来た事は来たが、こういう頭に血が登った相手に何を言っても無駄だ。だから「そうですか、わかりました」とだけ彼には言った。彼の一言で、もしラサ行きがだめになったとしても、それはひいては彼をパートナーに選んだ僕の責任でもあると、妙に悟ってしまう。けれども、いままで彼の評価がなかなか高かっただけに、彼の一言は僕にとってとても残念だった。



 ただし、役の様なものがあるらしく、役が一つあるごとに特典が2倍になる。二つあると4倍、三つあると8倍というように、倍倍ゲームで増えていく。僕が把握した役は、カン、トイトイ、チンイツ、チャンタの四つだったが、他にもいろいろと役があるのかもしれない。3時間ほど麻雀で盛り上がりなかなか面白かった。

 深夜、このままの状況で「人民帽」と旅を続けるのが窮屈に感じた僕は、僕の方から「言い方が悪かった」という形で話を切り出した。そうすると、彼は「自分のあの態度は悪かったと反省している。自分は生意気で、だから会社勤めにも自信が無い」と言うような事を言った。彼は彼で、いろいろと考えているようだ。僕も、もう少し大人にならなければいけないなあと、いろいろと考えた。

 ところで、ちょっと風邪をひいたようだ。喉が痛い。ちょっと嫌な予感がする。





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最終更新日  2012年04月19日 09時34分05秒
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