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2004年10月14日
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テーマ: タイ(3480)
カテゴリ: タイ・入院編
 次郎はすぐに仕事でミャンマーにいかなくてはならない。だから僕も次郎の家にずっとお世話になっているわけにもいかず、どこか落ち着き先を探さなければならない。僕のような旅のスタイルの場合、こんな時まず最初にカオサン通という世界的にも有名なバックパッカーの溜まり場を目指すのが普通なのだろう。何しろそこには数10バーツから300バーツ程までの安宿が密集していて、更にレストランやお土産や、旅行会社などもかたまっているエリアなのだ。ここにいけば、このエリアのなかだけで生活が終了してしまう、ネパールのタメル地区のようなものなのである。

 まあ、カオサンとは言わなくても、バンコクには中華街やマレーシアホテル付近などに安宿が密集している地域があって、バックパッカーには大変過ごしやすい街である。しかも昨今のバーツ安である。(なにしろそれまで一ドル25バーツだったものが最近では一ドル35バーツになってしまっているのだ)だから、最初僕もそんな安宿を目指そうかなあなどと考えていた。けれども、同時にネパールでタメル地区のみで過ごしてしまった自分の旅のスタイルに反省している面もあったので、カオサンなんかにいったら、またそこにはまってしまいそうだなあとも思っていた。もっとも体がまだ完全に回復していないこともあって、それほど派手に行動できないのであるが、だからこそなおさら出不精になってしまいかねない。

 そんな時、次郎が願ってもいない申し出をしてくれた。彼の勤めている会社がシーロム通り沿いの高級ホテルの一室を機材置場として利用していて、その部屋は普通の部屋としても利用できるのだが、今は誰も使っていないという。どちらにしても必要な部屋なので、そこに泊ってはという。そこは街の中心だからいろいろと行動するのにも便利なのだそうだ。しかも宿泊料はいらないとまでいうではないか。「こんなんでいいのか」と思いつつも、彼も申し出にあっさり乗ることにした。朝、彼の家に車が迎えに来て、僕もそれに乗って一緒にそのホテルを目指す。部屋はなかなか広く、御風呂はバスタブとシャワーブースが別々になっていた。なによりも、かなりの高層階に部屋があるため窓からの眺めが最高だ。こんなんでいいのだろうか。

 次郎に、本当にこんな所にただでとまって良いのかと訊ねると、「おまえはまだ自分が病人だということを忘れちゃいかん。」という言葉が返ってきた。そして「ただし、電話代と洗濯代、それから冷蔵庫の飲み物代は自分で出すように。ちなみに朝食と日本の新聞はついているから、それはただだよ」とまあそれは当たり前だなという言葉がつづいた。そして更に「俺がミャンマーに行っている間に絶対に酒を飲まないように」という厳しい一言も浴びせられてしまった。そうして彼は会社に出かけていった。ミャンマーからは来週の月曜日か火曜日に帰ってくるのだそうだ。

 さて、このホテルはあの有名な歓楽街「パッポン通」からもあるいて10分ほどの好立地ということもあり、さっそくその辺を探索することにする。蒸し暑い空気の中を強い日差しを浴びながらてくてくと歩く。排ガスで息がむせ返る。なんとか辿り着いた「パッポン」だが、当然のごとく昼間にこんな所を見ていてもあまり面白いものではない。ほとんど全部の店は閉まっているし、人通りもまばらだ。それでも、二十代後半の日本人男性が一人で歩いているという「カモ」を彼らが見逃すはずもなく、写真をもった怪しげな親父やおばちゃん達がしきりに僕に声をかけてきた。

 実はこの手の勧誘おじちゃんやおばちゃんの場合、その後とんでもなくぼったくられるのは目にみえている。「ショーがある」というのにそそのかされて、建物の二階に連れて行かれるのだが、そんな「ショー」は全然始まらず、客も自分以外誰もいず、しかも入り口に鍵がかえられて、結局100ドルや200ドルを巻き上げられる。こんな話を僕は直接被害にあったひとから何度となく聞かされている。彼らによると、こういう写真を持って勧誘してくる奴等が一番怪しいのだそうだ。僕は彼らに声をかけられた時、「そうか、これが噂の」と思い、相手にしなかったのは言うまでもない。

 一通りこの辺のソイをくまなく探検する。ソイというのはいわゆる小路のことで、大きな通から毛細血管のように出ている細い道で、街の細部を網羅しているものをそう呼ぶ。ソイは大抵番号で呼ばれていて、起点から向かって右が偶数、左が奇数というようになっている。たとえばシーロムロードのソイ8というとシーロムロードの起点から数えて右側4番目の小路ということになる。シーロムロードはその反対側にスリウォン通という道が平行していて、この二つの道に挟まれたエリアが、いわゆる歓楽街になる。

 シーロムはロビンソンデパートの起点からソイ2、タニヤ通、ソイ4、パッポン2、パッポン、ソイ6、ソイ8とつづき、だいたいソイ8を過ぎると街もかなりおとなしくなる。ソイ2はゲイの街。タニヤは日本人街。ソイ4は小粋なバーやディスコが並び(ここも元はゲイの街だったらしいが、僕が見た限りではあまりそのおもかげは無かった。といっても行ったのが昼なので、何ともいえない)そしてパッポン2、パッポンと来る。ここは言わずと知れたゴーゴーバーの密集地帯で、夜になるとそりゃあもうという世界が繰り広げられてしまう。ソイ6とソイ8にはぽつぽつとレストランやバーが並んでいるだけで、それほど華やかな雰囲気ではない。ちなみにこの中でソイ2と4は袋小路になっていて、スリウォン通には抜けられないようになっている。でもこう見ていくと、それぞれの通にそれぞれの特徴があってとても面白い。昼間歩いているぶんにおいては、それ程しつこい勧誘に合うわけでもなく、あらかじめ「予習」をするにはとても面白かった。

 これで夜に行っても大丈夫だ。






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最終更新日  2004年10月19日 00時04分02秒
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