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月光 月があかるすぎて 淡く空の色が見えていた もう夜なのに 月があかるすぎて ちっとも星がみえなかった 白い雲少し 月があかるすぎるから 夜がこないんだよって お前を見上げて笑った 月があかるすぎるから 寝そびれてしまったと またお前のせいにして 聞いている月の歌 明るさに晒されたススキがまた揺れる 明るさにほだされた虫の音もまだ聞こえる いつもここにいるよと笑ったら グラスの中にぽとりと落ちた月光 それを ごくりと飲んだわたし。
2012年10月29日
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日記帳 どんなみじかい文章でも みんなわたしから生まれた言葉 君に送る 君へ向ける わたしの言葉 スキとキライをくりかえし 明日をオモイデに変えていくんだ わたしから生まれた言葉で 白いページがどんどんうまる 君と私でページがうまる 1992年作
2012年10月27日
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あなたに会えない間に 固くて小さな青柚子は 黄色く色づきはじめていたのに あたしのとまったまんまの時計 あたしのとまったまんまの時計は そうとも知らずに眠っていた あなたに会えてから 見る色彩やかたち あなたに会えてから 香る風や冷たい水 あなたに会えてから 聞く声や読む便り あなたに会えてから あたしの動きだした時計 ドキドキと音のする あたしの動きだした新しい時計
2012年10月26日
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再生 神経を下腹部に集中してみる 押すとはなひらくツボミの中心から 一番柔らかでやさしいあたしの部分まで 私の呼吸の一部をゆっくりゆっくり細く長く添わせてみると 生暖かい迷路の入り口に滑り込んでいた 迷路の奥は記憶と想像の果てだった 「重いもの 暗いいろ 怖いおと 言えない事のすべてを抱えたから 逃げたい理由はもうないんだよ」と 切り捨てられた 生あたたかいもの の遺言を読んだ。 ゆっくりゆっくり息をしながら増殖する迷路の果ては 一面に花が咲く草原だ あたしの大好きな花が咲く野原だ そこには 「なくしたからはじまったんだ」 と かるく再生した私がすっと立っている。 2011/4/29 子宮摘出手術後、入院中にて
2012年10月26日
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季節が深まり この秋一番の寒さだったと テレビはいかにも前進したように笑う なのにあたしは夏を想う あの心地良い肌触りの夏が きゅうになつかしくなる 吐く息の白さも 夏のことがもう想い出になったねと言って 風にとけていったし 振り返ってみたら うまく発酵した夏の匂いが じゃぁまたねって言ったような気がした 季節が変わって またやってくる次の季節 昔の事なんていっぱい忘れてしまうけど 想い出に変わると色や匂いや声は あたしの豊かさになるんだ 昔の事なんか次々忘れてしまうけど 想い出に変わるとあったかな肌や言葉は あたしの宝物になるんだ だから寒くなってももぅめげない。
2012年10月24日
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萩の花 わたしを花に例えるとしたら何かしらと 花の名前をあまり知らないあの人に尋ねた けれど 返ってきたのは いつもの他愛ない世間話・・ いいの、いいの いつものわたしの独り言だから あの人を花に例えるならなんだろう 初めて覚えた花の名前かもしれない 幼い頃のわたしが見ていたあの懐かしい花かもしれない 何日か過ぎて思いがけず返事をもらう それは萩の花だと しなだれた細長い枝に咲き 風のままに揺れる赤紫の小さな花だと わたし嬉しかった 生まれ変われるとしたら萩の花になって あなたの中に棲みたいと思った。
2012年10月21日
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庭の柚子がきいろう熟れて ぎゅっとしぼったら 台所じゅうが 柚子の香りにつつまれるんよ あーこれは、ばあちゃんの匂いじゃって 今年も思ったんよ 毎年、毎年柚子をしぼっていたばあちゃん 毎年、毎年この香りに豊かさを感じて 柚子酢のきいたばあちゃんのお寿司を食べたんよな ばあちゃんの好きな柚子の季節がまたきたでよ ばあちゃんの年輪みたいなこの手が あたしは好きやったんよ 言うたことがなかったけんど いつもアクにまみれたこの手が好きやったんよ
2012年10月19日
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昨日 元気だった体が 今日、壊れた。 昨日 飛び跳ねていた体が 今日、崩れた。 昨日 輝いていた瞳が 今日、闇になった。 明日への祈りが 明日へと続く 明日への想いが 祈りでうまる。 2006/11/4
2012年10月14日
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ゆっくりと、でも確実に進む季節 ぼんやり過ごした一日も 右往左往した一日も それは同じ速度なのに ふと気づけば カレンダーはまだ九月 彼岸花も見たし 金木犀も匂ったし 栗もたくさん拾ったのに・・・ 数字にうとい私は 日付も時間も捕らえられず 今日見たコスモスの色や場所が また刻まれてしまった 私は季節を追いかける そうやって進む月日なら それも愛しい日々だと思う。
2012年10月13日
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二十七回の春が過ぎ 二十七回の熱い夏。 二十七回の秋が終わると 二十八回目の冬が来る。 私は野山の奥にひっそりと咲く小さなスミレが 人知れず二十七回花開く間に 私は熱い砂の上に流れ着いた貝殻を 二十七回なぐさめぬいたさざ波の間に 私は黄金色の稲穂がこの田で二十七回収穫でき そしてくり返す私達のくらしの間に そしてなんの疑いもなくやっぱり冬はやって来て 二十七回降り続ける雪の間に (君は何をしてきたかなんて聞かないで) (君は何をしているのなんて問わないで) 私はこれからだって続く繰り返しの中で ただ何回となくかぞえていたい ただ何回となく流れていたい。 1990年/晩秋作
2012年10月12日
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穏やかな晴れ間に きらきらと笑う秋桜 ねぇ 知ってる? 秋桜の花って 好きな人のにおいがするんだ 秋桜の海を風が吹きぬけると なつかしい気持ちになる だから 秋桜の海を歩いて渡り 好きな人に会いに行く そんな日を待って迎えた秋 わたしの思う秋桜日和。
2012年10月08日
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好奇心 若いのに変ねって言われる私の好奇心 けれど曲げない これは私の血筋なのか それとも 勝手に作り出した私だけの血の流れなのか けれど大好き 山に嫁に行ってと母は嘆くが 私はちっとも懲りはせず それどころか 実のなる木々を毎年せっせと植えている たわわに熟れる実を想像すると 夢が一つ叶った気がする 近代的な家もいいが それよりも どっしりとした大きな木を見ると つい羨ましく見とれてしまう 私の庭にも一本欲しい そんな私の好奇心 まだまだあるがまだまだ止まらず 時々そんなことで心いっぱいにしたりして あっもうすぐ初場所だ、なんて またまた若いのに変ねって言われそうだ けれど曲げない けれど大好き。 徳島現代詩協会・’91年刊詩集より
2012年10月07日
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自由 せっかくここに生まれてきたのだから 何を考え何想うのかは とても自由なんだと 畑や庭をながめておもう 雑草は強くてやわらかい 私も強くてやわらかい せっかく人に生まれてきたんだから どこで何をしたって とても自由なんだと タマの頭をなでながらおもう 君は自由な外猫だ 私も自由なメス猫になる。
2012年10月06日
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ピンク 心の壁をとっぱらいたい時は 薄化粧にほんのりとピンクの頬紅 目元にも薄く・・・ そして一番気楽なジーパンでいく 今日は誰と出逢うかなと お酒も飲めないのに 馴染みの華鳳という居酒屋にむかう 美人のママと常連の客 誰にも話しかけないでほしい時は 黒い服に濃い口紅 ドクロの鋲がいっぱいついた重い皮のバックで ヒールの高い靴をはき 聞こえる声に聞こえないふりをする ほんとうはピンクが好きなのに ほんとうの私でいると 行けない場所だってあるんだ ほんとうはピンクの爪でいたいのに 今日は違うなって思い 濃い色の爪でいく時もあるんだ 来年早々の同窓会 悩みながら出席の返事を出した私 亡くした親友の事を聞かれたら きっと泣いてしまうだろう あの思春期のガラスで出来たトゲトゲの心が また復活しそうで怖いのにな ピンクの頬も ピンクの爪も封印して 黒い壁の卵に閉じこもっていたい ほんとうはピンクが好きなのにな
2012年10月05日
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罪の花 入浴しようといったん外に出ると 一瞬つつまれる花の香り 私だけの時間に はだかになった心の隙間に そっと吸い込ませたい そんな香りだ はずかしそうにうつむいた蕾は 今日と決めた蒸し暑い夜 遠慮しがちに少し顔をもたげて咲く それを私はひとりずつ 顔を確かめ香りをもらう 何かを決断し自信を持って 香りを放つ大きな花 君と出会った南の島では 一年中咲いて咲いて 夜をまどわせていたのに 今年の夏はまだ終わらないと 今夜もこころの隙間で 咲いて咲いて わたしをまどわす 2000/1 詩誌そばえ2・16より 改訂版 花名:エンジェルストランペット
2012年10月04日
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守るもの 人間は退化してるんじゃないか そう思うと悲しくなって チクチクチクチク心が痛む せっかく産まれて生きてきたのに 蒲公英の若葉をサラダで食べる そんな小さな楽しみを 知らない人は知らないで死ぬ せっかく産まれて生きてきたのに 高くなった秋の空に手を伸ばす 風ととんぼと君とあたし グラウンドの芝生に座りこみ 好きなことを話しあった あたしは退化しないよ せっかく産まれて生きてきたのにね そうも言って 君と好きなことをして過ごした 人は悲しいねと言いながら 守るものを確かめあい でも人はあったかいよと言いながら 守るものをなお確かめ合った チクチクが高い空にとけていくようだった。
2012年10月03日
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眠るおまえにキスをする 夜、そわそわしていた仔猫が ベッドに入ったあたしを追い 脇腹にそっともたれて眠りはじめた あたたかいよと お互いが感じ なでると 一人じゃないねと思い 眠ることが うんとやさしくなった おまえの三ヶ月前にうまれた命と あたしの半世紀近く生きた命 百年後には何もないけど 何もないけど 今は一緒だね おまえのすべるように柔らかな体毛に あたしの細長い指が埋まる いつまでも続くしあわせを 今夜は信じようと 眠るおまえにキスをする。
2012年10月02日
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津軽の野に 朝、大好きな酔芙蓉を手折り 琉球ガラスの青いグラスに入れて テーブルの上に置いた 未使用の年賀葉書の使われなかった空白 久々に持つ色鉛筆に仔猫がじゃれる 酔芙蓉の花よ あたしの描いたおまえよ ちょっと遠いが旅に出ておいで 酔芙蓉の花よ あたしのかわりに色付いて 柵でおおわれた一本道を 誰にも邪魔をされずに まっすぐ進んで行っておいで 自宅の郵便受けに 「郵便物があります」というメモを貼る 人里離れた山の上では そうそう町には出られないから 急ぎではないが 確実に配達されるという 信頼の中の約束に思いを託す 「あさこはうす」という津軽の野に 酔芙蓉が咲きますようにと願いながら。
2012年10月01日
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