老父のつぶやき

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2008年03月30日
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カテゴリ: 視・紙・誌面から

岩瀬彰著 講談社現代新書

著者によれば、給料は5000倍、物価は2000倍なんだそうである。帝大卒は超エリート、中学卒なら高学歴と言う時代をひもとき、現代との家賃相場の不当なまでの高騰やら、極貧にあった農民の生活などを指摘しているのは面白い。農民を踏み台にして月給100円のそこそこな生活があったと言うことだ。

「すまじきものは宮仕え」とは言うものの、何の生産手段も持たないものが当面の生活をするには手っ取り早いと言うか、これくらいで妥協するか、のようなことになる。不景気になると新卒の学生も就職難だが、これは需要と供給のバランスとしか言いようがない。それでも、理科系の方が若干は有利だったようだ。

私の父は貧しい農家で育ち、尋常高等小学校卒で税務署にはいり、経理を覚えたそうだ。程なく応招して陸軍にはいり、帳簿ができるからと比較的楽な事務室勤務を命じられた。そのうち、憲兵の試験を受けよ、といきなりいわれ、合格して中野の憲兵学校に行った。

この頃は戦局も悪化し、粗製乱造の憲兵ができたとあとで知ったが、ともかく外地には行かずに終戦を迎えた。職業軍人だったから公職追放となったが、やはり帳簿の能力で食料品組合に雇われ、後に小売りに身を転じて行く。学歴がないので子供には学歴を付けてやろうと躍起だったようだ。おかげで今の私があるのだが、初任給は18円だったと聞いている。それでも祖父母は神棚にそれを供えて喜んだそうだ。軍にはいると憲兵加俸が20円もついて驚いたと言い、また軍には豊富にあった食糧ももらうことがあったと言う。

今の私の生活も、いわば月給100円並だ。ただ、当時と違い自動車はあるし、パソコンの費用もある。 まずまずのレベルかも知れないが、格差は決して小さくないし、4月からは値上げが目白押し。この上は食糧の自給を目指すくらいしか仕方がないか。口入れ屋は復活しているし、何やら昔よりも暮らし向きは悪化するのではないかと心配だ。

緑の地球が子供たちに残せるだろうか。






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最終更新日  2008年03月30日 18時16分44秒 コメントを書く
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