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今週は、 下記の3冊 に興味を持った。
1.加藤陽子〈著〉『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』 評・保阪正康(ノンフィクション作家)
太平洋戦争への道筋 で世界が日本に、「 貴国はどちらを選択するのか 」と問うたときが 3回 、すなわち、 リットン報告書、三国軍事同盟、日米交渉 の3回 あったと、著者は説く。
その選択時の状況を分析することは 現代政治への教訓 となる、との思いで、 二十数人の中高生たちに説明したのが本書である という。
三国軍事同盟 については、 ドイツが求めた条文の「第三条」 が問われ、アメリカという語は用いられていないが、 仮想敵国をアメリカとした内容 だ。
これについては、アメリカとの衝突をさけるため、当時の 松岡外相 が 裏工作をすることが、このブログの 「日独伊3国同盟・『秘密書簡』の落とし穴」 で、ふれているね。
日米交渉 のキーワード 日米首脳会談 」だという。
著者の知識に接する中高生たちの問題意識の鋭さ は頼もしく、「 普遍的な理念の具体化 」 が欠けていた時代だったという結論 を読者もまた共有するという。
2.毛受敏浩〈編著〉『自治体がひらく日本の移民政策 人口減少時代の多文化共生への挑戦』評・ 加藤出(エコノミスト)
「 今はジェットコースターでいえば、先頭車両が下を向きかけたぐらいに過ぎない 」が「 全車両が下向きのスロープにかかれば一挙に日本の人口減少 は加速する 」と著者は 今後の状況を的確に表現している という。
人口減少 は心配だが、 世界的な移民・難民問題のニュース を目にすると、「 外国人労働者を日本で増やしても大丈夫か?」と不安を抱く人は多い と思われる。
海外の移民受け入れの失敗例に学べば、日本は「改良を加えた政策を打ち出すことができるはず 」と著者は解説しているという。
人口減に直面している地域 の方が 国政より意識が進んでいる ことが本書から伝わってくるという。
「 閉塞感が強まりつつある日本」を再活性化 させるためにも「 多文化パワー」を利用すべきだとの提言に耳を傾けたい と 評者 はコメントしている。
3.岩田一政 ・左三川郁子・日本経済研究センター〈編著〉 『マイナス金利政策 3次元金融緩和の効果と限界』評・ 諸富徹(京都大学教授・経済学)
9月 に 日銀は、政策目標の軸足を資金供給量から金利に転換する と発表したが、 金利のマイナス幅拡大は見送る一方、量的緩和の旗を降ろさなかった 。
だが筆者らは試算に基づき、 日銀による高水準の国債買い取りが続けば 、 市場で日銀が国債を買い尽くし、2017年6月にもその限界が訪れると警告 、つまり 量的緩和は早晩、行き詰まると指摘している という。
日銀が将来的に金利を引き上げれば 、 金融機関 が 日銀内に保有する当座預金への金利支払額が著しく増え 、 日銀が巨額損失を被る可能性 が出てくる。
また、 現在の国債買い取りペースを緩めれば 、 日銀が資産としてもつ国債の価格が下落し、その財務が毀損する恐れ もある。
量的緩和に限界があるなら、デフレ克服には金利政策を効かせるほかない、というのが本書の立場。
つまり、 マイナス金利をさらに引き下げる方向 により、 資金を借り入れて事業に挑む企業や、住宅ローンを組む消費者にとっては追い風だが、この政策には弱点もある。
それは、 預金者 が、 利子収入の減少や口座手数料の値上げを回避 しようと、 銀行から預金を引き出し現金の形で保有する可能性がある からだ。
そこで 本書 は、 電子マネーやフィンテックなどを活用したキャッシュレス社会に移行 して人々の利便性を高めつつ、 現金シフトを封じてマイナス金利政策の実効性を高めることを提言している という。
我々は、 成長率も人口増加率も、そして金利までもがマイナスになる、文字通りの「水没社会」に移行する のだろうか、 我々の生活に巨大な影響を及ぼすマイナス金利政策を理解する上で、必読の書 であると 評者 はいう。