2-4 海洋画家たち
世界を相手に貿易を行っていた海洋貿易王国、オランダ。海はオランダの発展や日々の生活に大事な役割を担っていました。港には大きな貿易船が停泊し、活況を呈していたことでしょう。オランダの海洋画では財力と国力を誇るかのような立派な貿易船や軍艦を描いた作品から、生活の糧として河口で釣りをする漁船を光に満ちた落ち着いた雰囲気で描いた作品まで、幅広い水辺の風景画があります。
●作品23 コルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲン《港町の近くにて》
1615-20年頃 ロッテルダム海洋博物館
本作はオランダ経済にとって重要な役割を担った17世紀初頭の船舶の様子を鮮明に伝えています。実在の船と画中の船の同定ができないことなどから、歴史的事件を主題としたのではなく、一般的な海洋画と考えれます。
【コルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲン】
《港町の近くにて》を描いたコルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲンは、伝記作家によると水夫の経験があったようです。そのため船の細部について熟知していました。彼は船の専門画家として成功し、いくつかの重要な注文も受けたそうです。
●作品24 シモン・デ・フリーヘル《海上のニシン船》
1649-50年頃 ロッテルダム海洋博物館
ニシンはオランダの人々にとって食糧であると同時に、輸出や商業にとっても重要な資源でした。多くの魚が網にかかっているところを見ると、どうやら大漁のようですね。穏やかな波上に漂う船と、はるか遠景の船をのみこむ霞んだ大気まで見事に表現されています。
【シモン・デ・フリーヘル】
《海上のニシン船》を描いたシモン・デ・フリーヘルは、17世紀における最も重要な海洋画家のひとりです。彼は後代の印象派を先取りするような海の景色を描いています。
●作品25 ウィレム・ファン・デ・フェルデ2世 《ロイヤルプリンス号の拿捕》
1670年頃 アムステルダム国立美術館
戦火から昇る煙の上には雲が立ち込め、前景の海面には淡い影が落ちています。ぼろぼろになった帆があらゆる方向になびいている様子から、ロイヤル・プリンス号が座礁しているのがわかります。トゲルンマスト[一番上のマスト]には、白旗を引き下ろそうと、ひとりの男が登っているところが描かれています。
【ウィレム・ファン・デ・フェルデ(2世)】
《ロイヤル・プリンス号の拿捕》を描いたウィレム・ファン・デ・フェルデ(2世)は、海洋画家ウィレム・ファン・デ・フェルデ(1世)を父親に持ち、同じく海洋画家であるシモン・デ・フリーヘルのもとで学びました。画家として早熟な才能を発揮し、精緻な船舶が描かれ、静謐な趣をたたえる作品の多くを20代の頃に制作しましたが、後に静謐さを打ち破るように、嵐や難破といった主題を好んで描くようになりました。
●作品26 リーフェ・フェアシュフイエール《河口の風景》
1660-70年頃 個人蔵
ひとりの男が漁船を漕ぎ、別の男が漁の成果を確かめようとして網をのぞき込んでいます。右側の盛り上がった岸辺には2艘のボートが引き揚げられており、ふたりの男が立って水面を見つめています。本作での波の描き方はきわめて独特で、大量の小さな波が、ほとんどパターン化されながら重なり合っています。
【リーフェ・フェアシュフイエール】
(続きます)
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