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カテゴリ: 本の話

その死を悼む人々で埋め尽くされたサン・ピエトロ広場の様子を見ていると、6年前の夏、夫とイタリアを旅して、ヴァチカン市国に訪れたときのことを思い出します。

三都を巡る計画のうち、ローマの滞在日数はわずか1日!という強行軍になってしまい、本当に時間の足りない中でしたが、忘れられない濃密な時間を過ごしました。

上空から見ると鍵の形をしている広場を、回廊沿いに大聖堂まで歩いて行き、ほの暗い堂内に足を踏み入れて何気なく脇見をした瞬間、ミケランジェロの「ピエタ」(写真)の彫像がいきなり出現したときの驚き。
どうしても実物をこの目で見たかった、システィーナ礼拝堂のミケランジェロの天井画と「最後の審判」の壁画の迫力ある美しさ…

ちょうど、翌年に西暦2000年の「聖年」を迎えるということで、ローマ市内の至るところに「2000」と書かれた垂れ幕が下がっていた頃でした。

次の法王を選ぶ選挙「コンクラーベ」は、あのシスティーナ礼拝堂で、枢機卿たちの投票によって行われるそうです。
あの空間は美術館ではなく、今も生きた礼拝の場所だったのだということを、改めて感じました。

「ローマ人の物語」 を執筆中の作家、塩野七生さんの著作に 「神の代理人」
これは、ルネッサンス期のヴァチカンに君臨した、四人の実在の法王の姿を描いた歴史物語。

カトリック信者の頂点に立つローマ法王は、聖職者であると同時に権力者でもあり、権力のまわりには様々な権謀術数が渦巻くのは世の常…というわけで、今から約500年前のヴァチカンを舞台に繰り広げられるドラマは、読み応え十分です。
今回、法王死去のニュースに触れたのをきっかけに、この本を探し出して読み始めたら、途中で止められなくなってしまいました。

歴史ミステリー三部作のうちの一つ、 「黄金のローマ~法王庁殺人事件」 や、現代のイタリアに住む著者が綴ったエッセイ 「イタリア遺聞」 も、ヴァチカンの内部やその歴史について、楽しみながら多くのことを知ることが出きたおすすめの本です。

塩野七生さん曰く、
「法王庁ほど頭の良い男たちが多く集まっている組織を、私は他に知らない」(『イタリア遺聞』より)
のだそうです。





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最終更新日  2005.04.04 11:43:31 コメント(5) | コメントを書く


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