撮り人の個人的な旅 by Sataiya

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 《彼女が生まれたのは、》

 《22時50分。》
 《この日付は、ジョン・レノンが、》
 《マーク・デビット・チャップマンに殺された日時と、》
 《一字一句符合する。》
 《でも、僕にとって、》
 《この偶然の一致に意味はない。》

 《彼女の名前、》

 《天才。》
 《というより、》
 《宇宙。》
 《エーテルの具現者。》

  《投稿者:フィリア》

ネット上のBBSの遣り取りから物語が始まり展開して行く。
岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』は、リリイ・シュシュという歌手を敬愛する中学生・蓮見雄一(市原隼人)を主人公にした物語。

タイではたくさんの日本映画が翻訳されて売られています。
タイでビデオは殆ど普及しておらず、VCDが主流。
近年DVDが普及し出しているが、依然VCDが人気。
何故かホラー映画が目立つ。外国映画は字幕ではなく吹き替えが主流です。

リリイだ~リリイがいるぞ~!(表)

↑ これがタイ語吹き替え版VCDのジャケット表面

05 4/27 109バーツで購入しました。(定価159バーツ)

2006年4月には廉価版として35バーツで売られていました。


2005年4月27日、バンコクの「ビックC」のCD売り場へ行くと何と!『リリイ・シュシュのすべて』のVCDが売られていました。値段は109バーツ(約300円)だった。即購入。映画は大抵VCD2枚組。インド映画に限っては3時間を超えるものが多いので3枚組があるがそれ以外は大抵2枚組である。ここに問題があった。VCD2枚組となると、2時間以上の映画はどうにも収まらないので一部バッサリカットされてしまうのだった。

リリイだ~リリイがいるぞ~!(裏)

VCDジャケットの裏面


タイ語吹き替え版『リリイ・シュシュ~』を観ていたら、あれっ?と思った。
沖縄のシーンが丸々カットされていました。
最初、日本でこの映画を観た時、沖縄のシーンは無くてもいいんじゃない?と思った。

しかし、この沖縄のシーンが丸々カットされていると、何かしっくりと来ない物足りなさを感じてしまった。
実はこの沖縄のシーン、この映画の中で極めて重要だったのでは?と初めて気付かされたのだった。
確かに沖縄のシーンがカットされていても話は成り立つ。タイのVCD製作者は先ずここに目を付け、「これ要らないだろう」という事でバッサリカットしたのだろう。
沖縄のシーン丸々カットなのでこのシーンにのみ出演していた大沢たかおは、この映画に出ていない事になってしまっている。市川実和子も同じく。

日本に帰ってから、『リリイ~』を観直してみた。特に沖縄のシーンに着目した。矢張り、このシーンは重要だと感じました。この沖縄旅行がきっかけで、少年の心情や性格が豹変する事になった重要なシーンだった。また、沖縄のスカイブルーの景色が、心情のブルーに繋がって行くような暗示も感じました。

沖縄のシーンは実に素晴らしかった。先ず大沢たかおの演技がスゴイ。胡散臭さ満点の旅人役で登場。同じ旅人役なのに『 深夜特急 』の時の大沢たかおとは大きく役柄が違った。演技があまりに自然だったので最初観た時は大沢たかおだとは気付きませんでした。



 《リリイの『アラベスク』に、》
 《南の島が出てくるでしょ?》
 《関係ないかもしれないけど、》
 《沖縄の離島に、》
 《アラベスクによく似た島があるんです。》
 《『アラグスク』。》
 《神様の住む島だそうです。》

 《投稿者:青猫》

〈補足〉※アラグスク島は「新城島」と書くそうです。無人島といわれているが人が住んでいるという説も…。


少年達は夏休みに沖縄旅行を企てる。しかし、お金が無い。そこで出た手段が、ひったくりだった。ひったくりに成功するとその金で沖縄へ。
天罰なのか、少年星野は沖縄で二度死にかけた。一度目は飛び魚に刺されそうになり、二度目は海で溺れた。二度とも寸での所で命拾い。

地元のビゲオヤジが言った。(言葉が島の訛りがきつく聞き取れないので字幕が入っていた)
 「沖縄の言い伝えではヒトには七つの魂がある。お前はふたつ落としたから、あと五つしかないぞ」
 そんな話の中、少年たちは事故現場を現前。
 車に轢かれ倒れている人の姿があった。倒れていたのは旅人(大沢たかお)であった。
 ヘリが来て旅人は運ばれて行った。その後、旅人の生命は?
 ここまでが沖縄のシーン、でも、タイ版では丸々カット。


 さて、『リリイ・シュシュ~』は終盤へ。

 少年、少女たちのブルーは加速して行く。


 《西暦2000年。》
 《十四歳。》
 《灰色の時代。》
 《田園だけが、》
 《不毛なくらい、まぶしい》

 《投稿者:フィリア》


 さてどうなるのやら、実に内容が濃い。

 田舎町の田園風景、リリイ・シュシュの歌声、ドビュッシーのピアノ曲…

  そして、大詰め。

 リリイ・シュシュのライブ会場へ。

 ライブのチケットを星野に破り捨てられ、会場に入れなかった蓮見がライブ終了後、会場から出て来たリリイファン達の中で絶叫する。

 「あ~~あ~~あ~~あ~~リリイだ!リリイだ!リリイがいるぞ!リリイだ~!」

 そして、最後は…、あんな事になっちゃうんですねぇ。うわぁ~。


 この映画『 リリイ・シュシュのすべて 』…何度観ても感動する。岩井俊二渾身の作品だと思う。  映像の力 音楽の力 言葉の力 …、表現の力を網羅している。その力は丸で魔力のようだ。全て作り物なのに感動する。何だろ?この心情?
 でも、この映画、人にはあまりおススメ出来ない気がする。見た後、確実にブルーになるもん。気分が鬱の人は見ない方が良いかも。或いはとことん鬱を満喫したい、行くところまで堕ちたいという人には良いかも。
 何はともあれ、『リリイ・シュシュのすべて』これはいい作品だと思う。
 この映画、日本でも知名度は然程高くないようです。
 タイ人に見せたら、何だか眠くなる映画だと言われてがっかりしました。


 * リリイ・シュシュ として歌っていた方は現在 Salyu と云う名で活動しているそうです。当時無名だった蓮見雄一役の市原隼人、津田詩織役の蒼井優、星野役の忍成修吾、そして、久野役の伊藤歩も今ではだいぶ有名になってますね。

リリイ・シュシュのすべて

 *『 リリイ・シュシュのすべて 』の小説版もあります。これがまた、意表を突いています。映画とはちょっと内容が異なってます。さらに、映画ではわからなかったリリイ・シュシュの側面が見えます。

 余談ですが、映画『 KILL BILL 』を観てビックリ!何と挿入歌にリリイシュシュの『回復する傷』という曲が使われていた。タランティーノもリリイファン!?





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最終更新日  2012.03.30 16:48:18
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