女草子奥の細道
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山形領に立石寺と云う山寺あり。・・・・岩に巌を重ねて山とし、松柏年ふり、土石老いて苔なめらかに、岩上の院々扉を閉じて、物の音きこえず。岸を巡り、岩を這て、仏閣を拝し、佳景寂莫として、心すみゆくのみおぼゆ。 閑さや 岩に しみ入 蝉の声 「奥の細道」の句の中でも有名なこの句をどう料理するかが決まらずに、山寺詣でも延ばし延ばしにしてきましたが、このたび機会がありまして、大先輩高城景子姐と同行二人の旅をしました。ハイヒールで石段を登るのが粋なのよ、と颯爽と行く景子さん。わたしは一応スニーカーは思いとどまって、底の低いサンダルで出かけました。 思いのほか人が多く、駐車場もほとんど埋まるほど。人々は列をなして登っていきます。樹齢なん百年という杉木立ちの中、芭蕉が登ったのは七月中旬で蝉時雨が降り注いでいたのでしょうが、この日は梅雨入りしたばかりとあって、あいにくの雨・・・ひとまず芭蕉記念館でお勉強、をしているうちに雨も上がって、雨上がりのさわやかな空気の中の登山となりました。人々は「うわ~まだなの~~」「もう休もうよぉ」などと言いながら、ひたすら登っていくのですが、ふと『私たち』を見かけては「?」と思い、すれ違いざまに声を聴いては、驚いて言葉を失います。 もとの句も、初めは「山寺や石にしみつく・・」だったとかで、「山寺」を上五に持ってきて、「しづけさ」も「蝉時雨の中での静寂」ではなく、「お山をハイヒールにひらひらスカートで登る女装子を見た驚きの静寂」に摺り換えてパロディにしてみました。「この、見られる快感がたまらないの」と景子さんは仰るのです!わたしはそこまでの境地には達していなくて、目立たない、気づかれない、溶け込む女装を目指しているのですが、せっかく一緒に行動するときは、少々ポリシーを曲げたってかまいません(笑)その後も、さくらんぼを売るおじさんを値切ったり、おでんを買って店先の縁台で食べながら撮影したり、楽しい旅は続いたのでした。
2009.06.14
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