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M's Whisky Diary は下記のURLに引っ越しをいたしました。 http://msbar.blog.shinobi.jp/よろしければ、ぜひまたお立ち寄りくださいね。
Oct 13, 2007
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以前の日記にも書いたが、The Whisky Worldの創刊号が昨日発売された。書店でお目に止まったら、ぜひお手に取ってご覧いただきたい。写真も多く、気軽にお読みいただける雑誌だと思う。手前味噌で恐縮だが、『テイスティング』と『失われた蒸留所』のページは必見である(笑)。『テイスティング』では、テイスターたちの好みの違いによって評価の差異が生じている。こういう現象は興味深くもある反面、参考にしようとお読みくださる方にはかえって混乱を与えてしまうかもしれない。が、所詮は嗜好品である。差異が生じるということは、すなわち他人のテイスティング評価は参考程度にしかならないということの証左でもあるのだろう。『失われた蒸留所』の掲載は10年計画である(笑)。が、スコッチ辞典は今年中に書き上げる予定であるので、その後の掲載に意義が見いだせるのかどうか、微妙ではある。※The Whisky Worldに関するお問合わせは、プラネットバルンまで。(東京:03-5765-2737 大阪:06-6374-2078)
Mar 26, 2005
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この日記の本家に当たるM's Barは勿論ウェブ上における仮想バーなのだが、そのバーチャル性は恒常的なものではなく、気まぐれにその存在が具現化することもある。 告知をしてから、はや数日を経ているのですでにご存じの方もいらっしゃるかとご拝察申し上げるが、スコッチ文化研究所西麻布支部のテイスティング会として4/3に再びその日が訪れることと相成った。ついては皆様のご出席を賜わりたく、慎んでお願い申し上げる次第である。詳細については、恐縮だがスコ文研の『奇跡の60年代』のウェブページをご参照いただけるだろうか。また各ボトルの入手に関するエピソード等はGuestbookに記したので、ご興味のある向きはご覧いただけたら幸いだ。
Mar 14, 2005
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今回も皆様のご支援、ご協力を賜わり、Malt of The Year 2004を閉幕することができた。厚くお礼申し上げる次第だ。また、口コミやウェブでノミネートや投票を呼び掛けてくださった方々にも、改めて感謝申し上げたい。M's BarのGuestbookにも結果とコメントは記したが、ここにも結果のみを載せておくことにする。 ●オフィシャル部門 : OLD PARR Classic 18y ●ボトラーズ部門 : LAPHROAIG 1990 Kingsbury John McDougall ●コスト・パフォーマンス部門 : BOWMORE 1993 The Golden CaskM's Barのトップページ
Feb 23, 2005
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12日はウイスキーマガジン・ライヴ!だった。この日記をお読みくださる方々であれば、少なからず足を運ばれたこととご拝察申し上げる。今回で第5回を迎えた当ライヴだが、“あること”が楽しみで2回目以降はずっとスタッフとして働かせていただいている。あることとは、イベント終了後に開かれるパネラーたちも交えた『打ち上げ』である。私個人は、これだけのために働いているといっても過言ではない。酒が入った彼らの、普段は決して見せないような言動を見るのも楽しみのひとつである。はっきり言って“壊れる”連中も出てくる。一次会は毎年六本木のGで開かれることになっているが、店にはさぞかしはた迷惑な客だと思われていることだろう。いつ誰が教えたのか忘れたが、いわゆる“イッキ(かけ声の騒がしさは一気というより一揆?)”が、この飲み会での恒例行事である。まあ本来であれば、時代錯誤と言おうか、ある意味痛くとても勇気を要する行為なのだが、やらざるを得なくなると言うよりは、むしろ進んでやりたくなってしまうあの空気は、改めて考えるととても恐ろしい・・・。今回はジャンケンの敗者がデカンター、もしくはタンブラーに注がれた冷酒を一気飲みするという、輪を掛けて“痛い”ゲームだった。と、散々こき下ろしている当方だが、もちろん参加していたのは言うまでもない。二次会では、疲れが出たのか、もしくは飲み慣れていないということもあったのかもしれないが、冷酒は水のようなものと豪語していたウイスキー評論家のD.B.氏が、見事に撃沈。その後三次会まであったのだが、お開きになったときすでに4時を回っていたと思う(と歯切れが悪いのは、私の頭もグルングルンと回っていたので・・・)。ライヴ当日はいろいろと事情もあって5時に起きた。近年これだけ疲れたのは、ちょっと記憶にない。とても長い一日だった・・・。参加された皆さん、スタッフやパネラーの方々、本当にお疲れさま!
Feb 14, 2005
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オールド・ボトルの真贋問題がウイスキーマガジン誌上を賑わわせたのは一昨年のことだが、強い衝撃を受けたことを今でも思い出す。デイブ・ブルーム氏が“奇妙で疑わしい”と名指しで槍玉に上げたもののひとつが『R・ソーン&サンズ社』のウイスキーだ。これに対し大反論をぶちまけたのが『ダンスク・モルトウイスキー・アカデミー』のP氏だった。そして昨年、アカデミーは真実を探究すべく所有しているボトルの1本を開栓し、サンプルを放射性炭素のテストにかけるためオクスフォード大学に送ったらしい。その結果は、大方の予想どおり“クロ”だったそうである・・・。開栓されたボトルは、1900年頃に蒸留されたとされるヘーゼルバーンの12年物だったとのこと。これらのボトルの出所ははっきりしていて、A.J.というドイツ人である。ボトルの開栓にあたっては彼も招待されたそうで、その場でテイスティングした彼は、コルクの材質が当時のものではないとわかったにもかかわらず、「中身は本物だと確信する。」とぬけぬけと言ったそうな・・・(笑)。ちなみにこのA.J.なるドイツ人、なんと現在でもオークションのeBayに出没しているそうで、P氏からは注意がよびかけられている。参考URL:http://www.whiskynyt.dk/modules.php?op=modload&name=News&file=article&sid=687
Jan 14, 2005
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年が開けて、はや一週間が過ぎた。遅くなってしまったが、慎んで新年の挨拶を申し上げたい。あけまして、おめでとう!不馴れなせいもあるのだが、師走はここの日記を中心に生活が回っていた気もする。ちょっと疲れた・・・。今年はそのサイクルを見直し、少し距離をおいてみようかと思っている。さて、なんだかんだいいつつも『The Malt of The Year 2004』は、結局行なうことと相成った。ついては、何とぞ皆さんのご協力いただけるよう、切にお願い申し上げる次第である。まずはノミネートからなのだが、皆さんからのご推薦を心よりお待ちしている。ノミネートの応募のページへは、M's Barのトップページに設置されているボタンからアクセスして欲しい。今回からは、少し肩の力を抜いてやろうかと考えている。いや、決して“手を抜く”という意味ではないが、これまでは投票の多寡などで一喜一憂しすぎていたかなと反省しているのだ。もっと悠然と構え、楽天的にやることがこういうものを長続きさせるコツなんだろうが、ついいろいろと考え込んでしまう・・・。
Jan 8, 2005
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『The Malt of The Year 2004』に関することを、M's BarのGuestbookに書き込んだので、よかったら見て欲しい。では、どうぞよいお年を!
Dec 31, 2004
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昨夜は忘年会だった。会場は南青山の『BAR酒場』。二次会はなかったので、久しぶりに西麻布界隈をひとりで飲み歩くことにした。足を運んだ順に並べると ヘルムズデール ウォッカトニック テーゼ タフィア ファズとなる。さすがに疲れた。いつも思うのだが、どれだけ泥酔しても家まではたどり着けるのは不思議だ。昨日は記憶をなくすことはなかったが、どうやって帰ったかを覚えていないことも最近は結構あったりする(笑)。やはり人間にも、いわゆる帰巣本能というやつが備わっているのだろうか・・・?
Dec 30, 2004
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THE WHISKY WORLDでの仕事にあたり、今の手持ちの資料だけではちょっと心もとない。そこで今まで何となく買いそびれていた本を、まとめ買いした。 ●『スコッチウイスキーの歴史』 by ジョン・R・ヒューム&マイケル・S・モス ●『Scotch Whisky: A Liquid History』 by Charles MacLean ●『Whiskey Bible 2004』 by Jim Murray ●『The Lost Distilleries of Ireland』 by Brian Townsend ●『Scotch Missed』 by Brian Townsend ●『Peat Smoke and Spirit』 by Andrew Jefford『スコッチウイスキーの歴史』は価格がネックでなかなか買えなかったのだが、今回幸運にも中古本を見つけることができた。『Scotch Missed』は以前にコピーしていただいたものを持っていたのだが、最新版を取り寄せることに。『Peat Smoke and Spirit』は今、巷で噂の本である。本を開き、目に飛び込んでくる大量の英文を眺めていると正直めげそうになる(笑)。が、ここは頑張って読むしかあるまい・・・。
Dec 29, 2004
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土屋さんからお許しをいただいたので発表するが、来年3月にスコ文研が企画した『THE WHISKY WORLD』という季刊誌が創刊される。詳細は、後日スコ文研のサイトに載ると思うのでそちらを見て欲しい。その中で、『失われた蒸留所』という連載を当方が担当させていただくことになった。元々は『スコッチ事典』で発表するはずだったコンテンツだが(笑)、一足先にこの季刊誌で活字になる。あと、新商品のレビューも当方が担当する予定である。この季刊誌への協力要請をいただいたとき、まず最初に頭に浮かんだことが『スコッチ事典』の執筆への影響である。しかしものは考えようだ。現在停滞ぎみの『スコッチ事典』には、時間を割かれることのデメリットよりも、むしろカンフル剤として作用するメリットの方が大きいかもしれないなと今は思っている。
Dec 28, 2004
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ブルイックラディ蒸留所は、ウイスキー造りにテロワールという思想を取り入れ、実践している数少ない蒸留所のひとつだ。昨年はボトリング工場を建造し、アイラ島以外の水を使用する必要がなくなった。今年はローカル・バーレーに挑戦し、9月に収穫された大麦はすでに蒸留までの行程が終了している。テロワールの概念が、ウイスキーにどれだけの効果を及ぼすのかは分からない。神経を研ぎすまさなければ、知覚できない程度のものである可能性もある。しかし蒸留所の没個性化、ウイスキーの風味の画一化が叫ばれ出して久しい今、ブルイックラディ蒸留所のような考え方はとてもいいと思う。こういうことをコングロマリットに抱え込まれた蒸留所に求めるのも酷かとは思うが、業界の将来を考えるなら、どこの蒸留所でも取り組まねばならない時期はすでに来ているのではないだろうか・・・。
Dec 27, 2004
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ウイスキーマガジンのウェブサイトを見て知ったのだが、最新号(44号)にピートに関する興味深い記事が載っているようだ。ウェブには記事の一部しか掲載されていないので、すべてを読まなければよくは分からないのだが、「一般的に公表されるピートのフェノール値は、焚き込まれた当時のものだ。しかしそれが、蒸留液に100%反映(原文では“recover”)される訳ではなく、どれくらい反映されるかは様々な要素によって左右される。もちろん蒸留所によってもまちまちだ。」といった内容のことが書かれてあるらしい。例えば、40ppmも焚いてあるクロフテンギアがあんなにライトなのは、すなわち反映率(recovery rate)が低いということになるのか・・・?
Dec 26, 2004
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ピーティなアイル・オブ・ジュラというのがある。1999年の1月にわずか2週間だけ試験的に仕込まれたもので、稀少価値が高い。すべてをシェリー樽に詰めたそうで、この点でもイレギュラーだ。ちなみスーパースティションにもこのピーティ・ジュラがヴァッティッグされていることは、よく知られている。実は、価格に釣られてヘヴィリー・ピーテッドのジュラ5年を買ってしまった。ロイヤル・マイル・ウイスキーのオリジナル・ラベルの、58.4%のやつである。一昨年に出された3年物は、巷ではそれなりに評判がよかった。もっとも、私自信は正直なところあまりぴんとこなかったのだが・・・。スコ文研のスコッチ通信(12号)のテイスティングでも、パネラーの中で唯ひとり「おいしい」と言わなかったのが私だ。ちなみにこの5年物だが、ウイスキー・エクスチェンジからも同樽疑惑(スコ文研サイトの『エジンバラNOW』参照)のある、トール瓶のヴァージョンが出されている。と言うか、実はカスクナンバーはどちらも#19で、ずばり同じ樽からのものなのである。しかし何故かアルコール度数は違ったりしている(笑)。ウイスキー・エクスチェンジのものは、60.6%と表記されている。同じ樽のモルトである以上飲み比べは意味がないが、どちらの度数表示も間違っていないのであれば、こちらも味見くらいはしてみたい。 【香り】 気の抜けたサイダー。ピート。エチルアルコール。海岸沿いの濡れた土。加水すると、粘土のよう。 【味】 スパイシー。砂糖をたっぷり加えたきな粉のような甘み。ナッティでニューポッティ。加水すると塩味が出てくる。 【フィニッシュ】 ニューポッティ。シェリー由来の、喉にひっかかる甘み。
Dec 25, 2004
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さて、ブルイックラディの『3D』が届いたので、レポートしてみたいと思う。まず第一印象だが、想像していたよりは遥かに“まとも”である(笑)。実は、クロフテンギアのような風味を想像していた(ただしフィニッシュは似てなくもない・・・)。香りには潮のニュアンスがあり、オイリーでピーティ、そして意外と複雑である。ブラインドで出されたら、プルトニーか?と思ってしまうかもしれない。もっとも、ここまでピーティなプルトニーは稀だが・・・。口に含むと、やはり若さは隠せない。加水すると、ニューポット風味は更に顕著になる。想像だが、このモルトのメイン・ウイスキーはポート・シャーロットなのだろう。価格から考えても、あとの“2D”、6年物(リフィル・バーボン)と15年物(リフィル・シェリー)は、あくまでも調整用のドレッシングなのだと思う。もっとも、そう考えてしまうのは「ポート・シャーロットは、まだ“すっぴん”ではつらかったのかも」といった、邪推が根底にあるからなのかもしれないが・・・。 【香り】 新鮮なリンゴ。潮風。海岸近くを流れるどぶ川。加水すると、プルトニーのよう。奥に甘いシェリー。 【味】 舌に乗せた瞬間はイチゴジャムのようで美味。次第にダンボール。喉越しはニューポット。加水するとさらにダンボール。 【フィニッシュ】 ニューポッティで、やや喉にひっかかる。
Dec 24, 2004
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一部の地域のみで売られていたジョニーウォーカーのピュア・モルト15年(通称“ジョニ緑”)が、先月、正式に“グリーン・ラベル”として全世界に向けてリリースされた。カードゥの件で懲りているディアジオ社は、どういうカテゴリーのウイスキーとして売ればよいか悩んだそうである(笑)。結局、SWA(スコッチ・ウイスキー・アソシエーション)の意向どおり、“ピュア・モルト”の呼称はやめて、“ブレンデッド・モルト”となった。これは、カードゥ禍のおかげで生み出された“新語”である。M's Barの中では「ブレンデッド・モルトとは言わない。」なんて書いてあるので、書き直さなくてはならない(笑)。過去にも“ヴァッテド・モルト”とラベルに表記されることはほとんどなかったが、よほど嫌われているようである。イメージがよくないのだろうか? 英語的な感覚はよくわからないが、なんとなく“品がよくない”という気はしないでもない。しかし、もし一般的に普及していないからという理由で敬遠されるのだとしたら、それは使わないから普及しないのだろう。ウイスキー業界では一般的に使われている表現でもあり、もし今後廃れてしまうのであればちょっと残念な気もする。
Dec 23, 2004
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最近、http://www.sunfavorite.com/whisky/をときどき覗いている。中国語のサイトである。残念ながらそのままでは読めないので、もっぱらここと首っ引きだ(笑)。なかなかマニアックな話題も多く、結構楽しめる。ちなみに、以前にM's BarのGuestbookで紹介した『偽Arran 1982』の画像は、このサイトにあったものである。なお、個人情報を登録した上でログインしなければ、投稿記事等は読むことができないので注意が必要だ。偽Arranが出現するあたりからも推察できるが、中国では今年になってからシングル・モルトがブレイクしているとのこと。スコットランドからの輸入額が、2004年前半期だけで、2003の総輸入額のなんと170%以上に達したそうである。他国のことではあるが、一時的なブームで終わらないで欲しいと願うばかりだ。
Dec 22, 2004
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今年衝撃的な(?)デビューを飾ったモダンマスターズの第2弾が、来月リリースされる。まだ販売元のウィスク・イーからは発表されていないと思うが、近日中に配送される予定のウィスク・イー・メール75号の中に書かれてある。今回のラインナップは、 ●グレン・グラント 1967 ●ベンリアック 1975 ●ダラスドゥ 1975 ●ロングモーン 1976の4本だ。第1弾のときもそうだったが、ウイスキー選びには私も一枚噛んでいるので、実は少なからず思い入れのあるシリーズなのである。中身に関しては、前回よりも自信がある(と言うか、私好み?)。なおボトルの詳細は、後日ウィスク・イーのサイト内で公表されるので、それまで待って欲しい。
Dec 21, 2004
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テイスティングノートは、、土日も関係なく不定期に記していくことにした。苦しい台所事情がバレバレですな(笑)。さて、ボトラーズの話を少ししようかと思う。私がウイスキーに目覚めた1990年頃、インディペンデントボトラーと言えばG&Mとケイデンヘッドを筆頭に、五指で余る程度の数しかなかった。しかし現在、全容を把握しきれないほど沢山のインディペンデントボトラーが登場している。雨後の竹の子のように現れ、あれよあれよと言う間にびっちりと生え揃ってしまったという感じだ。しかし、これだけひしめき合うボトラーの需要を満たすだけの樽が、いつまでもあるものなのだろうか・・・? 大手のボトラー以外はどこも、樽の入手先はおなじブローカーだそうである(笑)。となると、いい樽は次第に奪い合い状態になっていくことも考えられる。遅かれ早かれ、弱小ボトラーは淘汰されてしまうのかもしれない。興味深い記事が先日届いたウイスキーノーツ(WhiskyNotes)の#367に載っていた。その記事とは、ドイツの有名なオンライン・ショップである『ザ・ウイスキー・ストア』のマネージャーであるホルスト・ルーニング氏が、モルト・アドヴォケイト誌とウイスキーノーツの編集者であるジョン・ハンセル氏に宛てたメーセージである。ルーニング氏は、『ビッグ4』以外のインディペンデントボトラーは、今後10年以内に消えるだろうという厳しい予測をしている。しかし一部の弱小ボトラーたちは、そのような危機感を全く持っていないらしいのだ。ちなみにビッグ4というのは、イアンマクロード、ゴードン&マクファイル、シグナトリー、そしてダクダスレインの4社のことだ。なお、所有する樽の数こそビッグ4に及ばないが、4000樽あまりの古酒を持っているダンカンテイラー社も生き残るだろうとも述べている。参考までに、ビッグ4の所有している樽数の一覧も載せておこう。 ●イアンマクロード: 20,000樽(Glengoyne倉庫を除く) ●ゴードン&マクファイル: 17,000樽(Benromachを除く) ●シグナトリー: 12,000樽(Edradourを除く) ●ダグラスレイン: 10,000樽彼は、今後のスコッチ業界で生き残っていけるのは『ウイスキーメーカー』だけだと考えているようだ。すなわち、蒸留所を所有しているウイスキー会社ということである。現在ビッグ4の中で蒸留所を持っていないのはダグラスレインだけだが、噂によれば狙いをつけている蒸留所があるらしい。
Dec 20, 2004
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伝統を重んじるシングル・モルトの作り手も、売るためには手を代え品を代えといった感じの昨今だが、アライド・ドメーク社が面白いことをやっている。9月にグラスゴーで行なわれたウイスキー・ライヴで発表されたラフロイグでも注目を浴びた、『クォーター・カスク』という手法である。他種の酒の風味を取り入れる『フィニッシュ物』という奇策(?)も、最近では行き着くところまで行ったようである。一世を風靡したころの斬新さも薄れ、やや手垢がついてきた感もなきにしもあらずだ。そんな折り、アライドが新しい一手を指してきた。とは言うものの、この『クォーター・カスク』も実は“フィニッシュ物”なのである(笑)。ラフロイグのサイトには「The additional oak influence from the quarter」といった表現で、フィニッシュ物であることをそれとなく謳っている。フィニッシュの期間だが、スコ文研サイトの『エジンバラNOW』によれば、“7ヶ月程度”だそうである。ちなみに『クォーター・カスク』のどこがそんなに新しいのかと言えば、むしろ“古い”点なのだ。19世紀の初め頃は今と違い、100リットル程度の容量の小さな樽が使用されていた。樽の搬送に、ラバや馬を使用していたためである。すなわち、バットやパンチョンでは重すぎたのだ。また樽をバランスよくラバの背に積む為には2つを左右に振り分けねばならず、尚更軽く小さくする必要があった。なお、荷物を小さくしたのは、お上に見つからぬよう、細い農道を通り抜けるためだったとも言われている。いずれにせよ、当時はその小さな樽で寝かされたウイスキーが飲まれていた訳である。そこに目をつけたのがアライド社だ。小さい樽を使用するデメリットは、イレギュラーなサイズの樽をつくるために余計なコストがかかることである。逆にメリットは、熟成が早く進むことだ。このラフロイグ、熟成年数は表記されていないが、やや若いカスクストレングスのモルトが詰められてあるとのこと。価格は10年のカスクストレングスより若干安いが、“樽制作のコスト”が“若年によるコストダウン”を相殺しきれていない点を考えると、かなり若いモルトなのではないだろうか・・・。
Dec 19, 2004
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40年物の話の続きになるが、ブナハーブンの1963がどういう訳か最近急に出回り始めた。しかも価格は、ブルイックラディ40年の5分の1(笑)。ボウモア40年と比べれば、わずか20分の1である。まあボウモアはヴィンテージが1955と、他と比べてひときわ古いので単純な比較はできないのだが。とは言え、なんとも言えない複雑な気持ちになってくる。それにしても、なんて謙虚なブナハーブン・・・(涙)。M's Barの『アイラ・フェスティバル・レポート』などにも書いたが、このブナハーブンの1963は、昨年のアイラ・フェスティバルを記念してボトリングされたもので、総本数は743本だとのこと。フェスティバルの抽選でもはずれてしまったし、もちろん私は飲んだことがないのだが、ロッホファインのサイトには「Acquaintance 1968ほどは美味しくない・・・」なんて書かれてしまっている。残念・・・。
Dec 18, 2004
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先月、ブルイックラディ蒸留所が、1964ヴィンテージ40年物を出した。アイラ島の蒸留所の中で、オフィシャルの40年物を出したのは、ラフロイグ、ブナハーブン、ボウモアにに続き4番目である。注目すべきはその価格だ。オフィシャルサイトのショップページには、VAT込みで1,000ポンドだと書かれてある。税を引いて日本円に換算すると、17万円くらいだろうか。ラフロイグの40年なら2本買える値段だ。一昨年に発売された、ヴィンテージでは1年しか違わない1965 レガシー(2nd) 37年のおよそ5倍である。う~む、40年が高いのか、レガシー37年が安いのか・・・? ちなみに1964は、現在ブルイックラディ蒸留所が持っている樽の中では最古のヴィンテージだそうな。今日も、古酒を1本紹介する。シグナトリーのエドラダワー1968である。1990年ボトリングの、21年物だ。“シグナトリーのエドラダワー”なんて当たり前じゃないかと錯覚しがちだが、これはペルノ・リカール社がオーナーだったころに出されたものなので、現在でもインディペンデント・ボトラーズもの扱いとなる。度数は46%、ボトルの形はダンピーで、ラベルはいわゆる“羽ペンラベル”と呼ばれる古いタイプのものである。5つの樽をヴァッティングしてあり、総本数が1,300本だなんてことがラベルには書かれてある。香りの最前面には、紛う方なき酪酸臭・・・。これぞジ・エドラダワーである。なお、最近のエドラダワーはパフューミーになったとよく言われるが、実はこの1968にもそれは感じられる。 【香り】 ピーナッツバター。マーマレード。乳酸菌飲料を飲んだ赤ちゃんのゲップ。加水すると、香水のよう。 【味】 香りがそのまま味になった感じ。ビターチョコレート。加水すると、人工甘味料で甘みをつけたホイップクリーム。 【フィニッシュ】 パフューミーなニュアンスが喉に残るが、ワタシ的にはまったく気にならない。
Dec 17, 2004
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なんだかんだ言いながら、Bruichladdich 3Dも買ってしまった・・・。まだ手元にはないのだが、すでに送ったとの知らせがきたので、遅くとも来週中には届くと思う。キルダルトンとは、また違った意味で(?)楽しみである。さて、ウイスキーの紹介だが、そろそろ手持ちのボトルも尽きてきた(汗)。また入手しづらい古酒で申し訳ないが、今日はG&Mのリンクウッド1960である。10年くらい前に買ったものだ。2本購入したのだが、1本はその頃に飲んでしまった。そのテイスティング・ノートは、M's Barの中にも書き残してある。なので今回は、あらためてのテイスティングとなる。開栓したのは2か月ほど前だ。10年前に飲んだときより心証はいい。ゴム臭に対する免疫ができたのだろうか?(笑) 最近ボトリングされたリンクウッドに比べれば、遥かに旨い。ただボディは軽く、加水の加減が難しい。 【香り】 シェリー。蜂蜜。バナナ。ゴム。花を栽培している温室。加水すると、樽香とスモーク。 【味】 甘酸っぱさが心地いいが、それを打ち消すような渋味がある。加水すると飲みやすくなるが、苦味も出る。 【フィニッシュ】 シェリッシュな渋味。喉には渋味だけが残る。話は逸れるが、このリンクウッドのようにシェリッシュで繊細なウイスキーというのはラスティネイルに向いている。いろいろと試してみて、ずいぶんと向き不向きがあることに気づいた。このリンクウッド1960のラスティネイルならば、私は何とか2杯は飲める(笑)。カクテルにヴィンテージ・モルトを使うなんて、というご批判は甘んじて受ける。が、ま、美味しければいいではないか・・・。ちなみにスモーキーなモルトとドランブイとの組み合わせというのも、想像する分には食指が動くが、実際には思うほど相性はよくない。
Dec 16, 2004
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11日の日記で、ローモンドに市販された記録がないと書いたところ、James MacArthurのミニチュア・ボトルがあるとのご指摘をinchmoreさんよりいただいた。不勉強で面目ない。そこで市販されたかどうかは問わず、また飲める可能性が極めて低く、かつあまり古くないものということで『飲んでみたい幻のモルト ベスト5』にしてみた(あはは。そろそろネタ切れか・・・?)。1. モルト・ミル Malt Mill (ラガヴーリン蒸留所)2. ローモンド Lomond (インヴァーリーヴン蒸留所)3. クレイグダフ Craigduff (ストラスアイラ蒸留所)4. アイルブレイ Islebrae (モファット蒸留所)5. グレンアイラ Glenisla (グレンキース蒸留所)モルト・ミルに関しては、スコ文研のスコッチ通信17号に詳しく書かれてある。ラガヴーリン蒸留所の所長、ドナルド・レニック氏のオフィスには、なんとモルト・ミルのサンプル・ボトルがあるとのこと・・・。さて今日は、古いヴァッテド・モルトのブリタニア8年を紹介する。このブリタニアは、ジョンソン・ジャッジ社(ダンカン・スコット社)によって、日本向けに特別に作られたブランド。イングランド王チャールズ2世の愛人だったフランシス・スチュアートをモデルにしたと言われる、ブリタニア女神像の描かれたラベルが印象的だ。残念ながら1993年に製造が止められてしまった。それでもヤフオクなどでは、たまに出品されているのを見かける。ブリタニアはブレンデッドも含めると4種類のボトルが発売されていたが、ヴァッテド・モルトは「Pure Malt」と表記されている8年物とクリスタル・デキャンターに詰められた25年物の2種類である。ベースになっているモルトはキャンベルタウンのグレン・スコシアだが、恐らく同系列だったリトルミル蒸留所のモルトもふんだんに使われているのだろう。過去に何種類かのボトルを飲んだが、香りがひねているものと、そうでないものとが存在する。今手元にあるのは、わずかにひねている。開栓したのは、1年半ほど前である。ちなみにブレンデッドのブリタニアは、ほとんどがひねているようだ。 【香り】 潮。青魚の干物。りんご。ダンボール。干し椎茸。加水すると、フルーティで甘い香り。 【味】 スパイシーだがボディは軽く、やや熱劣化の徴候。加水するとみりん干しのようなニュアンスが出る。 【フィニッシュ】 余韻は短い。埃っぽく、フラットで甘苦い。
Dec 15, 2004
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私がアードベッグを愛する理由は、そのスモーキーさだけではない。ベースとなっているモルトの、妙な不透明感がいいのである。土っぽくも感じられ、その土がアルコール中に浮遊しているかのように感じるときさえある。常にスモークという仮面をかぶっているアードベッグだが、その素顔には常々興味があった。その素顔を拝む機会が、遂に訪れたのだ。余談になるが、昔のカル・イラやポート・エレンにはピート香の軽いものも結構あった。しかし飲んで、「???」ということが多かったのも事実である。“ピート香が命”の、今のカル・イラには絶対にキルダルトンの真似はして欲しくない。ついでに言えば、ラガヴーリンならまだしも、ラフロイグもライトリー・ピートものは出さない方ががいいと、私は思う・・・。さてキルダルトンだが、ここまでの甘さは予想していなかった。香りはオイリーで潮っぽく、まるでプルトニー蒸留所のモルトのようなのだが、口に含んだ途端に強烈な甘みが広がる。インターネット上にも、早速飲まれた方々のテイスティングノートがちらほらとアップされているが、評価は様々なようである。ちなみに、私は“とても”気にいった。 【香り】 潮風。海沿いのウェアハウス。グレープシード・オイル。加水すると花の香りと柑橘系の酸臭。 【味】 砂糖を入れ過ぎたコーヒー。土のニュアンス。加水すると、ミルク・キャラメル、昔ながらの日本製のチョコレート。 【フィニッシュ】 コーヒー・キャラメル。アレキサンダー・カクテルをウイスキーベースで作ると、こんな感じか?
Dec 14, 2004
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今朝、アードベッグのキルダルトンが届いたので早速飲んだ。非常に甘い。ミルク・キャラメルを口いっぱいに頬張っているようだ。余韻はコーヒー・キャラメルに変わる。テイスティングノートは近日中に載せるつもりである。さて今日は、スピリット・オブ・スコットランド・シリーズの新顔であるアバフェルディ1989を取り上げる。今年の7月にボトリングされたものだ。これも例によって、ジャパン・インポート・システム向けの限定商品である。度数は59.9%、樽はリフィル・シェリーのホグスヘッドだとのこと。ボディは厚く、無難に美味しい。味の好みは十人十色とは言え、このあたりのものを悪く言う人はいないと思う。ま、わたし的には、ちょっと優等生過ぎてつまらないと思わなくもないのだが・・・。 【香り】 シェリー香は強すぎもせず、弱すぎもせず、モルト香との絡みが絶妙。加水するとナッツと軽い酸臭。 【味】 バター・キャンディのような甘さ。加水すると、シェリッシュでナッティになりマッカランのよう。樽系の苦味。 【フィニッシュ】 バニリー。加水したものはシェリー樽熟成モルト特有の渋味が喉に残るが、それほど不快ではない。とても甘いモルトだが、キルダルトンと比べるとドライに感じる(笑)。
Dec 13, 2004
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9月にパリで行なわれたウイスキー・ライヴで発表された『Bruichladdich 3D -The Peat Proposal-』について書こうかと思うが、あちこちで話題になっているのですでにご存じの方も多いと思う。これはポート・シャーロットとブルイックラディとをヴァッティングした、“シングル・モルト”である。もしかしたら、アイル・オブ・ジュラのスーパースティションあたりからヒントを得て企画された商品なのだろうか? 近年はモルトのヘヴィリー・ピーテッド化が流行しているようだが、この傾向は来年も続きそうである。この『3D』だが、3種類のまったく違ったキャラクターの原酒がヴァッティングされ、ノンチルフィルタリングで46%に希釈されてある。それぞれの配分比率は未公表なのだが、その3種類とは● Bruichladdich: 1989, 15 yo, 5 ppm, refill sherry cask● Bruichladdich: 1998, 6 yo, 25 ppm, refill bourbon cask● Port Charlotte: 2001, 3 yo, 40 ppm, 1st-fill bourbon caskである。すなわち、このモルトは3年物なのだ。実はまだ飲んでいないのだが、風味は何となく想像できる(笑)。なおパリのウイスキー・ライヴでは、1989はフェノール値が8 ppmと公表されていたようだが、現在は5 ppmに修正されている。
Dec 12, 2004
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“幻”と呼ばれているモルトはいくつかあるが、「もし飲めるとしたら・・・」というテーマでベスト5を考えてみた。が、シングルモルトとしては市販された記録がないものという条件をつけると、4つしか思いつかない(笑)。1. ローモンド Lomond (インヴァーリーヴン蒸留所)2. クレイグダフ Craigduff (ストラスアイラ蒸留所)3. アイルブレイ Islebrae (モファット蒸留所)4. グレンアイラ Glenisla (グレンキース蒸留所)ローモンド以外はすべてヘヴィリー・ピーテッドのモルトだ。ローモンドに関しては、「The Malt Whisky File」という本にカスクサンプルのテイスティングノートが載っている。「フルボディでリッチ」だと書かれてあり、食指が動く。クレイグダフとグレンアイラは、1970年代に試験的に蒸留されたものだ。1996年に発売されたザ・センチュリー・オブ・モルトというヴァッテドモルトには、このふたつのモルトが使用されている。グレンアイラは、おそらく先日レポートしたベンリアックと同じような風味なのではないかと想像できるが、クレイグダフはもっとボディが厚くフルーティに仕上がっていたのではないだろうか。なお、グレンアイラというのはストラスミル蒸留所の幼名と同じだが、直接の関連はないと思われる。アイルブレイはモファット蒸留所の第3のモルトだ(他のふたつは言うまでも、グレンフラグラーとキリーロッホ)。もし、この4つのいずれかがどこかに現存し売り出されることがあれば、どれだけの高値になるのか想像もつかない・・・。
Dec 11, 2004
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今年リリースされたコンパス・ボックスのザ・ピート・モンスターというのを、先日購入して飲んだ。46%で、熟成年数の表記はない。ヴァッティングされてあるのは2種類の蒸留所のモルトだけという相変わらずのこだわりぶりである。中身の詳細は最近になってやっとウェブ上で明かされたが、大方の予想どおり昨年リリースされたモンスターに準ずるもので、10~11年のカル・イラと、12~17年のアードモアだとのこと。であるから、ザ・ピート・モンスターとモンスターとの違いはアルコール度数と価格のみということになる。加水してあるかそうでないかの違いだけなのだが、価格が倍近く違うのには驚かされる。アードモアを使用するところにはディープなこだわりを感じるが、正直言うとどこにアードモアのよさが表れているのか私には分からなかった。なおモンスターは元々、アメリカのニューヨークにあるパーク・アヴェニュー・リカー・ショップのために造られたブランドで、このショップでしか購入できなかった。現在はウイスキー・エクスチェンジ等からでも購入できる。さて、今日のテイスティングはG&Mブラウン・コニッサーのノックドゥ1974だ。10年物である。ちなみにコニッサーズチョイスのノックドゥ1974と聞いて、ピンときた方は通である(笑)。どう通なのかと言えば、モルトウイスキー大全の中で土屋氏が「美味!」と絶賛されているボトルだからだ。私はオフィシャルのノックドゥにいい印象を持っていなかったので、この1974をずっと探し続けていた。一昨年にヤフオクでようやく見つけることができ、希望が叶ったのである。開栓したのは手元に届いて間もなくの頃だったと記憶している。すなわち、開けてからすでに2年以上が経過していることになる。さて、肝心の味だが、さすがに旨い。瓶内劣化が起きており、いわゆるひね香を放っているが、これまた私の琴線をくすぐる。 【香り】 ドライで、ピートのニュアンス。オイル漬けの干し椎茸。。加水するとドライフルーツ。 【味】 砂糖でコーティングされたドライオレンジ。加水すると炭酸のオレンジジュースのように弾ける。 【フィニッシュ】 やや疲弊を感じるが、フルーティで心地よい。軽い苦味が残る。
Dec 10, 2004
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プラバン・ナ・リンネ社が出している、ヴァッテドモルトのPoit Dhubhは発音が難しい。この悩みは万国共通のようで、インターネット上でも時々話題になっているのを見かける。実際には、“プ・デュー”あたりで通じ、買い物とかもできるらしい。しかし正確なゲール語の発音では“potch ghoo”となる。世界の名酒事典では“ポッチ・ゴー”となっているが、「Go!」と英語のように元気よく発音するのではなく、“g”の音を喉にこもらせるようにして柔らかく発音する。むしろ、“グー”もしくは“クー”の方が近いかも知れない。本日紹介するウイスキーだが、いよいよ真打の登場だ。紹介している一連のG&Mの古酒の中では、私がもっとも美味しいと感じたストラスアイラ1948である。ラベルはいわゆるブラック・コニッサーではなく、白地にイタリックで“Strathisla”と表記されている伝統的なデザインのものだ。注目すべきは、まるでイチゴのブランデーであるかのようなそのフルーティさである。 【香り】 よく熟れたイチゴとビワ。樽、潮、そしてピートのニュアンス。加水でピート香は霧散し、花の香り。 【味】 加糖されたイチゴのブランデー。加水するとネーブルオレンジを皮ごとかじったかのような甘酸っぱさと苦味。 【フィニッシュ】 フルーティだが、マーマレードのような苦味がある。余韻は暖かく、長い。
Dec 9, 2004
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焼酎業界が賑わっている。結構なことだ。ところで焼酎とウイスキーとでは、何が違うのだろうか? もちろん味が違う(笑)。当たり前だ。しかし焼酎は旨いがウイスキーは旨くないなんてことは、客観的に考えたってあり得ない。となると、人気不人気の差はイメージ的なものか? まあ焼酎と比べ、スノビッシュなイメージとかは確かにあるとは思う。ウイスキーを敬遠する心理というのは、例えば「所詮はあちらの酒。よくわからん。」「飲み方に堅苦しい不文律とかがありそうで、取っ付きにくい。焼酎はもっと自由だ。」「“M”のようなうるさ型のウンチクたれが多く、気詰まり。(TT)」てな感じなのだろうか? ん? でもそうするとワインがブームになったことを説明できない・・・。さて今日はリンクウッドの1939を紹介する。これもゴードン&マクファイル社の古酒の中では有名なヴィンテージである。G&M社のリンクウッドは1938が最も古いヴィンテージなのだが、極めてレアであり、1939とは対照的だ。ラベルにはいくつかのヴァージョンが存在するが、手元にあるのは“43”という熟成年数が表示され、最下部にヴィンテージの表記があるもの。コンデイションはとてもいい。ボディもしっかりと残っている。ニートの状態では、かくしゃくとしていて老齢を感じさせない。 【香り】 イチゴジャム。樽。合成樹脂。草花。シェリー。加水すると花畑にいるよう。 【味】 ジャム。イチジク。古樽を連想させる苦味。風邪薬のシロップ。加水すると渋味。 【フィニッシュ】 ドライでシェリッシュ。加水したものは、渋味が舌に残る。
Dec 8, 2004
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ウイスキ-という酒は、我が国ではちょっとだけ誤解を受けているように思う。正当な評価を得られていないという意味である。その誤解を生んでいる原因は何なのだろうか? 元凶のひとつは、スタンダードなウイスキーの飲み方として定着している、あの日本流の“極薄”水割りだと私は考えている。いくらアルコール度数が高くて飲みづらいからといっても、あんなに薄めたのではウイスキーの味なんてするわけがない。こんなの飲まされていれば、そりゃウイスキー離れも起きるだろうよ。私も一応業界と関わりを持つ身であるからあまり波風を立てるようなことは言いたくないが、日本のメーカーも蒔いた種はしっかりと刈り取って欲しいと思うのみである。ハーフロックというのも、導入としてはいい方法だと思う。ウイスキーを美味しく飲む秘訣は、「舌が心地よくなる程度に加水する」。基本はこれである。カクテル類は別としても、極薄水割り、オン・ザ・ロックス、ニートの3つしか選択肢がないかぎり、日本のウイスキー文化に未来はないだろう。明日は、焼酎と比べウイスキーの人気が低い原因について、ちょっと考察してみたいと思う。さてウイスキーの紹介のコーナー(笑)だが、近々の予定を実はちょっと考え直した。立ち上げた当初は、新旧織りまぜながら紹介していこうと考えていたのだが、今週いっぱいはゴードン&マクファイル社の古酒ばかりを取り上げていくことにしたい。入手しづらいものばかりを並べるが、ふんふんと聞き流してくだされば結構である。さて今日はモートラックの1936を紹介する。これも古酒にしては比較的よく見かける。先日紹介したグレン・グラント1936と同じ頃に海外から購入したボトルで、やはり一か月ちょっと前に開栓したものだ。全体的な印象としては、グレングラントよりは遥かに余力を残している感じである。60年物のモートラックが、同社より発売されたことがあった。もちろん飲んだことはないが、この1936から察する限りでは、そこそこしっかりしているのではないだろうか。 【香り】 レーズンバター。海水をかぶった樽。シェリー。レアチーズケーキ。加水すると草と石けん。 【味】 チョコでコーティングされたマスカット。海水。濃い紅茶の渋味。加水すると、苦味が出てボディが透けてしまう。 【フィニッシュ】 とろっとした舌触りだが、喉越しはドライでスパイシー。そしてシェリッシュ。
Dec 7, 2004
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ウイスキーという酒は、我が国では不遇だ。もっとも、「ウイスキー大国のひとつと目されているにも拘わらず」という但書きがつくが。ご存じない方は驚かれるかもしれないが、日本は世界でも有数のウイスキー消費国のひとつなのである。また消費大国であるばかりでなく、独自のウイスキ-文化を育んできた歴史もある。それほどウイスキーに親しむ国民でありながら、実際の食生活には驚くほど根付いていないのは不思議な現象だ。明日からは、この件について少しずつ言及してみたいと思う。さて、ウイスキーの紹介である。入手しづらい古酒が続いてしまい申し訳ないのだが、本日はゴードン&マクファイル社のオールド・プルトニー1961だ。これも例によってボトリングの年が表示されていないが、遅くとも1980年代の半ばまでには詰められたボトルだと思われる。12年ほど前に、池袋の某酒屋にて買い求めたものだ。現在ではモルト専門店でも見かけることはなくなった。プルトニー蒸留所は、本土の中では最も北にあることでも知られている。酒質はオークニーのスキャパに似ているが、潮のニュアンスが強く、より複雑でオイリーだ。そのためか、よくシェリーのマンサニージャが、似た風味の酒として引き合いに出される。またブルイックラディなどでもよく見うけられる現象だが、ピーティでないにもかかわらず潮っぽいというパターンだ。さてこのG&M社の1961だが、評価が難しい。通、もしくは上級者向けの1本である。例えばラガヴーリンやアードベッグといった主張の強い風味に馴れ親しんだ舌には、きっと物足りなく感じるはずである。繊細な風味の機微を、楽しめる方にならばお薦めできる。 【香り】 潮風、草原、漁船のオイル。加水すると青い柑橘系フルーツとスモーク。 【味】 塩。樽を連想させる苦味と渋味。加水で、蜂蜜をかけたチョコレートような甘さに。 【フィニッシュ】 潮っぽく、柔らかい。そしてオイリー。
Dec 6, 2004
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昨日のウインターボトリング・テイスティング会は、六本木にある全日空ホテルのバーダビンチを借り切って行なわれた。40名ほどのお客さまにお越しいただけたが、フロアが広いせいもあり、とてもゆったりとした空気の中でテイスティング会は進行した。長いカウンターの上に並べられたボトルは、なんと175種類。本数にすれば180本あまりだ。その中に12種類のウインターボトリングスが含まれれる。カウンターの中に立つのは、私を含めて4人である。今回のリストの目玉は、14.09と33.50あたりだろうか。前者はタリスカー、後者はアードベッグだ。14.09は先日のマンスリーフォーラムでも一番人気だった。とてもフルーティな好ましいアロマを放っているが、個人的には好きではない要素が喉越しに感じられ残念である。欠点が少ないという点では、むしろ33.50に軍配をあげたい。ヤングアードベッグのようなはつらつさがあり、よりスモーキーである。まるでオフィシャルボトルのようなアードベッグらしいアードベッグで、特にこのボトルならではという特徴は見当たらないが、香りを嗅いでから胃袋におさまるまで、ずっと笑顔でいられる美味しさを評価したい。もうふたつ挙げるとすれば、8.38と93.13だろうか。8.38はタムデュだ。風味は個性的で複雑。私は14.09より美味しいと感じた。93.13はグレンスコシアだがフェイキーなひね香のニュアンスがあり、好き嫌いの別れるところ。もちろん私は大好きだが、味は苦味が強い上にボディも軽めでちょっと頂けない。レアなところでは、20.33や122.05がある。前者はインヴァーリーヴンで、後者はロッホローモンド蒸留所のクロフテンギアである。20.33には一発でローランド物とわかる埃っぽさがあるが、意外にもボディはまずまずで、そこはかとなく(?)美味しい。クロフテンギアは日本では2回目のボトリングとなるが、やはりあの“えも言われぬエグさ”は健在である。12年物とのことだがニューポッティで熟成感に乏しく、まるで合成甘味料だけで味付けされた安物の炭酸飲料のようなニュアンスがある。ウインターボトリング・リスト自体は12月の下旬に発行されるが、ボトルの配布は来年の1月にずれ込む予定だとのこと。
Dec 5, 2004
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今日はSMWS(スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)のウインターボトリング・テイスティング会が開かれる。ボルツスタイル(キャッシュ・オン・デリバリーをソサエティではこう呼ぶ)のテイスティング会としては過去最大規模のものとなるそうで、今日は客ではなくヘルパーとして参加する予定である。この会のレポートは、明日以降にでも書かせていただくつもりだ。なお土日は、『テイスティングノート』は休ませて戴こうと考えている。今日の分を楽しみにしてくださっていた方には、お詫び申し上げる次第である。ちなみに年内には、噂のアードベッグ・キルダルトンが届く予定だ。手元に届き次第レポートしたいと考えている。
Dec 4, 2004
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2日ほど前に届いた酒販店からのメールマガジンで知ったのだが、アズ・ウィー・ゲット・イットの最新版はタリスカーだそうな。8年物である。ボトラーズ物のタリスカーではいつものことだが、ラベルには蒸留所名が表記されておらず“ISLAND”とだけ書かれてあるとのこと。最近のタリスカーはヤワになったので期待できるかどうかは微妙だが、機会があれば飲んでみたい。さて、今日はゴードン&マクファイル社のグレン・グラント1936を紹介しよう。ボトリング年はラベルに表記されていないが、恐らく1970年代だと思う。すなわち、ほぼ50年近く寝かされていたモルトだということになる。10年ほど前に個人輸入で手に入れたボトルなのだが、開栓したのは1か月ほど前だ。古いヴィンテージではあるが、未だに酒販店の古酒のリストなどには載せられていることも多く、古酒の中では比較的お目にかかり易いもののひとつだろう。もっとも、たまげた価格がつけられており、今日ではコレクターズ・アイテム以外の何物でもないのだが。10年前と言えば、とんでもない円高だった。それだけが理由ではないが、このグレン・グラントも、今の1/3程度の値段で買えたのは不幸中(?)の幸いだったと言えるだろう。とは言えよく買ったよ。清貧の美学を探究する快楽を知ってしまった(わっはっは、マジに取らないで)、昨今の私にはちょっと考えられない。この手のモルトは、実は評価が難しい。と言うのも、安易に通常のものと同じ土俵で比較してしまうのは、例えるならクラシックカーを現代の車と競わせるようなものだからである。酒においても老齢は斟酌してやるべきで、古酒はやはりそれなりの基準で見てやらなくてはならない。微妙なバランスの上に成り立ってはいるが、ボディは複雑だ。間違いなく美味だが、価格に見合う満足感が得られたかと尋ねられれば、「否。」と答えるしかないだろう。 【香り】 バニラ。古樽。しなびたレーズン。草。ミント。加水でわずかにスモーク。 【味】 レーズン・チョコ。オレンジ。少量加水しただけで、砂糖水のようになってしまう。 【フィニッシュ】 とろっと溶けたチョコレート。フェイドアウトは早い。
Dec 3, 2004
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このサイトを立ち上げて日記を書き始めるとき、「~です。~ます。」調にするか「~だ。~である。」調にするか、実は迷った(笑)。後者だと、読んでくださる方に気障で不遜なイメージを与えてしまうかなとも思ったが、本質があくまで日記であるならば後者の語調の方がワタシ的にはしっくりくる。本日は、ベリー・ブラザーズ&ラッド社のベリーズ・オール・モルトを紹介しよう。この商品は、残念ながら現在は製造されていない。在庫がなくなり次第、販売も中止となるウイスキーである。製造が止められたのはすでに数年前のことなのだが、最近の「世界の名酒事典」にも堂々と(?)載っており(最新版は未確認)、どうかと思う。何しろ、このウイスキーについて英国の本社に問い合わせたら、応対してくれた若い社員はこのベリーズ・オール・モルトの名前すら知らなかったのだから・・・。後日、この社員からは「件のウイスキーは、当社が昔製造していたものです。勉強不足で申し訳ありませんでした。」とのメールをもらった。このウイスキーの歴史は古く、リリースされたのは第二次大戦直後のこと。一族のヒュー・ラッドによってブレンド(ヴァッティング)されたウイスキーで、アイラ・モルトがふんだんに使われている点が大きな特徴だ。同シリーズにブレンデッドのベリーズ・ベストがある。私の手元にあるボトルは、昨年(一昨年だったかな?)ヤフオクで落札させていただいたものである。750mlで43%、正規の代理店が輸入したものだ。ボトルは緑色をしているため中がよく分からないが、グラスに注ぐととても色が濃いことに気づく。やや緑がかった琥珀色である。残念ながら、風味には若干の劣化が感じられ、喉越しには焼き芋を飲み込むときのようなもたつきが感じられる。しかし、ピートとシェリーの香りが奏でるハーモニーは絶妙で、充分に楽しむことはできた。 【香り】 ピーティで、とてもシェリッシュ。ドライな樽香の中に、熟した果実香。 【味】 シガーをふかしながら、干したアンズをかじっているよう。複雑。加水で渋味。 【フィニッシュ】 ボディは厚いが、切れ上がりは早い。シェリーのニュアンスが後をひく。一般に、ボトリングされてから年月の経っているいわゆるオールドボトルは、着色に用いられたカラメルが変質しているケースが多く、特有の干し椎茸のような香りを放つ。よく“ひね香”と言われるものがこれである。このベリーズ・オール・モルトも例に漏れず、即座に古酒と判る香りを放っている。このひねた香りを苦手とおっしゃる方も多いが、私は大好きである。
Dec 2, 2004
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件の『スコッチ辞典』だが、本来なら今秋に発刊される予定だった(汗)。迂闊にも(?)公表していたので、耳の痛いお言葉はちらほらと戴いている。楽しみにしてくださっていた方には、ただただ陳謝申し上げるのみである。そんなこんなで発刊の時期は、現在未定だ。なお、乗りかかった舟から降りるつもりは毛頭ないが、そろそろ仕切り直しが検討されるべき局面だと感じていることもまた事実である。もっともこの本はスコ文研の土屋氏との共著でもあるので、私の一存では決められないのだが・・・。さてさて、今日はSMWS(スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)のタリスカー(コードナンバー14.10)を紹介する。実はこの14.10は日本向けのリストには載らないボトルで、エキスプレス・メールという特殊なオファーで販売されたものである。残念ながらすでに完売したとのことだが、今年のウインターボトル・リストには同じ熟成年数、同じヴィンテージで樽違いの14.9が掲載される予定なので、ここで紹介することもあながち無意味ではないだろう(もっともSMWSの会員にならなくては買えないのだが・・・)。総合評価は、SMWS全体のレベルから考えるとまずまずと言えるだろう。欠点は少ないのだが、突出した特長にも欠ける点は残念だ。 【香り】 ヨード。潮。ウェアハウスを連想させるじとっとした樽香。加水でラズベリー、ミント、金木犀。 【味】 咳止めの飴、ほっくりと蒸かされたカボチャ。加水するとラズベリー・シロップのような甘酸っぱさ。 【フィニッシュ】 熟れた果実のような心地よさ。程よい苦味が後をひく。余談だが、1996年のウィンターリストに載った14.6は旨かった! 即完売だったとのこと。翌年のサマーリストにも14.6は載ったが、本数が少なかったため前回購入できなかった会員にしか売ってくれなかった。それくらい、評判がよかったのである。
Dec 1, 2004
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実は現在、本を執筆している。『スコッチ辞典(仮称)』といったものだが、これが遅々として進まない。理由はいろいろあるが、調べるという作業はとにかく時間がかかる。3時間かけて調べたが、結局わからなかったなんてこともざらだ。他の仕事のわずかな合間を利用してというのが、なかなか難しいのである。愚痴のようで甚だ恐縮だが、この件に関しては明日も書かせていただく予定だ。さて本日紹介するウイスキーはマーレイ・マクデイヴィッド社のアードベッグだ。これも最近購入したものである。1991年ヴィンテージの12年物だが、90年代の前半に樽詰めされたアードベッグの特徴のひとつが、“乳酸の風味”だとよく言われる。実は乳酸そのものは無味無臭なのだそうで、正確には酪酸、イメージをつかみ易く言うなら“赤ちゃんのゲップ”と表現するのがいいかもしれない。このいわゆる乳酸の風味だが、私にはアミノ酸をまとった一種の腐臭にも感じられ、むしろ干し魚をイメージする。乳酸(菌飲料)の風味と言うならば、エドラダワーに感じるあれだろう。なお、鑑定家のスミッソン氏によれば乳酸の風味の原因は、経済的な理由で3rdフィル、4thフィルの古樽を利用したためである可能性があるとのこと。この12年物だが、結論から言うならば“まあまあ”である。ニート(ストレート)では飲みやすいのだが、ボディが軽めでトワイスアップには耐えられない。アードベッグ通にはややもの足りない1本かもしれない。 【香り】 ヨード、ピート、みりん干し、古びた漁船。加水すると臭みが鼻をつく。 【味】 ぴりっと辛いアジのみりん干し。アードベッグ特有の土っぽさ。加水すると腰がへたる。 【フィニッシュ】 ココアのよう。心地よい。余韻の長さはまずまず。
Nov 30, 2004
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今でこそウェブデザイナーなどやっているが、インターネットが普及するまでは映像素材のデザインを主に手掛けていた。現在でもそれは続けており、今日は夕方までに「世◯◯車◯◯◯」の地図を納品しなくてはならない。この番組は、恐らく多くの方が少なくとも一度はご覧になったことがあるのではと拝察申し上げるが、思えばこの仕事に関わらせていただいてから、すでに十余年が過ぎる。なお現在放映されているタイ・マレーシア・シンガポールのシリーズは、来年の2月6日まで続く予定である。さて、本日はシグナトリー社のベンリアックのヘヴィリー・ピーテッド・ヴァージョンを紹介しよう。ベンリアックと言えば旧シーグラム系列の蒸留所で、シーバス・リーガルの原酒のひとつとしても知られている。比較的ライトなボディと糖蜜のような甘さが持ち味のシングルモルトだが、何故ピーティなヴァージョンが存在するのか?それはこういうことである。現在はペルノー・リカール社にすべての蒸留所を売り渡してしまったシーグラム社であるが、1994年当時は自社系列にスモーキーなモルトを作る蒸留所が存在せず、ブレンデッドを調合するには他社からアイラ産等の原酒を買い取らねばならなかった。ベンリアックの一部ピーテッド化は、スモーキーなモルトを自給自足で賄うため、すなわち経費削減のために講じられた策だったのである。ただし、この手のやり方は特別珍しいことではなく、シーグラム社では過去に他の蒸留所で行なわれていたり、ベンネヴィスや、ロッホローモンドといった蒸留所でもブレンデッド対策として現在でも行なわれている。このベンリアックの10年物は最近発売されたもので、インディペンデントボトラーであるシグナトリー社の製品であるが、ほぼ同時期にオフィシャルボトルも発売されている。さて問題の中身だが、ブラインドで利けば、おそらくほとんどの方がカル・イラ(カリラ)だとお考えになるだろう。すなわちボディが軽いということだ。ややオイリーだがクセがなく、とてもニュートラルな風味であるため、ブレンデッド用の原酒としてはこれ以上はない仕上がりだと言うこともできる。 【香り】 機械油、草、クエン酸、シャープなピート香、加水するとフローラルに。 【味】 スパイシー、カカオ、糖蜜、熟していない果実、加水で甘さがきれいに伸びる。 【フィニッシュ】 甘苦さが後をひく。ボディが軽いため、フェイドアウトは早い。
Nov 29, 2004
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さて、日記である。ものぐさな私にかけるのだろうか? 三日坊主で終わるのであれば、今の時点でやめるべきだろう。しかし6年前に開設した最初のサイトも、何度も閉鎖の危機を乗り越えて今に至っている。すこし頑張ってみようか・・・。Profileに職業は“飲食系”と書いたが、正確に言えば“飲食系のウェブサイトの構築”がメインワークである。この『M's Whisky Diary』を開設した理由は、プロのウェブデザイナーとしてしては、最近流行りのブログとやらも触っておかねばならぬと考えたからである。まあ今さらの感はなきにしもあらずだが、ここは避けては通れぬ道であろう。さて、サイト名をWhisky Diaryとしたからにはウイスキーのことについても書かなくてはなるまい。いや、むしろこれがメインだった・・・。現在拙宅では20本ほどのウイスキーの栓を抜いてあるが、その内15本がモルトウイスキー(ヴァッテドも含む)、残りがブレンデッド・スコッチである。その中で最近メインに飲んでいるのは、4本のシングルモルトと1本のヴァッテドモルトで、それらを以下に列挙する。●Benriach 1994 10yo 46% Heavy Peated Version (Signatory)●Ardbeg 1991-2003 46% (Murray McDavid)●Talisker 1989 15yo 59.4% (SMWS No.14.10)●Berry's All Malt 43% (Official)●Glen Grant 1936 40% (Gordon & Macphail)次回からは、これらのテイスティング・ノートを順に記していきたいと思う。
Nov 28, 2004
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