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神奈川県警OBの夏元刑事から連絡があったのは、12月に入ってからのことで、「本郷殺人事件」のことを概略調べ終え、10年前の未解決事件の夏元刑事が送ってくれた捜査資料にもざっと目を通したところだった。 はじめてこのブログを読む方は、なんだ? とお思いになると思いますが、この歳時記が、大学教師の仕事とはどんなものか、その知られざる実態を、私の友人の経験や、インターネット等のメディアの媒体の情報を参考にして、また私自身の経験も踏まえて、大学教育の現状と将来に憂いと期待を抱いている方々にお届けしようというものです。ブログの過去の記事も参考にしてして下さい。『大学教員のためのルーブリック評価入門』という本が出版されていて、まだ読んでいないので、察するところ、論文や研究業績だけではなく、その仕事全般が評価される時代なのです。教授という肩書きにしがみつき、ふんぞり返っている我が儘な私には、到底耐えきれない環境になってきたということです。これからの大学教員は、とにもかくにも精神が強靭で「心臓に毛が生えている」方でないとまず務まらないということを胆に銘じてください。また、「大学教員の仕事」という本が最近2冊出ていますから、これも参考文献ということになります。本来ならこうした文献に目を通してから、ブログを作るべきでしょうが、なかなかそんな自由な時間などないというのが大学教員の仕事の実態です。授業を準備して、ふたつのコマをやって成績をつけて、学生の学習成果の把握につながるデータを整備して帰宅すると、もうくたくた、おまけに風邪をひいてしまいました。 大学教員の仕事なんて暇で、自由で、思いのままになると思ったら、まず採用後やっていけないでしょう。もっと過激に表現すると「大学教員の仕事は教育システムという見えない鎖に繋がれた奴隷」(別のブログですでに紹介しました)労働と言っても過言ではないというのが実態です。「奴隷」と言ったのはある大学の女性教員ですが、実名は出せません。 大学の先生が現代の奴隷制度を生きる頭脳労働者、否、肉体労働者だと言いきるためには奴隷労働、奴隷制度とは何かからはじまって、産業革命以降の労働と剰余価値生産のメカニズム、その労働全体への拡大と社会的分業のなかでの労働力搾取の構造を明らかにしながら述べなければなりませんが、先に「奴隷」と言いきった女性教員の直感は、かかる論証をする必要もないほど完璧に言い当てているのではないでしょうか。いつの時代にも、女性の直感は当たっています。 件の准教授と、昨日も行きつけの赤提灯で話し込みました。「現代の奴隷か、まあ当たっているかもしれないな」 准教授は虚ろな目付きで言いました。先のルーブリック、これは学生の学習の到達度を客観的な基準で一人一人明らかにし、学生にフィードバックする教員の仕事です。「そんなのやろうと思えば表計算を使って簡単にできるよ。でもな、俺はガンになりたくないからやめとくよ」 准教授の高瀬は言います。「おい、君には将来がある。ルーブリックなんて序の口、次に控えているのは、ティーチングポートフォリオだよ。これやらないと勤務評定にひっかかって出世はないぜ」「先生は教授だからそんなことが言える。昇任のために論文作りにきゅうきゅうとしている俺なんかには地獄絵巻だぜ」そう吐き捨てる友だちが可愛そうになってきました。師走の風がカサカサと落ち葉を弄んでいます。(2018年12月7日 師走の繁華街で)
2018.11.29
小春日和の冬の一日 久しぶりに東京へ来た。取り組んでいる研究の調査のためだが、夜、ホテルで、facebookで撮った写真をアップすると、懐かしい友人から、電話がかかってきた。もう何年もあっていないが、その甲高い声ですぐに夏という、今は警察関係の教育機関に籍をおく、古くからの友人だ。 私のホテルは皇居の近くで、それをfacebookで知った友人の夏は、「今、東京駅だ。今からそっちへ行く」というのだ。強引なところは、昔とちっとも変わらない。だから刑事になったのだ。神奈川県警には、40年間いた。「俺が上げた星の数は、悠に500人を超える」と自慢する。神奈川県警の捜査1課では、実際辣腕刑事で通してきた。最近では、テレビの報道番組にも登場し、殺人事件などの解説をしている。「何の用事だろう?」とは思ってみたが、久しぶりの再会の喜びに、ガウンを背広に着替えて、ホテルの近くのレストランで夏元刑事を待つことにした。話は、昔ばなしから始まって、お互いの仕事のこと、家庭のこと、政治や経済のことと、取り留めもなく進み、酔いも回ってきたころ、夏元刑事は、今から10年ほども前になるか、ある殺人事件の捜査を任された。どうやら、夏元刑事は、そのいまだに手がかりすら得られない事件のことについて、私に意見を求めてきたことがわかった。この事件の概要は、後ほど紹介するが、いまから10年ほど前に起きた、ある未解決事件が、もうその未解決事件の4倍も前になる「本郷兄弟決闘殺人事件」の尾を引いているというのだ。「大学教員というものについて詳しく知りたい。東京へ来たついででいいから、俺の質問に答えてくれないか」というのだ。 その事件というのは、読者もご存知かもしれないが、「本郷兄弟決闘殺人事件」に関するものだった。名門の家庭に生まれ育った兄弟が、お互いの意地の張り合いから、決闘に至り、兄が弟を殺してしまうという凄惨な事件だ。東京大学を舞台にしているので、「本郷」という冠がついている。この事件はすでに過去の事件として、いまでは歴史の谷間に埋もれ、風化して、今では大学関係者でも知る人もない。「未解決事件の関係資料を送るから、今度東京へ来るまでに目を通しておいてくれ」「ああ、分かった。僕も本郷事件について調べておくよ」と言うと、夏元刑事は、ゆっくりとした足取りで東京駅のほうへ向かった。夏元刑事へレクチャーする内容。・次年度ガイダンス・入学式・入試(多様な入試は多様なダメ学生を産むだけ)・学生満足度調査・修学ポートフォーリオ・学部行事ご案内・クラブ活動のサポート・課外活動・大学版PTA・学部行事引率・地域貢献活動・新テスト移行に伴う高校生ポートフォリオ・オープンキャンパス・「使える」大学生は一〇人に一人・ティーチング ポートフォリオで働き方はこう変わる・大学版働き方改革・留学ご案内・各種ご案内・「待ちどおしいのは夏休み🎵」・メールBBC送信・各種委員会・地震等災害対応・追試再試・入試センター・試験監督・休学退学指導・就活準備・就活活動調査・就活決定調査・卒業時就活経験調査*お断り。このブログ連載は、取り扱うテーマがテーマであるだけに、一部の記述がフィクションになっていることを了解ください。上に掲げた31項目の小見出しは、この半フィクションの物語に、筆者が用意した項目であり、筆者が友人やインターネットから入手した事実に基づくもので、一般化して述べたものである点を承知いただきたい。(2018年11月28日)
2018.11.29
来年の秋から、消費税率が8パーセントから10パーセントへ引き上げられる方向で、軽減税率の導入とマイナンバーなどを利用した還元方法などが検討されている。野党の一部が反対しているのを除けば、たいした反対もなく、自然成立するのではないかと思わせる様相が支配的だ。 引き上げの理由は、財政赤字解消、基礎的財政収支の改善、民主党政権時代の公約、こういったところだったと思う。筆者の専門は経済学としての財政学で、財政社会学といってもよいのだが、消費税は本質的に逆進的負担構造で、税体型(系)全体から判断し、富裕層や大法人の税負担軽減が進んできたところから、税負担全体の逆進性を強めるものだという批判は免れない。消費税は平成元年、こうした批判をよそに、広く薄く負担を求めるという税体系の根幹に対する変更として導入され、5パーセントへの引き上げを挟んで現在に至っている。この間、富裕層と貧困層の較差が拡大してきているので、税率が引き上げられなくても、消費税は較差拡大に働きかけてきたと言える。ここが問題なのだ。 税負担の逆進性に関しては、日本共産党が主張していると思うが、富裕税の創設と引き換えに導入するのであれば、納得が得られるかも知れない。ここではこの点はおいて、税負担の逆進性を強めることを念頭におきながら、消費税率引き上げ問題を考えてみたい。消費税率引き上げの形式的な理由は上に列挙した通りだが、裏に隠された真の狙いが隠されているというのが、筆者が主張したい点だ。それは、アベノミクスのインフレ策とも関連するが、実は雇用政策との重要な関連についてである。
2018.11.26
大学生ならずとも、この便利なスマホやタブレット端末が、いかに大学の教育環境の病害になっているかを考察したい。公害という言葉は古くからあるが、スマホの「病害」という言葉はあまり聞いたことはない。スマホ使用が学力を低下させているということはよく指摘されていることだが、学力低下と引き換えに「趣味」「娯楽」「交流」が向上するのならまだ許せるとしても、人格そのものが破壊されていくとなると、穏やかな話ではない。まして、大学教育そのものの根幹を破壊しかねない兆候を示し始めているのだ。もしかしたら、「便利さ」と引き換えに、人間を人間たらしめている、神によって与えられた「資質」をも喪失しつつあるのかもしれない。現代文明が、何か抜き差しならない迷路に迷い込んでいるかのような,心の風景を予感するのだ。この問題を、筆者は親友の教授、准教授などと考えてみた。表題に❶がつけられていることの意味は連載であることは言うまでもないことだが、いつ果てることのない連載になるかもしれないし、今回限りの、一過性のものになろかもしれないことをお断りしておきたい 便利なスマホ スマホが便利な機械(ツール)であることは論を待たない。これだけの普及を見せたことが、この命題の正しさを証明していると言える。それは、私自身が様々な生活や活動場面で多くの便益を与えてくれているからであり、その適切な使用を通じて、素晴らしい発明品だと感じるからである。もはや、スマホなしでは旅に出かけることもできない。 だから、私はスマホやパソコンを敵視しているわけではないし、短絡にスマホやパソコンに依存した社会を安易に批判するつもりは毛頭ない。要は、「自分のためになる」使い方を工夫すればいい。 同様に、学生にしても、ラインや検索、買い物や販売、インスタグラム、道案内などのツールの利用で、この情報機器から多大な便益を受けており、そのことを十分に断ったうえで、教育現場で、いかに、スマホが教育の質の低下につながっているかを、歯に衣着せぬ語り口で紹介したい。子どもから大学生までの時期は、生活や社会との関係ということが大袈裟ならば、節度やバランス感覚、周囲との調和や礼儀といった規範が未熟であるので、興味が湧く対象についついのめり込んでいく。 私も子育ての中で、テレビゲームやポケモンのような熱中症に陥るゲームに、子どもがはまりこんでいくことに、手を焼いた記憶がある。この親と子の関係が、大学でスマホにはまりこみ、キャンパス、教室を問わずゲームやライン、怪しげなサイトに明け暮れている学生相手に教育をしなければならない、ある種の病理現象が、大学教育現場を蝕んでいる実態を紹介しよう。 女性の結婚後の家庭生活の不満のはけ口に,大学生を紹介する「逆」援助交際サイトに明け暮れる大学生もいる。一回、喫茶店で会うと1万円を稼げるというのだ。授業中に学生が、そのようなサイトを検索し、落ち合う場所をやり取りしているとしたら、大学教員のあなたはどうするだろう。 話は長くなる。まずは最近話をするようになった、ある老教授の話から。名前は国際先生としよう。国際先生は、私の古くからの友人で、今は、関西の有名国立大学で定年を迎え、私立大学の非常勤講師をしながら、悠々自適の生活を送っている。酒の席で、次のように私に話す。 「僕は、大手の貿易会社からこの大学へ移ってきたんだが、ゼミを担当するようになって、授業中に、学生がスマホをいじっているのには驚いた。それで、若い同僚に聞いたら、対策は先生の裁量に任されているというので、スマホをいじりたければ教室から出て行け!と言ったら、ほぼ全員が出て行ってしまった。それからは授業が成り立たなくなった」と。 会社の社員会議で、スマホを個人的なことでいじる社員などいるはずはない。大きな教室で、ほとんど一方通行で授業をやる場合、机の下に隠してスマホをいじる学生はざら、それでもいじりながら話を聞くことはできるので、私などはあまり厳しく言わないようにしていると言うと、国際先生、目を白黒させて「うちの会社の研修会で私的にスマホなどいじるものがいたら、即刻呼び出されますよ」と。 しかし、悲しいかな、今の大学ではそれが日常茶飯事なのだ。携帯電話が急速に普及しだしたのが、今から25年ほど前。この四半世紀に、大学教育の質の低下は著しく進行したと、別の教授は言う。それは、スマホが主原因でないにしても、じわじわと教育現場をむしばんできたことは疑いもない事実だ。 以下次のような問題を論じてみたいと思う。 スマホで検索用に小レポートを書かせる 物言わぬ学生(教室) 学生ホールはスマホの巣 電車の中も 歩道も(2018.11.26)
2018.11.25
2018年秋の通常国会で、外国人労働者の受け入れ拡大問題の審議で、国会(衆議院法務委員会)が空転している。一定期間に受け入れる外国人労働者の受け入れ枠は、35万人ほどだというが、過去に数千人の失踪者(2870人)が出ており、その主な理由が低賃金だといい、時給が何と350円しか払われないケースもあったという。数十円しか払われていないというケースも報告されている。労働で実績をあげれば、家族を連れてきて永住への道も開かれているという。 そうすると「移民」と同じことになり、紛糾の一因になっている。1 人手不足がアベノミクスの結果であるかどうかは、一応おいて、会社がなぜ人を必要とするかというと、短絡なようだが、それは収益をあげるため、詰まるところ利潤獲得のためだ。資本論の用語を使うと「剰余価値」を働き手から得るためだ。そのためには、賃金が低くて長い労働時間を従順に受け入れてくれる労働者が必要だ。外国人労働者は、生産、販売、物流、サービス、建設、農業などの、資本主義的生産の各場面で、安価に、期間を限って、年金などの間接経費をあまり負担せずに、使うことが出来るので「資本」にとって重宝な働き手ということができる。2 こうした職種は、高度成長の過程で増えてきたもので、中卒や高卒の新規人材によって、獲得、補充されてきた。しかし、この労働力供給システムが高学歴化によって途絶えると、それは勢い他の供給ルートを求めざるを得なくなった。それが外国人、学生、留学生であったことは別の機会に論じる。次回のブログでは、3 アベノミクスとの関連4 消費税との関連5 オリンピックとの関連、について述べる予定だ。(2018年11月24日)
2018.11.25
人生100年時代。団塊の世代から上の世代から相続される資産の金額は莫大な金額に上る。血縁や親戚関係にある人間関係が多様化し、相続対象も多様化する中で、より広い社会関係の中で相続しようとする人たちの広がりがコンパクトにまとめられている。平成元号の次はどう名付けられるのだろうか。その時(2019年4月末日)になってみないと分からないことではあるが、X年元年5月1日以降の新時代は果たしてどんな時代になるのだろうか。新天皇「徳仁天皇」は現在59歳。いたってお元気そうであるから、新元号は30年以上は続く。現在の人口ピラミッドで最大の集団である団塊の世代は、69,70,71であるから、新元号のもとで例外を除いて全員が死んでしまう。ここに引用した日経新聞の記事の相続に関する記事も現実味を帯びて読むことができる。「チャリティー文化が根づく欧米と異なり、日本では億単位の寄付者は少ない。野村資本市場研究所の推計では、国内で1年間に相続される資産総額は50兆円強。一方、相続税の申告から把握できる相続財産の寄付額は13年時点で、約300億円にとどまる」という。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37473820X01C18A1TCP000/10年間で500兆円もの総資産が相続される計算になるが、故人の遺志が明るく健全な社会づくりに使われるとすれば、故人もさぞかしあの世で喜ぶであろう。そのような制度設計をいち早く急ぐことが、新時代に求められるのではないだろうか(2018.11.14)
2018.11.14
連載 分断される大学(1) 動き出した大学教育改革 文部科学省に「私立大学等改革総合支援事業」なる事業があり、大学の8割を占める私立大学が、大学教育の改善に取り組んでいる。平成29年度私立大学等改革総合支援事業(タイプ1)の選定状況が、同省のホームページに掲載されており、多くの大学で予算化され取り組まれている。タイプ2の(地域発展)、タイプ3(産業界・他大学等との連携)、タイプ4(グローバル化)に取り組む大学もあり、タイプ5(プラットホーム形成)に進んでいる大学もある。私の大学では、すでにタイプ2とタイプ3に取り組んでおり、まさに大学改革は足下に及んでいる。出典は文部科学省の「私立大学等改革総合支援事業」であり、内容は1.組織運営の活性化、2.教育内容・教育方法に関する取組、3.教職員等の質的向上に関する取組、4.高大接続改革の推進、が盛り込まれている。 筆者は、『大学 50年の軌跡: 英知と正義の巨塔を求めて』(green BS(amazonKDP)、2018年4月)で、筆者の大学での教育歴を踏まえて、筆者なりの視点から大学教育の変遷をトレースしたのであるが、在職中という制約からなかなか目の届かない点があることを痛感しており、ここに文部科学省のまとまった改革ビジョンが動き出している点に焦点を絞り、大学教育の現状と将来を展望してみたい。内容の解説は「大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ」で解説されており参考になる。https://www.daigaku23.com/entry/2018/07/31/194004このドキュメントでは、大学の三つのポリシー(アドミッション、ディプロマ、カリキュラム)の明確化や、IR機能の整備、学長裁量経費の活用、卒業生のキャリア形成に関する卒後調査、事前事後学修の徹底、アクティブラーニング、ICT活用、履修系統図(カリキュラムツリー)の活用、GPA(Grade Point Average)の指導への活用、CAP(年度履修の制限)の弾力的運用、アセスメント・テストの活用、カリキュラム・コーディネーターの活用、FDの実施、シラバスの作成方法に関するFD(教職員の資質向上)、SD(職員の資質向上)、TA(学生による教員補助)の実施、学力の3要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」)の高大接続への評価、アドミッションオフィサーの活用など、全部で28項目の検討が義務付けられている。さて、この中で特筆すべきは、「⑯ 教員の教育面における評価制度を設けるとともに、授業を担当する専任教員に対し、ティーチング・ポートフォリオの作成を義務付けている」か、「⑱ 学生による授業評価の結果を分析・検討したうえで、授業の改善を図るための制度的取組として、学生の代表者又は学外者が参画するFDを実施」しているかが問われている。前者の「教育面における評価制度とは、全学部等において教育面で優れた教員を評価するための制度(全専任教員を対象とする制度である場合も含む)があり、かつ、昇任や給与(賞与、手当等を含む)などの処遇(個別の人事制度上の取扱い)に反映させていることをいう」とされ、単なる顕彰制度は該当しないとされている。昇任規程に盛り込まれている研究・教育業績の点数としての取り扱いもおそらく該当しないのであろう。ということは、新たに設けられた教員人事評価ということになる。後者については、「学生による授業評価の結果を分析・検討したうえで、授業の改善を図るための制度的取組として、学生の代表者又は学外者が参画するFDを実施」しているかが問われている。踏み込んだ評価は別の機会に譲るとして、「ティーチング・ポートフォリオの作成」に関して補足を行っておこう。すなわち、文科省によれば「ティーチング・ポートフォリオ」とは、大学等の教員が、自分の授業や指導の業績を教育業績ファイル等の形で記録するものを指す」とされ、「全学部等で義務付けている場合又は授業を担当する全専任教員に対して全学的に義務付けている場合とする」とされ、有無を言わせないものとされている。任意の実施ではだめなのである。職務執行命令ということになる。強制ではないが、前者後者がセットになって、人事制度を変えようということになる。大学教員に任期制が普及してきており、若い世代の教員のワークスタイルに取り入れるようになれば、将来的にはポートフォリオは普遍化する。反対する教員は、定年による自然淘汰を待てばよい。「おいおいちょっと待ってくれよ。そんな重大な問題が朝令暮改のごとき上意下達で決まるのかよ」というのが反射的な感想ではあるが、それも時代の流れなのかもしれない。後者に関しては、学生による「大学運営への参画(大学の自主管理)」という全共闘時代の再来を思わせ側面と「産学共同による大学自治の破壊」という二つの側面を彷彿とさせる内容であり、抵抗感なく使われているところに、ある種の不気味さを覚える。大学教員を年齢ピラミッドで表すと、専任教員は30代から60代まで4段階のピラミッド階層をなしている。ピラミッド階層によって、考え方はさまざまではあろうが、このような根本的な改革座標が難なく大学の現場に浸透していること自体が、ピラミッドの頂点の頂点にいる筆者にはいとも不思議なこととして映るのである。詳細は本誌の続編で議論することとして(1)では、大学評価・学位授与機構の評価研究部による「ティーチング・ポートフォリオ・ネット」なるサイトがあることを紹介し、まず問題点の指摘にとどめておきたい。http://www.teaching-portfolio-net.jp/参考文献土持/ゲーリー法一『ポートフォリオが日本の大学を変える―ティーチング/ラーニング/アカデミック・ポートフォリオの活用』東信堂、2011年皆本晃弥『ティーチング・ポートフォリオ導入・活用ガイド―文書例付 大学教員の教育者としての業績記録』現代科学社、2012年
2018.11.13
大学を作りすぎ、時代に対応しない大学が増えてきたらどうする。これは、もう選別して切り捨てるしかない。いま、上からの「圧力」で、大学の現場で進んでいることは、「国際化」や「教育の質の向上」など、大義名分に基づいて教育サービスを「数値化」=採点(評価)する作業だ。もちろん、大学からの目線で言えば、必死の生き残り作戦の実行だ。 さぞかし、ボーダーラインに位置する大学ーーいや有名大学もーーは大変だろう。これから、大学教員を目指す人は、次のファイルを参考にしてほしい。大学・学部等を採点評価し(95点満点とか)格付けし、劣った大学は、補助金支給を削減、閉学勧告に向かっていくのだろう。単純労働部門の人手不足が切迫している現状から、大学を吸収合併し、余剰人員を低生産性部門へ振り向ければ、移民政策もどきの外国人受け入れを回避することができるし、将来の人種間の軋轢を未然に防止できる。受け入れた外国人のうち5万人が逃亡していると言うではないか。 また学生は、正規の従業員並みの労働者として、ブラックバイトで搾取されている。バイトに翻弄されて、授業に出席することもままならない。学生は、心身ともに疲弊している。これでは、教育サービスを充実させても「猫に小判」。筆者は、二つの大学でブラックバイトの現状を調査した。その現状たるやすさまじいものがある。 まさか、文科省と外郭がそこまで見通して大学評価を行っているとは思いたくはないが、かかるシナリオが見え隠れするのは、あながち筆者の偏見にいづるものでもなかろう。このような過剰なサービスを眼前にして、果たして学生諸君は喜ぶのだろうか。現場で働くものとして、疑問に思うのはこの点である。もちろん、サービスを提供する教職員にとっても、日常業務の10倍増は避けられないだろう。大学教員の「ストレスチェック」の結果はそのことを物語っている。こうした点を、下記ドキュメントを詳細に検証してみたい。http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/02/05/1340519_410.pdf
2018.11.10
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