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新型コロナウイルス対策専門家会議・クラスター班は科学的エビデンスに従って言動を制御すべし。「三蜜」を国民一丸となってつぶしていけば、事態は収束すると期待されているようだが(そのこと自体は大事なことだが)、人間の集団における行動の不確実性は、必ずしもそのような「お願いすればこうなる」といった因果律では制御できない複雑な系。クラスター班の解析の数理モデルとやらは、そのような計算をやっているか、何一つ明示されていない。何も対策を取らない場合、ACMO人工呼吸器、ICU(集中治療)の現状からみて、42万人の死者が出る(実行再生産数を2.5として、ドイツのメース)などという、エビデンスが示されない数理モデル解析結果は手品の類でしかない。トリック(数式)がどこかに隠されていて、聴衆を驚かせる手品と似ている。人と人との接触を8割減らせば、約1カ月で流行を抑え込めるとの見方を改めて強調したが、8割減らすことは人の動きや会社のテレワーク等の実施状況などから無理。8割減らすことができなくて、1か月で下火にならなかった時を想定して、国民が従わなかったから下火にならなかったという言い訳が先にあるのだろうと勘繰らざるを得ない。私は、夫婦で10割減をすなわち完全自宅待機を実行しているから言えるのだが、クラスターアプローチの限界を先に認めたほうがよい。そうしないと誰も信じなくなる。 クラスター解析の致命的欠陥は、緊急事態宣言発令後の吉祥寺駅前の賑わい、依然として高い混雑率を示している品川、東京駅など、軽井沢でみられる「コロナ疎開」などの不確実性にあふれた現象を考慮に入れていない点だ。私はこのような現象を、「性善説の抜け穴」と呼んでいる。私たちは常に「カオスの淵」にいる。「混沌」は「秩序」へと向かうとは限らない。 レッセフェール(自由主義)を前提としたクラスターつぶし(規制)という相矛盾した原理を使っているのが「日本方式」。この方法論で、ダラダラと経済的・人的被害を最小限に抑え込みながら、半年で終息にもっていくことができれば、多分ノーベル生理学賞に値すると思う。 しかし、眼前に迫っている「医療崩壊」の現状を食い止めてからという、大きな壁が立ちはだかっているのではないか。人との接触最悪70%減、80%減というスローガンは絵に描いた餅に過ぎないことは、アップルの最新データからも明らかだ。医療崩壊をどのように位置づけるかは、おそらくニューヨーク市の様な状況なのだろうが、現状ではその一歩手前まで来ているように感じる。医療崩壊が起きたら最悪のシナリオへと向かうことは、クラスター班も先刻承知なのだろう。そこで最悪40万人死亡という煙幕を張った、と私は見ている。クラスターアプローチはとっくに破たんしている。太平洋戦争初期に「巨艦大砲主義」にこだわった作戦本部のミスをこの期に及んで繰り返しているとしかおもえない。見えない敵(忍者という人もいる)にゲリラ戦法を展開しても勝ち目はない。相手はどこから出てくるかわからないのだから。ベトナム戦争におけるアメリカの敗北は、まさにこの戦法にあった。 医療崩壊の症状は検査体制を除外しても、要検査者のPCR検査実施困難・保健所の機能不全・自宅待機・クリニック(一般病院)での受診拒否・院内感染の顕在化に伴う医師、看護師、職員等の隔離、待機等、重篤患者対応機器(人工肺機器等)の不足・救急搬送の受け入れ拒否が急速に顕在化している。 リスクの分散に必要な経済的補償が中途半端かつ遅滞していることからくるいらだちも、「性善説の抜け穴」を作るのではないかと懸念される。 私は、クラスターアプローチは間違ってはいないし、感染の初期から終焉まで必要な封じ込めの手段だとは思うが、過度にそれに期待することは結果的に、感染者を増やし人命を失い、医療資源の損耗を増大させ、ウイルスの拡大再生産力の支配下に置かれることとなり、はては国民経済の損失へつながっていくと思う。まして、クラスターアプローチに政治を持ち込むと、それは生命(いのち)がかかっているウイルス対策とは相いれないものへと変質する。 今こそクラスターアプローチへのこだわりを捨て、検査体制の拡大、都府県レベルの地域性を重視した独自の検査体制の充実、救急医療体制のネットワーク化、地域性を重視した接触機会濃厚な施設・集団・あらゆる機会の緊急停止と十分な補償を前提とした使途自由な国の交付金制度の創設が必要だ。 そして、急ごしらえの「専門家会議」「クラスター対策班」は解散し、将来的には米CDCを念頭に置いた組織へと急編成すべきだ。今ならまだ遅くはない。(2020-4-16)
2020.04.16
4月6日時点で、国内で確認された感染者は4011人、死者97人、退院者575人となった。クルーズ船などは除いてある。 2020年4月6日午後5時54分、安倍晋三首相は緊急経済対策と緊急事態宣言の検討状況に関して、取材に応じるために記者団の前に現れた。新型コロナウイルス対応で、記者団との距離をとった異様な会見だった。宣言の背景にあったのは、①経済的な打撃、②「ロックダウン」(都市封鎖)への懸念、③国民生活の混乱、④東京都の感染者の急増や➄病床数のひっぱくなど医療崩壊への懸念だ。敢えて、筆者が付けくわえるとすれば、⑥検査体制の遅延、また次のような小池知事の軽率な発言も背景にあった。 小池百合子・東京都知事は、先月3月23日の会見でロックダウンを強調し、不用意にも「ロックダウンなど強力な措置をとらざるをえない状況が出てくる可能性がある」と発言した。彼女は、「緊急事態宣言」と「ロックダウン」の区別ができていなかったと思われる。このためスーパーなどで買い占めが起きたことは記憶に新しい。 彼女は少し英語ができることを鼻にくくって、やたらと横文字を並べる悪い癖がある。「stay at homeに越したことはありません」など、余計な英語を使う。築地市場の豊洲への移転に関し、豊洲の土壌汚染に対し過剰な不安を掻き立て、自らの求心力を高めようとした自分ファーストの姿勢はここにきても改められていない。 専門家会議も同じだ。日本語の専門用語ならまだしも、「パンデミック」「オーバーシュート」「クラスター」「スパースプレッダー」「ロックダウン」など、カタカナを使って煙幕を張り優位に立つ、知識人の常習手練手管に長けている。情報の受け手は知らず知らずのうちに情報操作の軍門に下ってしまう。「オーバーシュート」を「爆発的な感染者急増」の意味で使っているようだが、over shootにそのような意味はない。文字通り「行き過ぎ」なのである。 4月に入り、日本医師会が「医療危機的状況宣言」と題する文書を発表し、医療現場の危機的状況を訴え、3月20,21,22の3連休の楽観ムードが、4月の検査結果の陽性者の急増につながったことを反映して、世論も緊急事態へと傾いていった。また、ニューヨークでの感染者の急増に伴う医療崩壊の実情が拍車をかけていった。こうして、政権中枢は、4日には緊急事態宣言を出さざるを得ないと最終判断したという。状況は太平洋戦争末期、だれが言い出したわけでもなく「特攻隊」の必要性が機運醸成され、志願へとつながっていった状況と似ていなくもない。将来、緊急事態宣言は誰が言い出したのかという問いに対する答えとして、「自然に醸成された」という検証が行われるのかもしれない。「上」と「下」の迎合とシンクロナイズ(同調)が自然発生したかのようだ。緊急事態宣言は「東京空襲警報発令」なのかもしれない。 ともあれ、緊急事態宣言が出されるに至り、「国家総動員体制」は首都圏と阪神圏それと北九州の福岡県に地域指定を行ったうえで、実施されることになった。私は、新型コロナウイルスとの攻防戦は、水際作戦から本土決戦へ、そして首都決戦段階へ入ったと指摘してきたが、いよいよ首都の攻防を巡る最終局面へと突入した。それは、「クラスター理論」では追えない市中感染が優位を占めてきたことによる作戦変更を意味している。首都圏と、阪神圏それに福岡県は経路不明感染者が多い地域である。というよりも、保健所のキャパに限界があり、経路を追えない。敵クラスターをつぶす戦略はゲリラ戦には通用しないことを、厚労省も認めざるを得なくなったのだろう。 では、緊急事態宣言が「発出」されたことで、基本的に何ができるようになったのか。答えは要請と「半強制」による次の措置である。 まず、住民(都民)への外出自粛要請で、これはこれまでと変わらない。次に学校、保育所、老人福祉施設などの使用停止要請・指示で、要請に従わない場合は「指示」となり、公表されるので半強制的な措置と言える。しかし、罰則はない。 次に強制的な命令として「医薬品やマスクなどの必要物資の保管」があげられ、事業者に命令することができる。物資を隠したり、立ち入り検査を拒否したりした場合には、懲役や罰金が伴う。そして、臨時医療施設のための土地、建物の使用で、これは同意なしでも可能だ。 すでに報道等で周知のように、生活必需品を扱う店以外の閉鎖と3人以上での公の場への集合を禁止する(違反は罰金)イギリスの事例のような「ロックダウン」措置ではないのが、今回の改正新型インフルエンザ特別措置法の「緊急事態宣言」の具体的な中身で、実行者は都知事と県知事となる。今のところ都・府県の措置の具体的な中身は明らかにされていないが、7日にも措置内容が明確になると思われる。(2020-4-7)
2020.04.07
無症候性キャリアを考える 新型コロナウイルスの感染拡大は、発熱、極度の倦怠・脱力感、咳、嘔吐、味覚・嗅覚障害という症状を伴うから、「風邪」かなと思うことはあっても、苦痛に耐えられずに医療機関を受診する。今次の流行下では、当然のことながら、新型コロナウイルスの感染が疑われるから、保健所に連絡、PCR検査を受けて感染の有無を調べる。そこで法定隔離など医療行為の監視下に置かれるわけだが、上に挙げた「症状」が出ない場合がある。症状がないから、病院へは行かずに、平然と日常生活を行っているケースがある。これが「無症候性キャリア」または「不顕性キャリア」である。 いま、あなたは、いつもと変わらない日常生活を送ってはいるが、この「無症候性キャリア」だったらどうするだろうか。「腸チフスメアリー*」のように、腸チフスに感染しているのに、厨房でせっせと料理を作ることを仕事としている。症状が出ないから、料理人として大勢の人に感染させてしまう。これは実際にあった話だ。* メアリー・マローンは、アイルランドからニューヨークに移住したアイルランド系アメリカ人で、世界で初めて臨床報告されたチフス菌の健康保菌者(無症候性キャリア)であった。1900年代初頭に、ニューヨーク市周辺で散発した腸チフスの原因になったので、腸チフスのメアリーとして知られる。 厚労省や東京都は「3蜜」の場所にはいくな!と連日大声で訴えかけている。それは「無症候性キャリアから感染しますよ」「あなたは無症候性キャリアの可能性があり、「無実」の人に移しますよ」という情報発信をしているわけだ。ここでは「無症候性キャリア」は「サイレント・キャリア」と言い換え、簡単にSCsということにする。スモールsがついている理由は、複数いやPCRポジティブの7割は「市中感染」、つまり(同義ではないが)SCsからの感染が疑われるからだ。 毎日、あの渋谷のハチ公前の広場がテレビで映し出されるが、ここを歩く人の中には、このSCsが多く含まれている。このサイレントな感染ルートを断ち切るには、「集団免疫理論」によって集団の6-7割が感染して免疫を身に着けるか、つまりウイルスと「共生」するか、「非常事態宣言」を発して、人の移動の自由を制限するかの二者択一しかない。今一つの方法は、半強制的方法によって、感染のピークを低位に保ちつつ、先伸ばししながら、共存点へ移行させるしかない。これが日本で試みられている対策の基本だ。一両日中には、政府から緊急事態特措法に基づく「緊急事態宣言」が出されるようだ。現下(4月6日)の事態は「緊急事態宣言」がいつ出されてもおかしくない状況だ。特措法が想定する「発令」にそぐわない条件のは「全国的な感染拡大」だけだろう。 ここで、改めて「無症候性キャリア」とは何か?を考えてみる。筆者は、SCsについてはHIVなど知ってはいたが、今次の感染症の場合、ウイルスに感染しても症状が出ないという事実を、最初は受け入れることができなかった。もちろん、潜伏期間ということは知ってはいるので、それとどう違っているのか、通常の感染症の場合は、感染したら発症するのに、と言ったくらいに受け止めていた。 テレビを見ていると「無症候性キャリア」という言葉がよく出て来る。しかしながら、言葉の正確な意味を解説しないまま進んでいくので、聞いている側は、聞きなれている専門家は別にして、報道の意味がよくわからないのではないか。新型コロナウイルスの場合、「無症候性キャリア」は、若い人に多く、しかも発症しても比較的軽い症状で治癒するという。また、感染させる可能性も「発症者」よりも低いということが、暗に大したことはないといった情報で流れていた。「若い人の感染はワクチンみたいだ」と言った専門家もいたが、これは明らかなミスだ。こうした情報を覆すのが「無症候性キャリア」だ。そこで、この「無症候性キャリア」について考えてみる。 無症候性キャリアはasymptomatic(「無症候性の」意) carrier(運ぶ人の意)といい、病原体による感染が起こってはいるが、明瞭な症状が顕れないまま、ヒトや動物など他の宿主に、その感染症を伝染させる可能性のある宿主のことだ。ここでは、「人」が無症候性キャリアになる場合を考える。人も宿主になるのだ。以前の、少なくとも私の理解では、感染症が人を宿主にするなどということは、全くあり得ないことだった。この、人が宿主になり得るという特異な感染症だというところが理解しにくいし、今後の感染症対策を考える際に重要になると思う。 今回の新型コロナウイルスでも、サイレント・キャリアの存在が指摘され、対策の一つの柱となっている。中国は、SCcは発見して隔離しても、感染者には統計上含めないことにした。細菌による感染の場合は、「無症候性保菌者」、「健康保菌者」と呼ばれることもあるが、ここではサイレント・キャリアSCsという言葉を用いることとする。 さまざまな病原体(新型コロナの場合はウイルス)が、その宿主(ヒトや動物など)に感染することで感染症を引き起こすが、このときに濃厚接触等によって感染はしても、発熱、悪寒、咳など、その感染症特有の症状がはっきりと出ずに自覚されない無症候の場合がある。宿主の免疫などの感染に対する防御機構の働きによって発病に至らない場合(不顕性感染)、症状の出ない時期がある場合がこれにあたる。新型コロナウイルスの感染予防のために「栄養」「睡眠」「運動」「湿度」など、免疫力向上が推奨されるのは、「不顕性感染」にとどめて、さらに接触を回避すれば感染拡大防止につながると考えられているのだろう。これは、専門家に聞くしかない。 この状態の宿主は、症状が顕れないために、外見上は健康で非感染者との見分けがつかないが、その病原体が宿主の体内で増殖している場合があり、特にヒトからヒトに感染する伝染病などでは、本人が気付かないままに感染源としての役割を果たす場合がある。このような状態にある宿主を無症候性キャリアと呼び、3蜜の状態にある空間などで接触すると、感染する可能性がある。小池都知事が言う「リンク不明」の感染者は、不顕性感染者からの濃厚接触によって、感染したのかもしれない。 代表的な例の一つに、ヒト免疫不全ウイルス (HIV) 感染症、後天性免疫不全症候群、エイズがある。HIV感染症では、感染直後に一過性の風邪様(よう)の症状があらわれるが、その後長い場合では10年間以上、症状の顕れない時期(無症候期)が続き、最終的にエイズを発症する。しかし、無症候期の間も、HIVは血液中でT細胞に感染しながら徐々に増殖しており、この時期の宿主も、感染源として血液や性交渉を介してHIVを伝染させる能力を持った、無症候性キャリアの状態にあるという。 メアリー・マローンのケースは、腸チフスの原因となるチフス菌がメアリーの胆嚢に感染し、感染が弱かったために、体内にチフスに対する抗体を持ってしまった結果、無症候性キャリアとなったというものだ。そのため、彼女は周りをチフスに感染させてしまい、最終的には隔離された。当時のニューヨークには100人から200人はチフス菌の無症候性キャリアが居たとされ、メアリー・マローンを含む何人かは就業制限を受けていたとされている。新型コロナウイルスの場合、このような状況を生みだすのではないかが懸念される。 このSCsは、ウイルスの「生き残り戦略」による「共生」だとも考えることができるが、これは根拠のある話ではない。ウイルスの側にとっての戦略であって、生き残り戦略上の成功事例ではあっても、人類の側にとっては感染源の「温存」であり、再感染のリスクを背負った共存である。専門家が、今後の感染の結末に関して「わからない」というのも頷けるところではある。(2020-4-6)
2020.04.06
新型コロナウイルス対策は「命」ではなく「研究」のためにやっている医療ガバナンス研究所の上昌広博士が、現在進められているウイルス対策の本質を明確に語っている。詳しくは日刊ゲンダイを読んでください。2020/03/23号でネットで読めます。以下一部抜粋です。――なぜ検査件数が増えないのでしょうか。上昌広博士:厚労省の研究機関「国立感染症研究所」が、検査を仕切っていることが原因だと思います。現在、感染研が検体をハンドリングして、一部を外注したりしながら取り仕切っています。感染症研究の原資は税金です。これがもし、一般診療になり、民間のクリニックと健康保険組合、検査会社の仕事になると、感染研と厚労省はタッチできなくなる。 患者さんのデータはクリニックと患者が保有します。検査会社は研究所にデータを横流しできません。感染研は研究する上で極めて重要な臨床データを取れなくなる。ですから、感染研のキャパシティーの範囲内で、検査をハンドリングしたいということでしょう。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/270711 私も同じ見方をしています。個人ごとですが、私は7年前に前立腺がんの「検体検査」を藤枝市総合病院で行いましたが、ステージ2の前立腺癌と判定され、藤田保健衛生大学で摘出手術を受けました。結果は検査会社でCDに収められ、このCDは手術後、私に返却されました。検査結果は病院と私の所有物なのです。上博士の言う通りです。(20-4-1)
2020.04.01
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