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パンの世界の話。 まず、小麦を育てている、農家の方がいらっしゃいます。「ええ小麦をつくるんや」と、いきごんで、一生懸命、小麦を栽培します。 そして、出来た小麦は、つぎへと受けつがれています。 製粉会社。「おお、こりゃ、エエ小麦や。エエ粉にしてやらなあかん」、と、小麦粉にします。 その小麦粉は、パン屋に届き、「すごいええ粉がとどいてしもーた。やらなあかんやろ」と、パンを作る。 お客さまは、そのパンを買って、家庭の食事に出して、「みんな、食べなさーい」と、会話のある、あたたかい食卓を囲み、その日にあった事を、いろいろ話て、あたたかい時間を過ごす。 これで、小麦の世界は、完結する訳です。 ひと粒の小麦が、家庭の食卓まで辿り着き、幸せを産む。 なんて素晴しい事なのでしょう。 私は、その中間の「パン屋」ですが、いつもどうやったら、この粉の特性を殺さず、お客さまが「うまいねん!」といっていただけるパンを作ったらいいのか、ということを、悩みます。 でも、その悩みは、前向きな悩みなので、考えている時間は、とても充実しています。 よく、「消費と消耗」という言葉が使われます。 食べ物だけではありませんが、きちんと「消費」に繋げていく、人と人とのつながりをつくることが、なにより大事な事なんじゃないかなぁ、と、思ったりします。 良く言われている「安心・安全」なんて、言葉に出す前に、つぎに受け渡すべき「お客さま」のことを考えていれば、当たり前の事。 人と人のつながりで、社会は構成されていますが、こういった「もの」を直接受け渡ししながら繋がっていくという事は、どんどん廃っているような気がします。 それは、パンに限らず、ほかのことにも。 できることから、こつこつと。 理想的な「うけわたし」ができるように、なればいいんですけど。
2005年11月07日
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