草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2024年07月05日
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コリアー 私はただ次の事を理解しているだけなのだよ、結婚式の時よりももっと君を愛してい

るのだよ。

ヘスター (静かに)あなたは結婚式の時は私を愛してなどはいなかったわ、ビル。そして今も私

を愛してなどはいないし、これからだってそうでしょうよ。

コリアー ヘスター…。

ヘスター 私は単なる名誉の所有物でしかなかったし、今は更に一回盗まれたから更に価値が上

がった所有物と化したのよ。それだけのことよ。

コリアー (傷付いて)君は何を言っているのだろうか。

ヘスター (仰天してしまい)あなたが私を無理に強いてそう言わせたのよ、ビル。私があなたを



ったほうがいいわ、そして別の機会にお話をしましょうよ、お互いがもっと冷静になれた時に。

コリアー いや、今、もっと話し合う必要があるよ。君は言ったよ、私が結婚した時に君を愛し

ていなかったと。

ヘスター 私には解っていたことです。

コリアー それでは何故、僕は君と結婚したと思うのかね、何故、君は結婚を申し出たのだろう

か。

ヘスター (途中で遮って)分かります、ビル、分かりますわ。私に最悪の伴侶だったなどと思い

出させる必要はないのですよ、私は常にその事を意識していたのです。ああ、私はあなたが私を

愛していたから私と結婚した事を否定したりはしませんよ。あなたの考えている愛情でね。そし

て私の方も、私の考える愛情で以てね。問題なのは、その両者が食い違っている事なのよ、分か

るでしょう、ビル。私にはもっとあなたに与えられる物があるのですよ、もっとたくさんの物、



コリアー どうして君はそんな事を言うのだろうか。私は君の愛情を、分かっているはずなのだ

が…。

ヘスター いいえ、ビル。あなたは単に愛情ある妻を望んでいただけなのよ。世界がまるで違っ

ているのですよ。 (間)

コリアー 君に想像できるのだろうか、君のスタディオと仕事との哀切な物語を私に信じろとで



い。(ヘスターは黙っている)君はフレディーを決して手放さないだろう、ヘスター。君には出来

ないのさ、(ヘスターはまだ黙っている、懇願するように)ヘスター、君よ、君の言う私と私の君

への感情は正しいようだが、私は君の唯一の人生のチャンスを提案したいのだよ。何故受け取る

ことが出来ないのだろうか、結局は、兎に角上手く幸福に運んでいたじゃあないかね、かつて

は。

ヘスター はい、そうでしたわ。とても幸福にね。

コリアー それで、どうなるのかな…。(ヘスターは答えない。コリアーはへスターを抱いてキ

スした。彼女は彼を邪魔しない、が、無反応である。しばらくしてから、彼は彼女を手放した)

ヘスター お分かりでしょうが、私は違う人間になっているの。(間) もう、行ったほうがいい

でしょう、(コリアーは彼女から視線をはずし、部屋の中を見回す) (堪えきれずに)私は、大丈

夫ですわ。(コリアーは頷いて、ドアーの所に行く)

コリアー 君は依然として離婚を欲しているのだろうかね。

ヘスター はい、ビル。それが最善だと思うの。

コリアー 話し合うべきことが沢山にある、事務的な事柄だが。

ヘスター はい、そうでしょうね。

コリアー 当面のお金は必要ないのだろうかね。

ヘスター お願いよ、ビル。

コリアー さようなら、それでは…。

ヘスター さようなら。(彼は彼女を困惑した面持ちで、酷く面倒そうに見た。彼は最後の訴え

をしようと考慮するように見える。ヘスターは彼の視線を避ける。コリアーは肩をすくめてから

去る。ヘスターは独りで取り残された。ワインをひとすすりする。彼女が腰を下ろそうと動き始

めた時に、ドアの鍵が回される音がした。彼女は急いで振り向いた。彼女は急いで台所と仕切ら

れた場所に移動して、表面のドアーから見えないようにした。ドアーが開いてフィリップ・ウエ

ルチがこっそりと姿を現した。彼女は奥まった場所を離れて出てきた)

ヘスター フレディーなの…。(フィリップは急に向きを変えた。彼は非常に狼狽している)

フィリップ ああ。

ヘスター どうやって入ったのですか。

フィリップ フレディーなんですよ、彼が鍵を貸してくれて、彼は自分のスーツケースを持って

きてくれと、彼はその中に全部の洗顔道具を入れているのだそうで、明瞭に、今夜それが必要だ

と言うのですよ。

ヘスター 彼は今夜何処に行くつもりなのでしょうか。

フィリップ (工合が悪そうに)知りません。

ヘスター 彼は今、何処なんです。

フィリップ あのォ、あの場所は何というのか…。

ヘスター 何処ですか。

フィリップ ウエストエンドの何処かです。

ヘスター ギリシャ通りですか。

フィリップ 分かりません。 (間)

ヘスター 分かりました、彼とはどのくらい一緒にいたのですか。

フィリップ 九時からです。

ヘスター そして、三時間あれば随分と色々の事を話したでしょうね、特に彼が酔っている時に

は。

フィリップ 彼は酔っていませんでしたよ。少なくとも彼の言うことはまともでした。

ヘスター (厳しく)本当ですか…。

フィリップ (少しばかり年配めいた口調で)コリアー夫人、少し申し上げても宜しいでしょう

か。ペイジはとても僕に対して率直でした。実に率直そのもので、彼の打明話を誘ったわけでは

ないのですがね、それで僕は全体の事情を把握したわけです、お分かりですか、それで僕はこの

瞬間にあなたが感じているに相違ない事を理解できるのですよ。

ヘスター そうなのですか、ウエルチさん。

フィリップ 僕は恋愛をしていましたよ、ご承知でしょうが。事実、一年前には結婚で破局を迎

える寸前でした、僕がある娘に夢中になってしまいましてね、実際ひどいタイプの相手だった、

全く破滅的でしたね、自分が愛している誰かを諦めるのはどんなことなのかを知ったと言う訳で

すよ。それで、これは実に僭越至極なことなおですが…。

ヘスター いいえ。

フィリップ (勇気づけられて)さて、こう思うわけなんです、ある種、あなたが努めて鉄で武装

してあなた方お二人にとって最善の道を進まれる事を希望するのです。大変だ、それは厳しい道

でしょう、でも僕はよく覚えているのです、その娘は、女優でしたが、彼女は有名だったりはし

ませんでしたが、僕は一人きりである日、座って考えたのです、自分に言ったのですよ、ご覧

よ、肉体的には彼女は君が望んでいる世界で全てであろう、他方では、彼女は何なのだ。何でも

ないぞ、そこで僕にできたことは彼女に手紙を書く事だった。そしてそれから僕は二週間ほど一

人きりで旅に出た、そして勿論、地獄を味わいましたが、次第に精神状態が鮮明になってきた。

そして戻った時には僕は森を抜け出していたのです。

ヘスター 喜ばしいことですわ。どちらに行かれたのですか。

フィリップ ライム・レジスです。

ヘスター とても綺麗な場所ですね。私も知っています。

フィリップ 勿論、あなたのためにはイタリアとか南フランスとか言った場所の方がより良いで

しょうがね。

ヘスター 何故にライム・レジスより良いのでしょうかね。

フィリップ 完全に雰囲気を変える為です、よい気候、誰もあなたを知らない、多くの時間を使

って考え尽くす、そして、僕が思うに、あなたは正直に考えをまとめれば、全てが実に些細な事

柄だったと容易に気付くはずですよ。釣り合いの取れた考え方をする時にです。詰まりは、お説

教好きとか何とかになろうとしないで、この人生で勘定に入れなければいけないのは精神的な価

値なのですよね、肉体的な側面は実際には大して重要ではないわけですね。客観的に言って、そ

う御思いになりませんか。

ヘスター (重々しく)客感的言えばですね。(退室を指示するのを諦めて)さて、とてもご親切

にウエルチさん、こうした助言を下さって、とても感謝しています。

フィリップ いいえ、どう致しまして。その事で僕を叱りつけたりなさらなかったので嬉しいの

です。分かりますか、ペイジは僕に全部の事情をすっかり話して、僕は非常に興味を掻き立てら

れたのです、何故ならば、こういった事柄は人間性に光を当てることになりますからね。

ヘスター はい、そう思います。

フィリップ カバンを受け取っても宜しいでしょうか。

ヘスター ドアの向こう側に置いてあります。(フィリップは寝室に入る。そしてスーツケース

を手にして直ぐ姿を現した)何処へ、フレディーはあなたにそのカバンを持ってきてほしいと依頼

したのですか。駅とかその他の場所でしょうか、それとも、ホワイト・エンジェル迄でしょう

か。

フィリップ ホワイト・エンジェルまで…、(突然に言いやめた) (間) (大人しく)ホワイ

ト・エンジェルに彼は来るのです。

ヘスター (静かに)そのカバンを下に置いてくださらない、そして、行ってくださいな。

フィリップ それは出来かねます、彼に私が持っていくと約束したのですから。分かりました、

お休みなさい。(彼はドアに向かう。ヘスターがその前に立って、急いで鍵を回した。彼女は鍵

を取り外してポケットにいれた。次に電話に向かっていき、そこで電話帳をめくる)

ヘスター 私はこのメロドラマティックな身振りをお詫びいたします。でも、少しだけあなたを

足止めしなければならないのです。(彼女は電話番号を回し始めた)長くはお留めしませんよ、ク

ラレット瓶に残りがありますので、良かったらどうぞ。

フィリップ (体を固くして)ねえ、僕は実際の所…。

ヘスター どうぞお座りくださいな。あなたは今人間性の素晴らしい研究を再開できるのです。

(彼女は番号を回し続ける。フィリップは立って彼女を見守っている) もしもし、ホワイト・エ

ンジェルですか、ペイジ氏はいますでしょうか、(声を高めて)ペイジ氏です、そうです、ああ、

彼は…、ジャクソン夫人、いいえ、ジャクソン、はい、(フィリップに)向こうでは音がとてもう

るさいのです、(間)もしもし…、あなた、ヘスターです、電話を切らないで、口喧嘩はしない

わ、約束します、約束するわよ。私はただ仕事のことを知りたいだけよ、それだけ。(声を高め

て)その仕事…、相手の人には会ったのですか。ああ、それは良かったわ、分かります、良かった

です、どのくらい直ぐにですか、それの後直ぐになの…、ああ、フレディー、いいえ、ごめんな

さいね、そんな風に言うのを聞いているだけよ、それだけよ。(声を高めて)そう言うのを聞いて

いるだけよ…、ねえ、あなたのカバンのお使いは此処に居るわ、あなたが三日間欲しかった物の

半分も入ってはいない、出発するまで何処にいるのですか…、いいえ、それで結構よ、言わなく

てもいいの、言いたくないのなら、私はただ、地方なのか、町なのかを言いたかっただけよ、さ

あ、思ってみてよ、フランネルのシャツはカバンに入っている、それで、次はツイード製の服が

必要なのね、分かります、残りの品についてはどうしましょうかね、ああ、何時それを郵送した

のですか…、私が明日受け取ればいいわけね、それで……、チャーリング・クロスの衣類室…、

分かりました、はい。





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最終更新日  2024年07月05日 10時01分54秒
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