戦国ジジイ・りりのブログ

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2014年05月20日
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カテゴリ: 江戸めぐり
さて、次郎吉さんのお墓ですが


両国・回向院45・鼠小僧の墓



ずいぶん金かけてるなあ。
供養墓だし、ドロボウだよ?
こんなに立派にする必要あるんだろうか・・・

奥にある大きな石が墓石のようですが、
なんか札が立ってるので行ってみると


両国・回向院46・鼠小僧の墓



「お前立ち」・・・



両国・回向院47・鼠小僧の墓



前回の解説にあった「欠き石」がこれです。
前回は金運アップ、病気平癒の霊験を紹介してたけど、回向院のホームページには

 【長年捕まらなかった運にあやかろうと、墓石を削りお守りに持つ風習が当時より
  盛んで、現在も特に合格祈願に来る受験生方があとをたちません。】 


・・・・・・・・

長年捕まらなかったったって、最後は獄門だしね。
それに、受験とは何の関係もないと思うんだけど・・・
志望校がいつまでも捕まらなかったらどうするんだ?
ま、何事も信心です、信心・・・

次郎吉の墓に背を向けて塩地蔵のところに戻ると、こんな古そうなものが目についた↓。


両国・回向院48



灯篭?
それとも墓か?
こんな形のお菓子あったよな(笑)。

ここでふと左手を見ると、 入場を拒まれた裏門 がすぐそこにあった。

くそっ、ものすごく大回りしてきたのに・・・


ひとまず、これで回向院での目的は済んだ。
ここには山東京伝の墓などもあるので、横死者エリアとは別の
奥の墓地へ行ってみたけど、ぱっと見案内板などはなさそうだったので
めんどくさくなってすぐに出た。

境内にはベンチがあったので、座って休憩がてら
持ってきた地図を見てこの後の行程を確認・・・
と、ここで見落としがひとつあったことに気がついた。

どうしよう、でもそんなに遠くないハズだし、
せっかくだからやっぱり見ていこうかな・・・
てことで、ここで一旦戻ることに決定。


それにしても、36mの「穴」は一体どこにあったんだろうか。
境内は往時よりはだいぶ縮小されてるはずだけど、
現在の境内より外れた場所にあったのなら、基礎工事の際に
大量の人骨が出て大騒ぎになっただろうしな・・・

であれば、現在の敷地の下に今も明暦の大火での犠牲者が眠ってるんだろうか。


少し休憩した後で、本堂へ寄ってみる。
フツーの寺だったら外に賽銭箱とかあるもんだけど、
ここは現代風の建物なので、中へ入らなければならない。

ところが、入ってみるとすぐ前にある扉は閉められている・・・
ちょうど、映画館や劇場のような構造。
しかも、中では法要か何かやってるらしい。

ちょっと見たいものがあったんだけどな、
しょうがないな。

こちらのご本尊様は阿弥陀様。
回向院のホームページには、阿弥陀様の背後にびっしりと居並ぶ
キンキラのミニ仏像の写真が掲載されている。

このキンキラ像、現代に生きる人達による奉納らしいが、
そのモデルとなったのはかの恵心僧都(えしんそうず)の作と伝えられる
「備中千体阿弥陀如来像」なんだそうな。
しかも、増上寺の黒本尊と同じ木で作られたものだという。

黒本尊も、恵心僧都の作と言われてるんだよね。
なら黒本尊の兄弟分ってことになるけど、惜しくも関東大震災の折に
焼失してしまったんだそうな。


恵心僧都源信と言えば~、そのお師匠様は元三大師・ 良源さん ですが、
実は良源さん(の像)もここ回向院を訪れております。

深大寺(調布市)におわす良源さん(の像)は
寺伝によるとかなり古いものらしいですが、
明和2年(1765)7月と文化13年(1816)の2回、
回向院で出開帳をしたんだそうな。

なんでも、深大寺の良源さんの頭は大きなスイカほどもあるらしく、
文化13年の際の記録には良源さん(の像)の大きさに
江戸っ子が驚嘆していたらしい。
まあ、この出開帳は成功だったと言えるんだろうな。


回向院では深大寺の他にも多くの寺社が出開帳にやって来たそうで、
出開帳の成功・不成功がそのまま収益につながるもんだから、
回向院に限らずどこの出開帳でも奇をてらった演出とか、
寺宝の展示をするなどして主催する寺側では客ひきにあれこれ工夫を凝らしたという。

泉岳寺が居開帳(自分とこで秘仏開帳すること)をした時には、
赤穂浪士の遺品も展示して集客アップに務めたそうな。

成田山新勝寺が出開帳で大躍進を遂げたと 「本所Wデビュー(22)」 でも
一瞬紹介してますが、成田山の場合は歌舞伎の初代市川団十郎が
開帳期間中に舞台で成田不動を演じたことが大きな話題となり、
予想を上回る収益を上げることができた。

が、江戸で多く行われた出開帳・居開帳のすべてが大成功を収めた訳ではなく、
PRが効を奏したりパフォーマンスが江戸っ子にウケればウハウハだったが、
ハズした場合・・・特に出開帳でハズすと思いっきり赤字となり、
実際ハズした寺も多かったという。

成功を収めるためには、何らかの目玉商品なり派手なパフォーマンスなりが
どうしても必要・・・
狙いが当たって大勢の客を集めることはできても、
本来の目的である本尊よりも客はオマケの娯楽性が目当てとくれば、
当然批判も出てくる。

十方庵敬順という僧は、

「もし本尊が口を聞けたなら、濁った世の中の人の心は
仕方のないものだと嘆くだろう」


と本末転倒の現象を批判している。

そういう真面目なお坊さんもいる一方で、
境内を貸す側の寺も、出開帳を成功させるために派手な演出を応援した。

なんたって、客が集まれば自分とこにもついでのお布施も期待できるし、
門前にあるショッピング街も売り上げが伸びる。
門前を貸しているからには、当然店側からの冥加金も入ってくる。 


では、文化4年(1807)2月28日から回向院で行われた、
武州幸手(さって)の不動院の出開帳の記録をご紹介しましょう。


 【2月2日、江戸到着の日、講中と称する者、幟・錫杖・法螺の類を持ち、
  前駆すること、凡そ千人ばかり、次に山伏数十人、兜巾・篠掛(すずかけ)
  にて二行に列す。次に大なる斧を担ぎたる山伏20人ばかり、法螺を吹く。

  次に山伏8・9人、厨子、神宝を荷はせ、其の後に住職輿に乗じ、
  伊達道具・打物を持たせ、供奉の山伏、大勢中に異形の出立(いでたち)
  するもあり。近来是れ程なる江戸入りの開帳なし。去年の琉球人の行列よりは、
  殊にめざましと云いあへり。】
  (「増訂 武江年表二」より。漢数字は戦国ジジイが変換)


出開帳は会場でのイベントだけじゃなく、すでにその前から始まっているのだ。
ここで話題作りをしておくと、興味を持った観衆がそのまま会場へも
足を運んでくれるというワケ。
ここでは、

「ちょっと、去年の琉球人の行列よりすごくない!?」

ってギャラリーが口ぐちに言い合ってるので、第一段階は成功したと言える。


 【又開帳始りて、大護摩と称し、矢来の内に火を起し、山伏大勢、烈火の上を
  素足にて渡り行き、前代未聞の事とて、見物群集し、境内混雑して、怪我人もあり、
  程なく、此の事を止められたりとぞ】
  (前掲書より)


今でこそ火渡りはTVでも時々やるのでそう珍しいことでもないけど、
それでも私は

「あつっ!熱いよ~!
なんでこんな事するんだろ・・・」


って言いながらTVを観てます。

ので、初めて火渡りをナマで見た江戸っ子たちは度肝を抜かれたことだろう。
あまりに当たりすぎて、境内は押すな押すなの大騒ぎになり、
運悪くケガ人まで出てしまったので残念ながら火渡りイベントは中止となってしまった。

まあ、ちょっとケチは付いたけど大成功とはいえるのかな。


回向院での開帳の賑わいは、「開帳の雪隠」という落語にもなっている。
江戸の町歩きではトイレに苦労しないので、トイレの話も久々ですが(笑)
設定などに多少の差はあるものの、大体こんなとこです。


  回向院門前に駄菓子屋を営む老夫婦がいた。

「は~、もう、開帳で賑わうのはいいけど、雪隠を貸せって輩ばかり・・・」

  「まあいいじゃねえか。女の人はどうしたって雪隠がなけりゃな~」

 「だってジイさん、駄菓子を買う訳でなし、ただ雪隠を貸すのに
   忙しいだけなんてさ・・・」


 「う~ん。おい、今度から”ひとたれ8文”で金取ったらどうだい?」

  てことで、店のトイレを綺麗にして「8文で雪隠貸します」の貼り紙を出したところ、
  大はやり。
  ところが、4~5日もすると向かいでもっと綺麗なトイレを8文で貸すのを
  始めたため、客がみんなそっちに取られてしまった。

  「おう、明日はお参りに行ってくるから、ちょいと弁当こさえてくんな」

  次の朝、ジイさんは弁当を持って出かけてしまった。

  「今日は忙しくなるから、金勘定間違えんなよ」

  という謎の言葉を残して。
  果たして、ジイさんが出かけた後は以前のように雪隠を借りに来た客で大賑わい。
  夕方になってジイさんは帰ってきた。

  「も~ジイさん、今日は忙しくて大変だったんだから・・・
   それにしても、ずいぶん霊験あるところへお参りに行ったんだねえ。
   一体どこへお参りに行ったんだい?」





出開帳の会場にはあちこちの寺社が選ばれたが、
江戸の出開帳のうち回向院で行われたものは全体の四分の一にあたるという。

出開帳のほか、勧進相撲もあったし、周りには見世物小屋も並ぶ
人気の繁華街だったから、江戸期の両国界隈は常に賑わっていたと言っても
過言ではないのかもしれない。


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最終更新日  2014年05月20日 22時40分30秒


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