戦国ジジイ・りりのブログ

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2015年01月04日
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カテゴリ: 日光写真館
養源院跡からちょっと道を進むと、すぐこんな場所に出た↓。(場所は こちら


14史跡探勝路・開山堂


おっ!来たな。
意外に近かったな。

現地では前々回の記事の最後の方で木立の向こうに見えていた建物が
これかと思った。
けど、よく写真を見てみると朱の鳥居はここにはなかったから別モノらしい。

ん~で上の写真の向かって右側の大きいお堂が

まず左の小さい方から紹介しましょう。


14史跡探勝路・観音堂


 【観音堂(産-さん-の宮)(県指定文化財)

  この観音堂に、楊柳観音を祀ったものであり、別名「香車堂」「将棋っ駒」とも呼ばれる。
  将棋の駒の香車が戻らずに直進する駒なので、妊婦がこの駒を借りて帰り、自宅の神棚に
  祀ると、無事出産できるという安産信仰の社でもある。出産後は、借りた駒と共に新調した
  駒を一緒に返納するので、駒の数は増えるばかりである。】
  (現地解説板より)

この「産の宮」は天保11年(1840)「の日光山諸所案内手引草」には
「三の宮」と描かれている。

観音堂はその解説の通り


14史跡探勝路・観音堂2



14史跡探勝路・観音堂3


香車でいっぱい。

絵馬だとかの人の念のこもった物は撮るなとセキュリティよしおから注意されてるけど、
ここは無理だよ、よしおさん。
デカい駒が沢山並んでるんだもん。




14史跡探勝路・観音堂5


香車より小さい

しかし、なんで「前だけ進む」が妊婦なんだ?
たぶん、初めから駒ルールがあった訳じゃなく、
誰かが切なる願いをこめてここに願かけしたものが
広まっていったものだろうとは思うけど、『宝ものがたり』には観音様の霊験について
こんな解説がある。

 【この、「観音経」の一節には「もし女の人が男の子を欲しいと観音さまを礼拝すれば
  徳をそなえた利口な男の子を生み、女の子を望めば美しく皆に愛敬される女の子を
  生むであろう」と説かれています。】

へ~・・・
わたくしが覚えた方の観音経にはこんなフレーズなかったけどね。
別のお経なのかな。
現世利益バリバリの、「いかにもだいじょお~~!!」ってカンジだな。

別にバカにしてる訳じゃないですよ。
ただ、やっぱり庶民にはこうした生活に根ざしたわかりやすく具体的な
内容が必要だったんだな~って仏教史の立場からしみじみ思うだけです。

わたくしのお経暗記は 例の32の香薬 まであと一歩ですが、
今はちょうど


争いばかりだったり人から恨まれたり悪夢にさいなまれたり
色々あるもんだけど、このお経を唱えれば万事オッケー!
もろもろの災厄からアナタは解放されるのよ。
オーッホッホッホ!!」


と大弁才天女様が高らかに霊験を宣言しているところです。
こういう具体性があってこそ、悩める諸人が食いつくワケです。

観音様の縁日、10月18日には輪王寺の僧侶による法楽が行われ、
「観音経」も誦経されるんだそうな。


それでは少し、観音堂の意匠をば。


14史跡探勝路・観音堂4



14史跡探勝路・観音堂7



14史跡探勝路・観音堂8


14史跡探勝路・観音堂6



14史跡探勝路・観音堂9


どこかの歯ミガキ粉のCMを歌いたくなるぐらい真っ白な歯ですが、
この意匠からして江戸期の建立か再建だろうな。

建築自体は流造(ながれづくり)の神社様式だけど、
意匠なんかだけ見てると寺院建築のようだよな・・・

さて、ここまでで「産の宮」に違和感を覚えた方がどれだけいるでしょうか?
意匠の印象はあくまで個人的感想だからそこは除いてね。

ここ「産の宮」の正式名称は「観音堂」。
社前には鳥居が立ち、神社様式建築のお社の中におわすのは楊柳観音様。
管理をして今でも変わらず法楽を行っているのは輪王寺の僧侶。
法楽で読み上げられるのは「観音経」・・・

はい、ここも立派なチャンポン・・・いへ、神仏習合の名残を
しっかり残してる訳ですね。
わたくしも現地では何とも思わず、写真を見返して記事を書いてて
ギリ気が付いたぐらいで、あまりに自然すぎて違和感もへったくれもないです。

鳥居も玉垣も灯篭もご覧の通りかなり古く、
明らかに神仏分離で神社ちっくに急造されたものではない。
ここは昔から観音様を祀る「お宮」だったんです。
こういうのが日本の仏教史だってことをよく覚えておいてくださいね。


脇に目を移すと立派な大木があり、そこにも解説版が立っている。


14史跡探勝路・開山堂2


 【陰陽石(おんようせき)

  お産に縁のある、自然石二つからなる奇石。陰(女性)と陽(男性)を意味すると
  言われている。観音堂を訪れた人は、ここでも安産を祈願する。】 
  (現地解説板より)

なんだ、木の解説じゃなかったのか。
木の隣にあるのが陰陽石です↓。


14史跡探勝路・開山堂3・陰陽石


医学が日々飛躍的に進歩している現代でさえ、お産で命を落とす方がいる。
それだけお産は大変だってことだけど、
史跡探勝路のずっと奥にも安産に御利益があるとされるスポットがあり、
熱心な方はそこまで行くのかもしれないけど、足元にはくれぐれも注意して下さいね。


さて、観音堂の隣のお堂。
こちらがここでのひとつのメインです。


14史跡探勝路・開山堂4


 【開山堂(重要文化財)

  堂内には、約4.5米の地蔵菩薩及び日光開祖、勝道上人とその十大弟子の木像が
  安置されている。上人は、弘仁8年(817)に83歳で亡くなり、この地に葬られた。
  毎年4月1日に開山会(かいざんえ)が執行される。
  間口、奥行きとも6間5尺(12.3米)重層宝形造り 
  日光山第59世公遵法親王筆の「開先院」の額が掲げられている。】
  (現地解説板より。漢数字は戦国ジジイが変換)

公遵(こうじゅん)法親王(1722~1788)は中御門天皇の第2皇子で、
毘沙門堂を経て元文3年(1737)に第5世輪王寺宮に就任。
延享2年(1745)には第203世天台座主を兼ねる。
のち再任し、第7世輪王寺宮と第206世天台座主となった方。

輪王寺宮はただの宮門跡じゃないから、日光山では第何世、
寛永寺では第何世、輪王寺宮としては第何世、天台座主では第何世と
自分でもどの第何世だかわからなくなるんじゃないかと思うけどね

宮の中には手持ちの資料ではあまり詳しいことがわからない方も多いけど、
歴代の宮の中で輪王寺宮を再任した方は2人しかいない。
公遵法親王はそのうちの一人。

公遵法親王はそのうちまた出てきますので、今はこれまで。
名前だけ覚えておいてくれると嬉しいな。
しかし、宮のお手になる扁額があっても


14史跡探勝路・開山堂9


これが正面側から見たものだけど、額がないじゃん、額が・・・
中にあるってことか。
残念。

んで、このお堂ね。 
確かに宝形(ほうぎょう)造りだけど、あまりこーゆースタイルって見ないような・・・
「重層」と解説にあるけど、これ 裳階 (もこし)じゃないの?
だって4.5mのお地蔵様でしょ?
内部吹き抜けじゃないと納まらないんじゃ・・・

『宝ものがたり』には開山会の様子の写真が載っている。
けど小さいし白黒だし、正面に厨子があってその中に勝道さんがおわすのはわかるけど
この写真ではお地蔵様は見えない。
勝道さんの後ろにおわすのかな。
このお地蔵様は室町期のものなんだそうな。


開山会の行われる4月1日は勝道さんの命日。
『宝ものがたり』には

 【この碑は上人の遺徳をしのんで日光市長をはじめ関係者および信徒の人々約70名余りが
  参列して、輪王寺門跡の御導師のもとに一山の僧侶全員がそろって法華三昧の法要を
  おごそかにとり行います。】

とある。
日光市長だよ・・・
まあ、現代まで続く日光の繁栄の基を築いた方だからね。

「日光山縁起絵巻」にも開山堂での法要の様子が描かれていて、
長きにわたって勝道さんが日光で大切に扱われていたことがわかる。
が、興味深いことに絵巻の中の開山堂は裳階なしのノーマルな宝形造り。

手ヌキしたとも思えないから裳階が付いたのは再建によるものだった可能性もあるけど、
お地蔵様の背丈は変わらないハズなので、これを裳階なしのスタイルにすると
現在のように上部がスマートな形ではなく、階下と同じ間口・奥行きの幅が
どーんと高いところまであって、その上にずどーんと宝形の屋根が乗っていることになるので、
かなり大きくてインパクトのある建物だったかもしれない

ここの場合は裳階スタイルに変更して正解だったかもな・・・


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最終更新日  2015年01月04日 22時39分36秒


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