戦国ジジイ・りりのブログ

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2015年02月04日
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カテゴリ: 旅日記(近畿)
え~、前回の五大堂で動画を撮っていたのを忘れてました(笑)。
短いですが、東が開けているので琵琶湖がよく見えます。
山道に入ってしまうとこれだけの展望は得られません。




さて、前回の続きです。
「叡山攻め(82)」 で半泣きになった場所があったと少し書きましたが、
それは山道に入って少しした場所でのこと。

何てことない登山道を歩いていてふと道の脇に目をやると、
そんなに木が密集しているという訳でもないのに、
木の向こうは漆黒の闇というようなところがあってね。


別に何の恐怖体験をしたという訳でもありません。
けど、フツーに木が立ってるだけの場所なのにあんな闇ができるなんて、
ちょっと考えられません。

ホントにフツーに木が立ってるだけなんですよ。
樹齢が4ケタを超えるレバノン杉が1メートル間隔に密集してるとか、
そういうレベルじゃないんです。

登山は結構長いことやっていたので山の中の薄暗いところなんかは
見慣れてますが、そういうわたくしが驚くほどホントに木の奥は真っ暗闇でした。
しかも、登山道のすぐ脇だからね。

もう、見てはいけないものを見たという感覚で、
半泣きになりながら後ろも振り返らず足早にその場を離れました。


この先を登る気力も失せたけど、かと言ってここから引き返すにも
またあの場所を通らなければならない・・・
それは 絶対ヤダ。

てことで仕方なく山歩きを続行したのですが、
前回「1人で叡山に入るな」とあえて書いたのは、

1人で呑気に歩いてると、登山道のすぐ脇に広がる異界に
引き込まれちゃうかもしれませんよ~


昔、相棒と登山をしてた頃はなんかヤな雰囲気の時は
2人で歌を歌ってカラ元気を出してしのいだものですが、
さすがに1人で歌を歌うのはちょっとな・・・
いつ人に出会うかわからないし。

で、重い気持ちを引きずりながらもなるべくイヤなことは考えないようにして
歩いていくと、鉄塔が出た↓。


叡山2・本坂34


五大堂先のゲートからここまで10分くらいかな。
もともと鈍足な上に周囲を見ながら歩いているので、かなりゆっくりなペースです。

上部に出るまでに目当てになるポイントはそう多くはない。
そのうちのひとつがこの鉄塔だったので、ちょっと安心した。
が、鉄塔にある看板には


叡山2・本坂33


え・・・ここ、「出る」の?

ここから南、織田軍の武将・森可成(よしなり)が城主を務めた宇佐山城のあたりは
現在ではすっかり野生の猿のパラダイスになってると聞いたことがあるので、
ここまで猿が散らばっていたとしてもおかしくはない。
が、クマもおるのか?

もちろん、クマ除けに熊鈴は付けてますが、
さっきの「異所」で受けたダメージがまだ回復してないところへ
クマ情報を出されると、またわたくしのライフゲージが下がっていく・・・  

それにこの場所、写真にはあまり写ってませんが
進行方向まっつぐはあまり道らしくない。
登山道を示す看板なんかもここにはないし、クマの看板の裏を覗いてみると
なんか踏み跡のようなものがある・・・

どっちへ進めばいいのかしばらく地図などを見て考えましたが、
ここには作業の人も来るだろうから、道じゃないところにもそりゃ踏み跡はあるだろう。
順当に考えてここはやはりまっつぐが正解かと思ったので、
フェンスに沿って登っていくと広い道に出られた↓。


叡山2・本坂35


さすがに表参道なだけあって、本坂ではこんな風によく踏まれた
広い歩きいい道が多かったです。

『比叡山 その歴史と文化を訪ねて』によると、

 【法要などに参詣する信者たちの列は、蟻の行列のように坂本から根本中堂まで
  続いたという。】

という大賑わいの参道だったようですが、参詣の庶民や僧、
資材や生活物資のほかにもここを通った方達がいました。

近江と京の間にまたがる比叡山へは京側からも登るルートがあります。
宣旨を持った勅使や横川へ行くような場合は京側から登ったりもしたようですが、
都びとみんなが京側から直接登った訳でもないらしく、
わざわざ近江側の坂本へ回ってこの本坂をみやびな方々が登ったりもしました。

そして、この道を登ったのは生者だけじゃありません。
上記リンク先の「叡山攻め(82)」でも紹介したお盆の伝承がそれで、
「叡山攻め(84)」 の慈忍和尚の話に続く、2つめの延暦寺七不思議でもあります。

お盆になるとぞろぞろ登っていくというユーレイたちは
自分の足で歩いたのではなく、船に乗って本坂を登っていったそうな。
叡山にたちこめる特有の「もや」に浮かぶその船には
額に三角布をつけて白い経かたびらという、いかにもないでたちの亡者が乗っており、
それを目撃した僧たちが腰を抜かしたという・・・

ふん、わたくしなんかちゃんと自分の足で歩いたのにさ


さてと、少し先あたりにはわたくしが楽しみにしていた場所があるハズだ。
先人の訪問記によるといちおうそこに行く表示が出てるらしいんだけど、
見落とさないようにしないとな。

周囲に気を付けながら進むと、カーブの先に表示が立っていた↓。


叡山2・本坂36・花摘堂へ


が、最初はこの大きな標識しか目に入らず、あやうくスルーするところだった↓。


叡山2・本坂37・花摘堂へ


左にある小さなものに目をやると、


叡山2・本坂39・花摘堂へ


あっ、これだ!
表示から少し奥へ入っていくのはわかっていたので周囲を見ると


叡山2・本坂38・花摘堂へ


う~ん、道じゃないなあ・・・
でも踏み跡らしいものもあるし、表示があるからこの奥でいいハズだ。
木の根や落ちた小枝などを踏みしだいて斜面を上がり始めると、
上の方は結構踏み跡がしっかりしていた↓。


叡山2・本坂40・花摘堂へ

歩いてみると結構急な斜面だし、小枝や落ち葉はしっとりと濡れていて
見るからに滑りやすそう。
足場を選びながら登ったけど、下りは気をつけなきゃならんな。

上部には立派な木もある↓。


叡山2・本坂41・花摘堂へ


3分ほど登ると、一旦傾斜は落ち着いて細長い踊り場のような場所に出る。
ここにあるのが


叡山2・本坂43・花摘堂


おお、石垣だ~、石垣!!
上に目をやると


叡山2・本坂44・花摘堂


うん、石垣の組み方といい、ここがかつての通路だった気がするな。
できれば石垣の間を通ってこのまま直登したかったけど、 
さすがにここは落ち葉や小枝が積もりすぎてて人の歩いた形跡もないし、
ちょっとムリ。 
ので、脇の斜面を上がる。

石垣の前には落ち葉に埋もれた石もあって


叡山2・本坂42・花摘堂


ただの自然石とも思えないので、礎石か敷石の類なのかもしれない。
で、最後の急斜面を上がると


叡山2・本坂45・花摘堂




出たでたあ~!!


登り下りにケーブルを使えば時間も節約できて
もっと主要堂宇も色々見られたのに、それでもあえて山道を登ることを選んだのは
ここに来たかったからなのです。

 【花摘堂(はなつみどう)跡

  伝教大師の御母堂・妙徳(藤原藤子)夫人は、山上の大師の坊を訪ねてこの峰に
  至ったが、これより進むことはできず、大師が山を下って母と謁した由緒の地である。
  後に智証大師は、ここに自らの悲母を祭る三宮(そうのみや)を建てた。その後
  4月八日の釈尊降誕会に限って伝教・智証大師の母君を偲んで女性もこの地に
  花を供えることが許された。花はこの峯(花摘峯)の花を摘んで供えたので
  花摘堂と呼ばれた。】
  (現地解説板より。漢数字は戦国ジジイが変換)

という、母の愛と子の愛満載の場所です。

『叡岳要記』には東西南北に最澄が張ったとされる結界が書かれていて、
「東限比叡社幷天之塠」とある。
「比叡社」は日吉神社のことで、「天之塠」は「アマナミノツカ」とフリガナが
振ってあるけど、どうもこれは正しい読み方じゃないらしい。
で「天之塠」の正確な場所はわからないけど、大ざっぱに言って
日吉神社の裏手あたりからは結界に入っていたと見て間違いないだろう。

日吉神社をも含むということであれば、結界の東限はもう少し東寄りにずれて
本坂の入口、デカい常夜灯のあったあたりから西はもう女人禁制ということになる。

なら、藤子(とうし)は愛する息子がせっかく張った結界を乗り越えて
ここまでやって来たのか?
恐るべし、母の愛

しかし、最澄が結界を定めたとされるのは弘仁9年(818)4月21日。
あとで藤子のゆかりのスポットに行った時、そこにあった年表には
「弘仁8年2月15日 妙徳が没」とあった。

なら、まだ正規の結界を定める前の話ってことだな。



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最終更新日  2015年02月05日 00時00分22秒


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