『先輩、そのルートで合ってますか?』

『先輩、そのルートで合ってますか?』

2026年10月03日
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「先輩、この前、体臭のキツい人を乗せたんっすけど」

新人が少し困った顔で言った。

「うん」

「臭いが座席から取れないんですよ!」

秋雄が苦笑した。

「シートに直接付くと厄介なんだよ」

「消臭剤かけたんですけどね」

「それだけじゃ残る時あるからな」

新人は後席を見た。

「でも、乗せる前に分からないじゃないですか」

「まあな」

「ちょっと変だなと思っても」

「うん」

「まさか、“新聞紙ひいても良いっすか!?”なんて言えないし」

秋雄が笑った。

「言えるわけないだろ」

「ですよね」

「だから、最初から敷いとくんだよ」

「何を?」

「座布団」

新人が秋雄を見る。

「座布団?」

「薄いやつな」

「腰のためですか?」

「それもあるけど、俺はシートを守る意味の方が大きいかな」

「汚れとか?」

「臭いもな」

新人は少し考えた。

「でも、座布団が汚れたら同じじゃないですか」

「違うよ」

「何がです?」

「外せるだろ」

「あ」

「汚れたり臭いが付いたら、その場で外す」

「それで営業続ける?」

「そう」

「で、その座布団は?」

「仕事帰りにコインランドリー」

「洗うんですか?」

「洗濯乾燥機に入れて終わり」

新人が笑った。

「そこまでやるんですね」

「シート本体に染み込むより楽だろ」

「確かに」

少しして、新人が言った。

「先輩も実際に使ってるんですか?」

秋雄がニヤッとした。

「オレの見るか?」

「あるんです?」

「あるよ」

秋雄が後ろに手を伸ばした。

「ジャーン🎉」

「うわ、本当にある」

「何だよ、その反応」

新人が手に取って見る。

「思ったより薄いっすね」

「厚いと邪魔になるからな」

「これなら洗いやすそう」

「そこ大事」

「じゃあ、選ぶ時は薄くて洗えるやつ?」

「俺ならそうする」

新人はスマホを取り出した。

「楽天にもありますかね」

「探してみれば?」

少しして。

「あ、ありますよ。こんな感じのやつ」

「そうそう。こういうのでいいんだよ」

新人が画面を見ながら言った。

「これなら一枚積んどいても邪魔にならないですね」

「だろ」

「先輩」

「何?」

「これ、座布団っていうより保険ですね」

秋雄が笑った。

「まあ、そんなもんだな」

今回、先輩の道具箱から出てきたのはこちら。

​


洗えて、薄めで、車内でも使いやすいタイプの座布団。

毎週土曜日はしばらくの間、先輩の仕事道具を紹介します。






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最終更新日  2026年10月03日 10時00分04秒
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