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Q 同書の主張(ポイント)の一つは?
A そもそも天皇は、基本的人権の「飛び地」(人権が認められない領域)になっている。
Q どういうことか?
A天皇は「国の象徴」(日本国憲法1条)であり、「国民(主権者)」からは除かれ、またその地位は「世襲」(同2条)で、「国政に関する権能を有しない」(同4条)ため、政治参加などの権利は認められないと解されている、ということ。
Q「女帝」が認められないのは男女平等原則に反するという議論は?
A「飛び地」の外の憲法原則を「飛び地」のなかに持ち込む倒錯した議論。男女平等原則を貫徹しようとするのであれば、まず「飛び地」そのものをなくす(基本的人権の認められない存在をつくり出す天皇制を廃止する)ことが先決。 197頁
Qまず、明確にすべきことは?
A 1 天皇の人権問題
「天皇制を廃止して、基本的人権を保障する」か、「天皇には基本的人権が認められないと言うことを憲法に明記する」か、いずれかを選択すべき。(国民の総意に基づいて:1条)
A 2 昭和天皇の戦争責任
それが曖昧にされたことが、日本の被害者意識の温存につながったことは間違いない。「なぜ天皇が責任を問われないのか」という国民の潜在的な疑問は、自分たちの加害性を見つめるという課題から目を逸らすことを可能にしたと思われる。
* 天皇が人権の認められない「飛び地」になっている問題が曖昧なものでなくなり、昭和天皇の戦争責任が明確にされ、日本国民がその潜在的被害者意識を乗り越えて戦争責任を主体的に引き受けられるようになることが大切。
Q 「日本国民の加害者意識の弱さ」(自分たちは戦争の被害者で「侵略や植民地支配の反省をせよ」と言いつのる中国・韓国などアジア諸国の要求は不当だといった意識)について考えていく大きなヒントは?
A「加害者臨床」( DV 加害者に対するプログラムに関わっている信田氏の著書)
(以下は『暴力とアディクション』等の要旨)
信田氏は、加害者男性が被害者意識をもっている点に注目。「妻は自分のことを DV 加害者だというが、むしろ自分の方が被害者だ」、「これだけ普段我慢しているのに、それを理解せずにあんな口調で言われたら誰でもキレますよ」(『暴力とアディクション』 206 頁)
人によってはこれに呆れ、加害の事実を本人に徹底的に突きつけろと思うだろう。実際、「加害者は加害記憶を喪失する、しかし被害者は死ぬまでそれを抱える」(同 208 頁)のであり、加害の事実を加害者に示すことは重要だが、 しかし、それは十分ではない。
Qそれはなぜか?
A加害者が自分のことを被害者だと思っている限り、「加害の事実を突きつけられようとも、それは被害者意識の強化にしかつながらないから」。「被害者の立場から彼らを鮮明に批判することは、加害者の更正を促進するどころか、むしろ再発のリスクを高めてしまう懸念もある」(同 207 頁)
Q必要なことは?
彼ら( DV 加害者)に被害者の苦しみがどれほどのものであるかを正確に伝え、その責任は彼らにあることを示していくこと。彼らがそれを引き受ける覚悟を示し、謝罪をすることで、かろうじてその家族は崩壊を免れる。
責任をとることを抜きにして、暴力の生起した関係の再生はありえない。そのためには暴力と定義づけ、被害者性を構築し、さらに「加害者」性を構築するプロセスが必要となる。
(『家族と国家は共謀する』 72 ~ 73 頁)
Q「加害者臨床」と「加害者ケア」の違いは?
A 後者は不適切。加害者は第一義的には被害者に責任をとるべき存在だから。そのためのプログラム参加であり、適切な教育によって更正をめざすべき存在だから。(『家庭と国家は共謀する』 96 ~ 97 )
Q加害者臨床の留意点は?
加害者臨床は絶対に被害者の目線で臨まなければならない。加害者の言い分を受け入れて「そうですね、奥様にも問題がありますね」などと口にすることがあってはならないということ。
[引用者の見解:「問題があるかどうか」はおいても(仮になにがしかの問題があったとしても)「やってはならないことがDV」である。これはいじめの場合とも共通すると思われる。]
しばしば誤解されるが、加害者臨床とはあくまで再犯防止、再発防止を図るもの であり、 DV 被害者支援の一環として実施されるものだ。(『暴力とアディクション』 223 ~ 224 頁)
責任の所在をはっきりさせることこそが、再犯再発の防止には必要。
Q 信田氏の「加害者臨床」についての考えの意義は?
A 責任を問うために司法的なモデルに訴える必要性と同時にその限界を教えていること。必ず被害者の目線で臨むと同時に、加害者に対する単なる鮮明な批判は、加害者意識をもたらすどころか、被害者意識を強化してしまう場合があるという事実から目を背けないこと。そして、もちろん責任の所在をはっきりさせることが再犯再発の防止に必要であること。
Q これを活かしつつ日本の戦争責任をどう考えるか?
A 1 司法的なモデルに基づいて、日本の戦争犯罪を追及することが必要であり、その記録を保持し、保持させる努力が必要。
A 2 同時に、鮮明な批判だけでは被害者意識がむしろ強化されてしまう場合があるという事実を見据え、どこにその温存のからくりがあるのかを見極める必要がある。
Q 戦後 80 年の「戦争トラウマ」報道に関する信田氏の発言は?
2025 年 8 月 15 日に毎日新聞に掲載されたインタビュー
トラウマという被害は、加害なくして生じない。トラウマの悲惨さがクローズアップされることは意味がある(・・・)。しかし、あの戦争の責任はどこにあるのか、責任がどのように果たされたのかを抜きに、戦争トラウマについてのみ語られるのはどうなのか。
( 記事に付された解説 : 戦争トラウマとは、過酷な戦場や加害行為のため兵士らが負う心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 。旧日本軍では「戦争神経症」と呼ばれていたが、軍は「皇軍に軟弱な兵士はいない」と存在を秘匿し、戦後も長らく実態が知られないままだった。 )
Q 信田氏が語ったことはどう解釈できるか?
A 戦争加害の最高責任者に対する追及が然るべき仕方でなされてこそ、温存されてきた日本国民の被害者意識もまた白日の下に晒される。その時、アジア諸国に対する加害者としての日本国民の責任が明確にされ、日本国内の被害もまた被害として認識されるようになる。
(紹介は以上)
長くなったので付け加えないが、『天皇への敗北』には、上記以外の大切な論点か数々含まれている。ぜひ、一読されることをお勧めしたい。過去記事で紹介した文章も同書に掲載されていたことも合わせて記しておく。 総選挙2014「亡命はなぜ難しいのか」
なお、リアルタイムで触れられなかったが、下記リンクの記事や報道も考えさせられる点、参考になる点が多々あった。こちらも一読されたい。
“ 人為的にバズらせる” SNS
操る「農場」ビジネスを取材 「テスト」と書かれただけの投稿が6
分で100
万回表示…
選挙で悪用の懸念も【報道特集】 | TBS NEWS DIG (1
ページ)
教育
育問題に関する特集も含めて
HPしょうのページ
に
(yahoo geocitiesの終了に伴ってHPのアドレスを変更しています。)
「しょう」のブログ(2) もよろしくお願いします。 生活指導の歩みと吉田和子に学ぶ 、 『綴方教師の誕生』から・・・ ( 生活指導と学校の力 、 教育をつくりかえる道すじ 教育評価1 など