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2010.04.03
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『国家と文明』 内容11  の引用部分に関してコメント欄で質問がありました。

マルクス、エンゲルス思想のなかにも新科学のありようを示唆する貴重な萌芽があること は、私もいままでしばしば指摘してきたところで、大体、既成社会主義諸国または諸政党に見られる〈科学による独裁〉ぐらい、あれほど 「精神労働と肉体労働の分業」の揚棄(弁証法的な乗りこえ)を力説していたマルクス、エンゲルスの初心を横暴に裏切る行為はない とも言える のである。 

 〔竹内芳郎著『具体的経験の哲学』 P.119

>ここを、具体的に説明していただけませんか。
>分かったような分からないような感じなのです。

 上記の今日さんの質問に可能な限り回答したいと思います。

 「精神労働と肉体労働の分業」を克服することは「国家権力による民衆の支配」を乗り越えるための必要条件 であるとマルクス・エンゲルスは考えていたのです。したがって、上記引用部分が意味するところは、概略次のようなことです。

 「科学的社会主義者」を自称する「旧ソ連など社会主義国家の指導者」が
科学の名のもとに多くの国民(肉体労働者)を支配し、ノルマ達成のために駆り立てていた実態は まさに「精神労働と肉体労働の分業による民衆支配」を極端化したものである

 「(彼らの言う)科学としての史的唯物論」によれば、
生産力を増大させ「有り余るほどの豊かさ」を実現することが人間解放の絶対条件である それを達成するためには、 計画経済のもとでノルマを定めて労働者を生産拡大に駆り立てなければならない そのような 「指導者の〈科学的な判断〉」にそむき抵抗するようなものは容赦なく弾圧してさしつかえない! といったことが旧ソ連の実態だったわけです。

 「科学」を自称しつつ「公的な判断、決定、執行などの精神労働」を指導者が独占したことによって、
既成社会主義国家の民衆支配が極端に強化されていったこと は明らかだと思われます。

 さてここで、 国家と文明 内容10 で入り口に立った「国家論」 (10行目まで)との関連も概観しておきましょう。

 そもそもマルクス・エンゲルスが目指したものは何だったのでしょうか? それは「人間の全面的な解放」、つまり
「人間が人間に支配される状態から脱し、互いに対等平等で自由な存在になること」 です。
 それでは、
本来対等平等である人間同士の関係がなぜ「支配被支配」の関係になってしまうのでしょうか 。マルクス、エンゲルスは「国家成立」と「支配」とが不可分であることに注目し、 「なぜ国家が成立するのか」ということを探求した結果 「階級国家論」と「分業国家論」 にいき着きます

Q 階級国家論とは?
A 
生産手段の所有者(支配階級) が国家を形成し、被支配階級を抑圧・支配するという国家論

Q 分業国家論とは?
A  精神労働と肉体労働の分業によって 「公的な判断、決定、執行」(精神労働)を特定人物(少数者)が独占 することによって 国家権力と支配が成立 するという国家論。

 このような「分業」によって成立した最初の国家が「古代専制国家」だったわけですが、『国家と文明』 内容9  の古代専制国家に関する記述は こちらでご 認ください。

 既成の社会主義国家は
マルクス・エンゲルスの主張していた「精神労働と肉体労働の分業の克服」 を実現するどころかむしろこの 分業 を極端化してしまった結果 到来した社会は「平等で自由な社会」ではなく「古代専制国家にも似た膨大な支配を貫徹させた社会」 になってしまったわけです。


『国家と文明』 内容13に続く


『国家と文明』の復刊要請はこちら  ですので、よろしくお願いいたします。

 また、現在、著者の 竹内芳郎が主宰している「討論塾」の概略はこちらです

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Re:『国家と文明』 内容12(04/03)  
今日9729  さん

ご説明ありがとうございました。
ここは、良く分かりました。

下記、


<マルクス・エンゲルスが目指したものは何だったのでしょうか? それは「人間の全面的な解放」、つまり「人間が人間に支配される状態から脱し、互いに対等平等で自由な存在になること」です。>・・・・・・・・


* このことからして全面発達の教育は重要ですね。


応援して戻ります。
(2010.04.05 18:54:50)

Re[1]:『国家と文明』 内容12(04/03)  
shchan_3  さん
今日9729さん

>>マルクス・エンゲルスが目指したものは(・・・)「人間の全面的な解放」、つまり「人間が人間に支配される状態から脱し、互いに対等平等で自由な存在になること」です。

>このことからして全面発達の教育は重要ですね。

 よくご存知ですね。
 マルクス・エンゲルスによる人間の「全面発達」の実現という教育観は糸賀一雄の「発達保障」という考え方にも影響を与えたといわれます。

⇒糸賀一雄の思想と実践 4  http://plaza.rakuten.co.jp/shchan3/diary/200809090000/

 マルクス・エンゲルスの場合、「全面発達」の社会的・経済的条件に目を向けたところにその独自性があるのでしょう。私も前回記事(内容11)で引用した次の部分とも関係しますよね。

「社会化された人間が(・・・資本の)盲目的な力によって支配されることをやめて、これを合理的に規制し、彼らの共同の統制のもとに置くこと(・・・)。この国のかなたに、自己目的として行為しうる人間の力の発展が、真の自由の国が始まる。労働日(労働時間)の短縮は根本条件である。」(『資本論』第3巻) (2010.04.06 21:40:56)

Re:『国家と文明』 内容12(04/03)  
今日9729  さん

 既成の社会主義国家はマルクス・エンゲルスの主張していた「精神労働と肉体労働の分業の克服」を実現するどころかむしろこの“分業”を極端化してしまった結果、到来した社会は「平等で自由な社会」ではなく「古代専制国家にも似た膨大な支配を貫徹させた社会」になってしまったわけです。・・・・・


:「古代専制国家にも似た膨大な支配を貫徹させた社会」になってしまったわけです・・・・・

このことは、今でも起こっていることですね。
それの克服、これは、国民主権の回復によるのでしょうね。

今の、沖縄の基地だって、そうなっていますね。アメリカという国の体制は、違いますが。


応援して戻ります。
(2010.04.09 18:55:19)

Re[1]:『国家と文明』 内容12(04/03)  
shchan_3  さん
今日9729さん


>このことは、今でも起こっていることですね。
>それの克服、これは、国民主権の回復によるのでしょうね。

 コメントありがとうございました。
 上記への応答を中心に『国家と文明』内容13 にまとめましたのでご一読ください。 (2010.04.10 18:27:17)

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