さすらいの若旦那の日記。

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2007.08.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「いらっしゃいませ。何かお探しですか」


会社帰りにふらりと立ち寄った百貨店のカバン屋。
決まり文句の会話から、彼女は近寄ってきた。

本当に何も決めてなかった。
外が暑かったから、冷房がガンガン効いている店内に吸い込まれただけなのだ。

エスカレータに導かれ、上へ上へと進んでいく。
ただ導かれるまま、さらに上へと進む。

無意識に向かっているとすれば、上の方の階にある本屋くらいだった。


エスカレータが途中の階に着き、くるりと向きを変え、さらに上へと進もうとした時である。
視界の中に、カバンが整然と並べられている棚が見えた。

少し立ち止まり、次のエスカレータに乗らず、私はそのままカバンのある方へと歩いた。
ちょっと見ていくか。そろそろカバンも欲しかった頃だから。

両手を前で組みながら、一人の女性が歩み寄ってくる。
餌食となる客を待ってましたと言わんばかりに、満面の笑みで出迎える。

一つカバンを手に取り、肘を少し曲げ伸ばししながら持ち具合を確かめていると、
「そちらは最近人気があるタイプですよ」と畳み掛けてくる。

あまりこういうシチュエーションは得意ではない。
ベタベタ近寄ってくる店員には、さりげなくかわすのが一番である。

だが、今回は少し感じが違っていた。

彼女は、「何かあったらお声をお掛けくださいね」と言って、私から距離を置いた。

少しはぐらかされたような気がしたが、その分じっくりと他のカバンの品定めができた。
心の中で、購買意欲の種が少しずつ成長していくのがわかった。

種が芽を出そうとした時、タイミングよく彼女がまた声を掛けてきた。
絶妙のタイミングである。一旦はぐらかされた気持ちが一瞬たかぶった。


「最後の1つなんです」

とどめともいえる囁きのマシンガンが、私の心を射抜いた。
「じゃ、それにしようかな」

誘導尋問された訳ではない。
ごく自然に買う気になり、その言葉を発していた。

これはまるで、新手の催眠術か何かだろうか。
付かず離れず、それでいてしっかり販売に結びつけるテクニック。

いや、待てよ。
私は催眠術にかかった・・・

***つづく***


2005-11-26 12:37:32 ←←←ポチっとな!





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最終更新日  2007.08.04 12:03:16
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