さすらいの若旦那の日記。

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2007.08.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
支払いをしようと財布を取り出そうとした時である。


「すいません、出直します」
「は、はい、わかりました」

一瞬、固まった彼女。
私の精一杯の作り笑いも空回りをしている。

「手持ちがないんです」
そう言った私に、彼女は慈悲深い眼差しを注いだ。

「お給料が入ったらお願いしますね」


逃した客をいつかは必ず餌食にしてやろうという魂胆が見え見えである。
案の定、次の約束を取り付けさせられてしまった。

悪いことをしたわけでもないのに、そそくさとその場を後にした私。
振り返ると、いつまでも深々とお辞儀をしている彼女が小さくなっていった。

考えてみれば、思い切ってカードで買うこともできた。
しかし今回は、変なところで自制心が働き、衝動的な出費を免れた。

さて、どうするか。
百貨店の自動ドアを出てからもずっと迷っていた。

たとえ給料が入っても、このまま買わずに我慢するという手もある。
今のカバンもまだまだ充分使えるし。

「ええ、必ず」


少しの後ろめたさ。彼女の笑顔。深々と頭を垂れたお辞儀。
軽々しい約束の言葉。心の中に重たい気持ちが充満してくる。

彼女は私の葛藤を知る由もない。
やはりまだ催眠術は解けていなかった。

潜在意識が、私を銀行のATMに導いた。


もう一度、百貨店に入る。
相変わらずガンガンに冷房が効いている。

今度は何だかウキウキしながら、エスカレータを上がっていった。
結局カバンを買った私の心は、軽くなった。

おまけに、財布もすっかり軽くなった。


2005-11-26 12:37:32 ←←←ポチっとな!





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最終更新日  2007.08.07 01:32:34
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