買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2009年12月29日
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――昨日、この辺で雷が落ちたでしょう。

――いや、ここに落ちたのでさあ。
急にぞんざいな口調になって、
――お庭の白木蓮に。それで孕んだのでさあ。
――孕んだ?どういうことだ。
――どうもこうも。白木蓮はタツノオトシゴを孕んでおります。
(梨木香歩さん「家守綺譚」P45)

突然、空気をつんざくような鋭い音の空雷が鳴ったと思ったら、ほとんど同時に白い閃光が走り、木蓮の花びらがはらり、と落ちた。細い白蛇のような小さな竜が――なぜ竜とみなしたかというと、頭に小さな角が見えたので――、しゅうっとばかり天をさして昇っていったのが見えた。
口をあんぐり開けて、思わず裸足のまま庭先に出て、その後を目で追った。竜は白銀に光りながら、ただ一筋の光のようになって、空のかなたに消えていった。

――ああ帰った。
高堂も私もしばらく空を見つめていた。
――白竜だな。
――ああ白竜だった。
地面に散った白い花びらを、ゴローがじっと見つめていた。
(梨木香歩さん「家守綺譚」P48)

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「たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。」
(「BOOK」データベースより)





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Last updated  2009年12月29日 18時13分56秒
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