買書とつんどくの日々

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2010年01月17日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
本日は、15回目の117です。
5:46に更新をしようと思ったら、なんとメンテナンス中でした。
で、またまたメモです。


行き隠れた女たちは、一度は村の人々の前に惨めな姿をさらさなければならなかったらしいのです。ほとんどそれは、神隠しにつきまとう儀礼的な作法であったようにも思われます。柳田は「山の人生」のなかに、神隠しの特徴として、永遠にいなくなる前に、かならず一度だけは親族や知り合いの者たちにちらりとその姿を見せるのが法則であるように、ほとんどどこの地方でも信じられている、と書き留めていました。
(中略)
「遠野物語捨遣」の神隠し譚が、旧家の何代か前に起こった娘や嫁の失踪事件となっていることには、なにか秘められた意味があるのかも知れません。やはり柳田が「山の人生」のなかで、こんなふうに書いていたことが思い出されます。すなわち、たとえ、ただひとりのまな娘を失った淋しさは忍びがたくとも、同時に、それによって「家の貴さ、血の清さ」を証明できたばかりか、「眷属郷党(地縁・血縁の深い一族)の信仰」を統一できたのではないか、それが神隠しではなかったか、と。そうであるとすれば、神隠しをめぐる物語の群れは、家や村という共同体のアイデンティティを維持・更新してゆくための、たとえば語りの仕掛けであったのかもしれません。
神隠し譚はそのとき、女や子どもをイケニエとした供犠の現場と化してゆくことでしょう。そこには、共同体の暴力の記憶が沈められています。
(三浦佑之さん/赤坂憲雄さん「遠野物語へようこそ」P61)

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Last updated  2010年01月17日 06時51分09秒
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