買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2012年08月11日
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(中略)
御曹司、城郭はるかに見わたいておはしけるが、「馬ども落いてみむ」とて、鞍おき馬を追落す。或は足をうちをッてころんで落つ。或は相違なく落ちてゆくもあり。鞍おき馬三疋、越中前司が屋形のうへに落ちついて、身ぶるひしてぞ立ッたりける。御曹司是を見て、「馬どもは、ぬしぬしが心得て落さうには損ずまじいぞ。くは落せ。義経を手本にせよ」とて、まづ卅騎ばかり、まっさきにかけて落されけり。大勢みなつゞいて落す。後陣に落す人々のあぶみの鼻は、先陣の鎧・甲にあたるほどなり。小石まじりのすなごなれば、流れ落しに、二町計ざッと落いて、壇なるところにひかへたり。
(中略)
おほかた人のしわざとは見えず、たゞ鬼神の所為とぞ見えたりける。落しもはてねば、時をどッとつくる。三千余騎が声なれど、山びこにこたへて、十万余騎とぞ聞えける。村上の判官代康国が手より火を出し、平家の屋形・かり屋をみな焼払ふ。をりふし風ははげしゝ、くろ煙おしかくれば、平氏の軍兵どもあまりにあわてさわいで、若やたすかると、前の海へぞおほくはせ入りける。汀にはまうけ舟いくらもありけれども、われさきの乗らうど、舟一艘には物具したる者どもが四五百人、千人ばかりこみ乗らうに、なじかはよかるべき。汀よりわづかに三町ばかりおし出いて、目の前に大ふね三艘しづみにけり。
(「平家物語(三) 巻第九」P314)


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Last updated  2012年08月11日 09時04分40秒
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