買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2012年09月19日
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(中略)
矢ごろすこしとほかりければ、海へ一段ばかりうちいれたれども、猶扇のあはひ七段ばかりはあるらむとこそ見えたりけれ。ころは二月十八日の酉刻ばかりの事なるに、をりふし北風はげしくて、磯うつ浪もたかかりけり。舟はゆりあげゆりすゑたゞよへば、扇もくしにさだまらずひらめいたり。おきには平家舟を一面に並べて見物す。陸には源氏くつばみを並べて是を見る。いづれもいづれも晴ならずといふ事ぞなき。与一、目をふさいで、「南無八幡大菩薩、我国の神明、日光権現・宇都宮・那須のゆぜん大明神、願くはあの扇のまンなか射させてたばせ給へ。これを射そんずる物ならば、弓きりをり自害して、人に二たび面をむかふべからず。いま一度本国へむかへんとおぼしめさば、この矢はづさせ給ふな」と、心のうちに祈念して、目を見ひらいたれば、風もすこし吹よわり、扇も射よげにッたりける。与一、鏑をとッてつがひ、よッぴいてひやうどはなつ。小兵といふぢやう、十二束三ぶせ、弓はつよし、浦ひびく程ながなりして、あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりおいて、ひィふつとぞ射きッたる。鏑は海へ入ければ、扇は空へぞあがりける。しばしは虚空にひらめきけるが、春風に、一もみ二もみもまれて、海へさッとぞ散ッたりける。夕日のかゞやいたるに、みな紅の扇の日出したるが、しら浪のうへにたゞよひ、うきぬ沈みぬゆられければ、奥には平家、ふなばたをたゝいて感じたり。陸には源氏、えびらをたゝいてどよめきけり。
(「平家物語(四)巻第十一」P162)

後先になっちゃいましたが、那須与一です。
「雅さ」で有名な場面ですが、これに係わる九郎判官の態度や、平家の武者を射殺すところなど、血なまぐさいところもあります。
全部メモすると長くなりすぎるので・・・・・。


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Last updated  2012年09月19日 08時16分54秒
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