買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2012年10月20日
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背が高く、そんな物言いで頷く彼は、俺たちより随分年上に見えた。実際そんなところが、俺のイメージの中のゆうちゃんと合致している。対峙するキョウスケの反応は、ごくあっさりしていた。
「そっか。じゃ、よろしく」
その声を聞いた途端、いいのか?と思った。キョウスケは俺の中で、二つの世界の境界線だった。こいつだけが、俺を世界一かっこ悪い、不幸な人間にしてしまうことができる。
それなのに、お前、認めちゃうの?
それは、自分が赦されたことを噛み締めた瞬間だったのだと思う。俺は、この天変地異の奇跡を、受け入れていい。
(辻村深月さん「八月の天変地異」(「ふちなしのかがみ」所収)P299)

燃えさかる小屋から、キョウスケを助け出した後、消えてしまったゆうちゃんを思って、俺は、もう二度と会えない、と何故かわかった。
それと同時に、キョウスケが辺りに彼の姿を捜し、必死になって首を振る。「ゆうちゃん・・・・・。違う」受け入れることを拒否するように呟き、涙を流した。声に出さなくても、失われたものが共通していることがわかった。
地面に落ちた蝉の死骸を見つめたゆうちゃんの目には、何がどんな風に見えていたのだろう。あの時の彼の年を自分たちが今年追い越したこと。キョウスケが、話すタイミングに今年を選んだことと、それは無関係であるようには思えなかった。
(辻村深月さん「八月の天変地異」(「ふちなしのかがみ」所収)P337)


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Last updated  2012年10月20日 18時53分52秒
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