買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2013年10月04日
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僕は尋ねた。
「葡萄のお墓をつくっているの」
左手に握りしめていた巨峰の皮と種を和子はその中に埋めた。
「ただゴミを捨てているだけじゃないですか」
彼女のこういうもの言いが、最初から僕は気にかかっているのだ。
「違うわ。綺麗なものが消える時は必ずお墓がいるのよ」
太陽はまだ真上にあって、僕はその時、明彦の死んだ母や、そして僕自身、そして父の墓が、ゆっくりと僕の目の前を通り過ぎるのを見た。「和子の墓」というのが、なかでもいちばん魅惑的だった。
(林真理子さん「だいだい色の海」(「星影のステラ」所収)P175)


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Last updated  2013年10月04日 06時12分38秒
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