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2005年05月31日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 昨今、看護大学が乱立し、生き残り競争が少子化のあおりを受けて激化していることは周知の事実である。その中で、当大学における看護教育が何処へ向かって行くべきかを考えるとき、レトロスペクティブな視点でばかりその答えを求めていたのでは、移り変わる時代の中で袋小路に迷い込んで行くばかりだろう。今日の大学における看護教育が目指すべきは、看護の現場においてその技術と能力を発揮するだけではなく、日本の看護の進むべき道に対しても提言を行っていける優れた看護専門職を生み出していくことであると考える。そうした大学として機能し、かつ生き残るためには、医療・保健・福祉・教育従事者をして北海道にこの大学在りと言わしめるだけの、ないしは、ここを出ていれば間違いないと言われる社会的な認識を勝ち得るだけの、質の高い看護教育を提供していかなければならないだろう。
 しかし、乱立した多くの看護大学の社会的評価の関心が、国家試験の合格率といった物差しにばかり集中するあまり、受験生の獲得と大学の名誉のためだけに、国家資格の取得ばかりが看護教育の前面に押し出されつつある昨今の社会傾向を否定できない。確かに、看護師・保健師の養成機関である以上、国家資格の取得は目標の一つに他ならない。だが、個人的に大学の予備校化を憂慮するのは、先にあげた大学が目指すべき教育の理念を信じるからである。学生から寄せられた「大学に予備校の講師を呼んで講義をしてもらっては…」とのコメントは、当大学の教員に突きつけられたある種の挑戦状であり、この大学が進むべき道の再検討と再確認を喚起していると感じる。
アメリカに留学していた5年弱の経験のなかで感じた看護教育の違いとは、プロとしての意識教育の違いである。アメリカにおける看護は、チームを構成するメンバーとして、ドクター他のスタッフと対等な関係で役割を担っているばかりではなく、さらにCNS、ナース・プラクティショナーといったアドバンスト・ナースとして、自立し、自らの責任において臨床で活躍している。また、アカデミカルな分野においても、看護を専門として多くの著名な研究者が活躍をしている。そうした先達たちの活躍を見て学生たちは、将来に向けてのビジョンを持ち、チャレンジを受けるのである。また教育者も、そうした学生達の期待に答えるべく、より高度な技術・知識の提供へとチャレンジを受けている。一方わが国の看護の状況はといえば、往々にして「自分は所詮看護師」といった否定的な意識や、または、医師を頂点としたヒエラルキーに隠れた無責任的意識であることを否めない。そして追い討ちを掛けるように、教育に関しても、国家資格を取らせることだけがすべてであるかのような雰囲気を宿し始めている。つまり、アメリカと日本の大きな違いとして横たわる看護者のメディカル・プロフェッショナルとしての意識の違いは、先輩たちが後輩たちに示してきたビジョンの違いであり、教育者が学生たちに対して行ってきた意識教育の違いであり、日本の看護が何処を見つめて、何を見据えて教育を導いてきていたのかの違いではないかと感じるのである。
 質の高い看護教育とは、看護者が、看護者としての熱いハートと、時代を見据え、これからの看護の在り方を確立して行こうとするクールな頭脳とを持ち、その上で、技術的な習熟がなされた巧みな手を身につけることが出来る、バランスのとれた教育なのであろう。アメリカの看護教育が、必ずしも質の高い教育であるとは思わない。しかし、10年、20年先の看護を考えてみても、現在のような意識を持ちつづけていては、日本の看護は世界の舞台で恥をさらすことになりかねない。必要なのは、今目の前にいる学生たちに、何を見せ、何を聞かせ、何を伝えるべきなのかという認識を、教員がまずしっかりと持つことだろう。だが、本学においてそうした教育を提供するべく、一個人として何ができるのかといえば、残念ながらわずかな経験と知識とネットワークとを用いるような、あまりにも小さなことばかりでしかない。しかし、ごく小さな歯車でも、それが確固とした原動力に導き出されている力を伝えるならば、巨大な歯車をも動かしうる力になると確信している。そして、そのような原動力を学生達の歯車に伝えて行くことこそが、教育者として私が積極的に貢献していきたいと願っているところであり、ゆくゆくは、当大学の、北海道の、そして日本の看護という大きな歯車を動かす力となっていくものであると考える。





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最終更新日  2005年05月31日 11時59分51秒
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