オリンピック開幕と同時に勃発したグルジア紛争は戦争行為そのものはロシアの圧勝に終わったが、ロシアは戦争に勝って、戦略には敗北したと思うのは私だけなのだろうか・・・
まず真っ先にこのロシアの軍事介入によりポーランドがアメリカとのMD配備の合意文書に調印。先月の初めにはチェコとミサイル防衛システム設置協定に調印したのでロシアの影響力低下は否めない。この時にはチェコに対しての報復としてロシアはチェコ向けの原油を半減させたのだが・・・
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080815AT2M1500G15082008.html
http://japanese.cri.cn/151/2008/07/04/1s121469.htm
そしてアメリカだが、まずグルジアに対しては紛争後真っ先にイラクに派遣しているグルジア軍2千人をグルジア本国に輸送している。
そして人道支援の名目で黒海にイージス艦を派遣。グルジア最大の港湾バトゥーミに入港している。ロシアの黒海艦隊はグルジアに対しての事実上の海上封鎖を辞めてセバストポリ基地に帰っている。つまりアメリカを含めたNATO諸国は黒海にて更に大胆な行動を取る可能性が高い。
http://www.shikoku-np.co.jp/national/international/article.aspx?id=20080824000263
そして肝心のロシアだが当初はフランスの調停での和平案をロシア・グルジアともが支持し、緊張緩和に動いていたが、この東欧や黒海での流れにより、南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を認める大統領令に署名した。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200808260031.html
当然ながらこれは米欧やグルジアの反発を呼ぶ行為なワケだ。そして米駆逐艦2隻は現時点ではロシアの平和維持軍がいるポチに向けて出港。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008082600726
しかもグルジアに対してはIMFや世界銀行、欧州復興開発銀行などがグルジアに対しての経済支援をすると発表。助言、資源の提供、融資を行うと。
一方でロシアはWTO加盟交渉の凍結を発表。
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080825D2M2502X25.html
この紛争発生当初はドイツはロシアに対して一定の理解は示していたものの、これまでの一連のタイムリーな展開にロシアは孤立化してると言えよう。
グルジアは勿論ながら反ロシアだが、ウクライナなどもこれに続こうとしている感がある。
東欧など旧ソ連圏の国々はアメリカのミサイル防衛構想に参加した時点でロシアとの軍事的決別と受け取れるワケであり、ポーランドなどはグルジアの紛争が無ければMD配備に合意したかどうかも微妙だ。
ロシアはグルジアに対して戦争には勝ったが大国間との戦略には明らかに劣勢になっている。ここにきて油田のある地域での紛争にも原油相場は大して反応していない時点でも資源ナショナリズム政策をとるロシアにとっては痛手とも言えるかも知れない。
ロシア寄りの大国中国も現在の状況では明確にロシア支持を打ち出すのは厳しい現状だ。オリンピックが終わったとは言え、もう直ぐにはパラリンピックが始まる。平和の祭典を行う国が国際社会で戦争行為に積極的加担や支持の表明など難しいだろう。
グルジアの馬鹿な大統領が愚かな軍事作戦を行い、敗北し、事実上のロシアの占領を受けたのだが、僅か2週間程でここまで国際状況が動いている。
そしてロシアは孤立化を余儀なくされている。グルジアの馬鹿な大統領とは違い、頭の切れるプーチンの事だからアメリカとの直接対峙などは行うまい。緊張感溢れる中央アジアの情勢がどう動き、どう落ち着き、どう変わるのかスピーディーな現状に付いていくだけでも大変だ。
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