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2008年10月21日
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テーマ: 吐息(401)
カテゴリ: Essay

紅葉

 もう何度訪れただろうか。
 二十代から数え切れないくらいに訪れた場所が、ここ詩仙堂である。
 是非、長女に見せてあげたいと思い、駆け足の旅には少し遠いけれど、バスに乗ってやって来た。
 停留所・一乗寺下り松からの坂道を登りながら、随分前の確か四十代の初め頃だったと思うけれど、高校の女子だけのクラス会にここへ来たことを思い出した。
 お調子者のわたしはいつも周囲に乗せられて、面倒な企画や幹事は当然のように回ってきた。
 でも大好きな京都ならどこへでもお連れしますよ、と安請負したものの、交通機関も場所までの距離も測りきれないで、銀閣寺から延々歩かせてしまった苦い記憶が蘇った。

 いつになくおしゃれをして送り出された人達にとって、その日初めて下ろした真新しい靴であったかもしれないのだ。
 ああ、なんて気配りのないことをしてしまったのだろう、と今更ながら悔いても遅いのであるが、京都駅から乗ったバスの所要時間は悠に40分はかかっただろう。
 そんなことを思い出しながら歩いていると、詩仙堂の山門にたどり着いた。

詩仙堂1

 「わぁ、素敵!いいね、ここ」
 長女は大感激している。
 「母さんの大好きな場所なのよ。だから案内したのよ」
 実は、この場所は亡き元夫と二人の姉と一緒に来たことがあったのだ。
 「もう、ラブラブなんだからぁ」
 と、何度姉達からたしなめられただろうか。
 わたしはそういう人たちに心行くまで甘えることができて、本当に幸せを感じた旅だった。

 幸せは永遠に続くものだと、信じて疑わなかったわたしに、そうは問屋が卸さないぞ、とばかりに襲ってきた災難の数々。
 振り返ってみると、人っていうのは本当に一期一会なのだと思う。
 だからこそ、些細な日常を大切に大切にしなければいけないのだろう。

 そんなこと思いながら、わたしは当時を思い出していた。
 でも、こうして娘と共にここに来て、同じ景色を見て感動をしている現実。

 ともすれば指間からこぼれ落ちてしまいそうな小さな幸せだけど、指に隙間ができないように、こぼさないように、ひっそりと生きて行かなければ……。

詩仙堂A
ツバキ
ガクアジサイ
シュウメイギク1
シュウメイギク
しおん

詩仙堂B








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最終更新日  2008年10月21日 07時17分37秒
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