2011/12/01
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カテゴリ: 『・・・・・』
~第3話「男の背中」~

「でも…よくこんなチケット手に入ったじゃない♪」

ティファが目を輝かせながらそうクラウドに言う

「あ、ああ…まぁね…」

正直、ブリッツに詳しくないクラウドにとってはこのチケットの価値もわからずとりあえずそう返事をする

「クラウドの日ごろの行いと人脈だぞと」

レノはそう言ってうまくフォローする

「クラウドにそんな人脈があるなら…前から頼んだのになぁ」

ティファはそう言ってクラウドをチラッと見る


「俺も、久しぶりに試合後あいついと会えるかもしれないんで…その辺もクラウドに感謝だな」

レノもそう言いながらクラウドを見る

「誰か、知り合いの選手が居るの?」

ティファは目をさらに輝かせてレノにそう聞く

「エイブスのジェクト…」

レノはポソっとそう言う
無論、今回のチケットもレノはジェクトに頼んで無理やり取ってもらった物である

『ガシャーン!』

レノの言葉を聞いたティファが思わず手に持っていたグラスを落す
それもそのはずである、ジェクトと言えばブリッツ界の超大物選手で
エイブスに所属しているが他のチームのファンにもジェクトは好きという人が多いスター選手である



クラウドがそう言ってカウンターの中を覗き込む

「じ、ジェクトって…あのジェクト?」

ティファは落としたグラスの破片を拾う事無くレノにそう聞く

「そうだぞと」

レノはそうサラッと答えながらカウンターの中に飛び込みグラスの破片を拾う



ティファは破片を拾ってくれているレノにそう言う
そして…次の瞬間

「痛て…」

レノはそう言って指を押さえる

「切ったの?見せて」

ティファはそう言ってレノの手を取る
レノの指から一筋の赤い血が流れ落ちる

「こんなの舐めておけば治るぞと」

レノはそう言ってティファの手を払おうとする

「ダメだよ!ちょっと待ってて」

ティファはそう言って棚の上から救急箱を取り手当てを始める

「役者だな…」

クラウドはカウンターに背を向けて、ヤレヤレといった表情を浮かべつつそうつぶやきザックスの方を見る
しかしザックスはグラスを持ったまま完全に停止している

「ザックス…どうした?」

クラウドは思わずザックスにそう声をかける

「あ?」

しばらくしてからザックスはクラウドに向かってそう反応する

「なぁ…お前、変だぞどうした?」

クラウドはもう一度ザックスにそう聞く

「そ、そうか?ちょっとボーっとしてただけだよ…酔いが回ったかなww」

ザックスはそう言ってグラスのビールを飲み干して笑う
しかし、その笑顔は明らかに不自然な笑顔だった

「わ、悪かったな…かえって面倒かけて」

レノはティファにそう声をかけ立ち上がる
ティファは首を横に振りニコッと笑う

「つ、疲れてるのかな…なんか急に酔いが回っちまった…ワリいけど先に出るわ」

ザックスがそう言って立ち上がる
クラウドとティファは思わず顔を見合わせる
2人はザックスの底なしとばかりの酒の強さを知ってるだけに信じられないでいる
そして席を立ったザックスがレノを手招きして

「良かったじゃねぇか…がんばれよ!」

と耳打ちをする

「き、気色悪いぞと…」

思わずレノはザックスにそう言う

「うるせ!」

ザックスは苦笑いでそう言って振り向きもせず手を振りながら店を出て行った

「なんだって?」

クラウドはレノにそう聞く

「良かったじゃねぇか…がんばれよ…と」

レノはザックスに言われた言葉をそのままクラウドに伝える

『!!!』

それを聞いたクラウドは突然席を立ち上がる

「悪い…ちょっと出る…」

クラウドはそう言ってジャケットを羽織ながらザックスを追うように店を飛び出す

「な、なんなんだ?」

レノは思わずそうつぶやきティファを見る

「さ、さぁ?」

ティファはそう答えてレノを見る
そして2人はもう一度ザックスとクラウドが出て行った入り口を見る

クラウドは店を出て周りを見渡す
ザックスはクラウドのバイクの横に止められた自分のバイクにもたれてタバコをふかしていた

「ザックス…お前…」

クラウドはザックスの背中に向けてそう声をかける

「なんだ…来ちまったのか、バカだな…」

ザックスは振り向きもせずにそう言う

「さっき言ってた…気になる奴って…ティファの事だったんだろ?」

クラウドはザックスにそう聞く

「フッ…お前っていつもは鈍いくせに、こういう時だけ勘がイイんだな…やな奴だぜw」

ザックスは振り向くきもせずにそう言ってタバコの煙を吐き出す

「スマン…まさかそんな事とは知らずに…」

クラウドはうつむきながらそう言う

「なに謝ってんだよバーカ…むしろ俺は感心してんだよ…レノの奴に」

ザックスはそう言ってタバコの火ををブーツの底で消して吸殻を上着のポケットに入れる…そしてもう1本取り出して火をつける

「けっこう前から気になってたのにな…あいつがブリッツ好きな事とか…エイブスが好きとか…あいつとは付き合い長いのに何も知らなかった…いや、何も知ろうともしてなかった…だなw」

ザックスは苦笑いを浮かべてそうつぶやく

「ザックス…」

クラウドはそうつぶやく

「飛び出した俺も大人気ないが…2度も同じ場所だろ…ちょっといられなくてなww心配かけちまって謝らなきゃいけないのは俺の方さww」

ザックスはそう言って振り向く
クラウドはそんなザックスに何も言う言葉が見つからない

「男は背中で泣く…それが俺の美学さw気にしないでさっさと戻れよ♪」

ザックスはクラウドに背を向けてそう言う
こういう時に何も声をかけられない自分に腹を立てつつクラウドは店のドアに手をかける

「いいか…今の話…そのドアをくぐったら忘れろよ!」

ザックスはクラウドにそう言う

「あぁ…」

クラウドはそう答えて店の中に戻って行く

「優しすぎるんだよな…あのバカ…」

ザックスはそうつぶやきながらバイクのエンジンをかけて2、3回空ぶかしをしてティファの店を後にする

クラウドは無言で席に戻りグラスに入ったバーボンを飲み干す
ティファとレノはそんなクラウドを見つめる
クラウドは一息ついたのち

「大丈夫みたいだw昼間の食い合わせでも悪かったんじゃないか?あいつ…」

そう笑顔で言う
たぶんクラウドにしては最高の演技だったんだろう2人は特に疑う事もなく噴出して笑う

「で、時間とかは?話すすんだんだろ?」

クラウドは2人にそう聞く

「あぁ、5時にこの店の前で待ち合わせだぞと」

レノはクラウドにそう言う

「ところで…エアリスは大丈夫なの?」

ティファは店の時計をチラッと見てクラウドにそう言う

『!!!』

クラウドはティファにそう言われて店の時計を見て動きが止まる
時間は9時を10分ほど過ぎていた

「やべ…9時に店に迎えに行く約束してたの忘れてた…」

クラウドはそう言って慌てて身支度をする

「いいわ…私からこっちに来るように電話してあげる…彼女の店すぐ近くだしね♪」

ティファはそう言って店の電話を取りエアリスの店に電話をかける

「お前も大変だな…」

レノはそうクラウドに言う

「まぁな…」

クラウドはカウンターにうつぶせてそう言う

『カラーン、カラーン』

ほどなくして店のドアが開きエアリスが入ってくる
カウンターに座っているクラウドの方に向かってくるエアリスのほっぺたはふぐの様にぷーっと膨らんでいた

「解り易いな…」

レノがそうつぶやく

「あぁ…」

クラウドはうつむき加減でそう返事をする

「エアリス…ゴメンね♪私が無理言ってクラウドを引き止めてたの…」

ティファはそう言ってエアリスに手を合わせてウインクをする

「いいの♪」

エアリスはティファにニコッと微笑んでそう答える

「エアリス…」

クラウドが隣の席に座ったエアリスにそう声をかけると
エアリスの頬がまたプクーっと大きく膨らむ

「ゴメン…」

クラウドはただそう謝る

「久しぶり♪」

レノがエアリスにそう声をかける

「お久しぶり…だぞと♪」

エアリスはニコッと笑いながらレノにそう返事をする
ティファとレノはそれを聞いて笑う
そしてエアリスに当日の予定を説明したりとりとめもない会話をしているうちに店のお客はクラウド達だけになる

「お客さん引いちゃったから…今日はコレで終わりにしようかな…」

ティファがグラスを拭きながらそうつぶやく

「じゃあ…みんなで夕飯食べに行かない?」

エアリスがそう言う

「こんな時間に食べると太っちまうぞとww」

レノがそう笑いながらエアリスにい言う
エアリスはレノにそう言われて頬を膨らめる
それを見たレノとクラウドが噴出して笑う

「私も手伝うね♪」

エアリスはティファにそう言ってカウンターの中に入る
ティファは手でゴメンってやりながらエアリスにウインクで答える

「どこに行く?」

クラウドがティファにそう聞く

「この時間だしね…そんなには選べないと思うけど…」

ティファは洗い物をしながらそう答える

「アバランチ♪」

エアリスはグラスを拭きながらそう言う

「アバランチ?」

レノが首をかしげながらそう聞く

「あ、レノは知らないか…元俺の上司でバレットっておっさんが裏町でラーメン屋をやってるんだよ」

クラウドがレノにそう答える
レノは「フーン」とうなずきながら返事をする

「クラウド…おっさんはひどくない?w」

ティファが笑いながらクラウドにそう言う
クラウドはそれを聞いて笑う

「すっごくおいしいんだぞ…とw」

エアリスはレノに向かってそう言いながらレノのしぐさを真似る
ティファもニコニコと笑いながらうなずく

「だけどさ…バレット、新羅嫌いだからな…」

クラウドは苦笑いを浮かべてそう言う

「あ!そっか…」

ティファはレノの方を見ながらそう言う
アバランチには行かない…そんな雰囲気にエアリスは1人頬を膨らめる
そんなエアリスに気付いたレノは

「ま、何とかなるでしょ…人に合わせての情報収集は俺の得意分野だぞと」

そう言ってエアリスにウインクする
それを聞いたクラウドとティファは顔を見合わせながらうなずく
その後店の片づけを済ませて4人は店の外に出る

そして4人はレノの車に乗り込み夜の裏町へと消えていった


…『To Be Continued♪』





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Last updated  2012/01/23 03:35:14 AM
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