雅の日記~お気楽生活をめざして

雅の日記~お気楽生活をめざして

2010年05月25日
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カテゴリ: その他
母の日と母の誕生日を兼ねて、羊屋のワイン会に母を招待した。


母は、どちらかというといつも後ろ向きなことや、悲観的なことしか言わない性質の人だ。
人は自分の聴きたいことしか聴こえないし、見たいものしか目に入らないから、「そういう生き方は幸せではないよ」と言ってもなかなか受け入れてはもらえない。
ましてや血がつながっているから、他人よりもかなりてこずるのだ。

普段は人に会っても大して緊張しないのだけれど、母の場合はある種の「やりにくさ」から、緊張を強いられる。
だから、なるべく会わないようにと、接触を避けていた。

けれども、今回食事に招待したのは「母はいろんなものと巡り合う経験が少なくて、こういう性格になったのではないか」という疑問が湧いたからである。
母は働いていたものの、職場は住まいの近場が多いし、旅行もする人ではなかった。生活の行動範囲が狭く、転勤もほぼなかったため、世界が狭い。交友関係も非常に少ない。


私の親だから酒も弱くないのに呑まなくなって数年。人生には何も楽しみがないから早く死にたいと電話口の向こうで何十分も言う母。親戚は「昔は朗らかだった」と言うその姿が戻るかもしれないと思って、銀座に誘ったわけである。

で、当日。
「ワイン会」の名の通り、次々と食事と共に運ばれてくるグラスワインを呑むうちに母は酔っ払っていて、珍しく陽気だった。ほんの数時間だけだけれど、一緒にいる間、半分以上ケタケタと笑っている母を見るのは初めてだった。

「親孝行は、やって、しすぎることはないのよ」
以前、野村沙知代さんにそういわれたことがあったのだが、母の顔をみて、それを思い出した。
「親が死んで、いくら憎んでたとしても、ロクデナシでも、『あのとき、もっとしてあげればよかった』ってきっと思うはずから」

母の笑っている様を見て、ふと「この人には『幸福だ』と思う経験ができるような贈り物をするのが一番かもしれない」という風に感じた。
死ぬまでに、今の性格とか考えかたはあまり変わらないかもしれないけれど、もし少しでも変わったら、「生きるってことは素敵なことだ」と感じてくれるかもしれないから。
やってみる価値はあるのかもしれない。

「やって、しすぎることはないのよ」
もう一度、頭の中で、そう声がした。






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最終更新日  2010年05月25日 00時46分35秒
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