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2024.04.06
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第6話「蟹の宴」

寧鈺軒(ネイギョクケン)に同伴してしぶしぶ皇宮にやって来た聶桑楡(ニェサンユー)。
しかし花見の宴に招かれた高貴な婦女たちに気づき、実は痕消し膏を売り込む格好の機会だと分かった。
そこで寧鈺軒が立ち話している隙に夫人たちに近づいたが、聶桑楡を見つけた陶思維(トウシイ)に捕まり、席に連れて行かれてしまう。
「潔癖症の君のために私が卓をきれいに拭いておいたぞ!」
「謝謝」
「謝謝?!…私に礼を?!」
実は聶桑楡は学堂の時から陶思維をこけにし、時には手をあげていた。

記憶がない聶桑楡は困惑し、そろそろ皇帝が来るとなだめて話を切り上げた。
「そうだな、また後で!」



皇帝が御花園に到着、宴が始まった。
皇帝の覚めがめでたい陌玉(バクギョク)侯夫婦は上席に座り、向かいには皇帝の叔父である檀(タン)王が、隣には凌剣星(リョウケンセイ)がいる。
すると楽坊による美しい舞が始まった。
聶桑楡はまた上客を見つけたと喜んでいたが、寧鈺軒に行儀良くしろと釘を刺されてしまう。

聶桑楡は挨拶に来た凌剣星の嫌味を聞いて寧鈺軒とは犬猿の仲だと分かった。
「何があったの?もしや想い人を奪ったとか?」
「はあ?…奴は学問所にいた頃からあの調子だ」
「学友なんだ~どこの学友も変わり者ばかりね、私が一番まともじゃないの(ボソッ」
すると寧鈺軒は急に腹の傷がうずき、脇腹を抑えた。





しかも蟹の新鮮度を保つため、海水を満たした桶に入れて600里を早馬で運ばせたという。
「おや、蟹が初めてでむけないのかな?」
凌剣星はなかなか手をつけない寧夫人を揶揄、しかし聶桑楡は手慣れた様子で楽々と蟹をむいてしまう。
すると凌剣星はそれほど気に入ったのなら寧府へ蟹を届けさせると鼻で笑った。
(ヾノ・∀・`)<イヤイヤイヤ~民を酷使して公費を使い込んだ蟹を頂くなんて、そんなおこがましい~

凌剣星は声を荒げ、皇帝への侮辱でもあると糾弾した。

宴席に不穏な空気が流れた。
そこで聶桑楡はただ簡単に蟹の鮮度を保つ方法があると言いたかっただけだと釈明する。
蟹料理は確かに鮮度をいかに保つかが決めて、実は香味野菜と酒に蟹を漬けて生のまま食べるのが一番美味しいという。
「その名も″漬け蟹″です、すぐに作れます」
「それは良い、では作ってくれ」
皇帝は喜んで許したものの、寧鈺軒は戦々恐々だった。
もし漬け蟹を食べて皇帝に何かあれば一族の首が飛ぶ。
しかし皇帝は凌剣星の料理の数段上だと漬け蟹を絶賛、さらに聶桑楡を近くに呼んで談笑した。

まさか寧夫人に面目を潰されるとは予想外、焦った凌剣星は余興として寧大人と手合わせしたいと申し出た。
聶桑楡は病み上がりのため夫が万全でないと辞退したが、それまで黙っていた檀王がふいに口を開く。
「陛下が幼く私が摂政だった頃は具合が悪くても休むことなどなかった
 今の若い者たちは軟弱になったものだ…」
檀王から遠回しに咎められた寧鈺軒は確かに興をそいでしまうと考え、腕比べに応じた。

寧鈺軒と凌剣星はそれぞれ背中に小旗を挿し、先に相手の旗を奪った者が勝ちと決めた。
こうして負傷の身ながら戦うことになった寧鈺軒、当然ながら力を出し切ることができず、劣勢に甘んじる。
すると寧鈺軒が凌剣星に投げ飛ばされ、聶桑楡の前に吹っ飛んできた。
「危ない!」
聶桑楡は無我夢中で寧鈺軒の元に駆けつけたが、寧鈺軒は突進してくる凌剣星に気づき、聶桑楡をかばって剣を振った。
その時、思いがけず聶桑楡が凌剣星の隙を見て背中から旗を奪うことに成功する。
バーン!( °ω° )/▶︎ <陛下!旗を取りました!

聶桑楡は御前に呼ばれた。
すると皇帝から将軍家の娘ともあろう者が一対一の対決に割り込むとは何事かと叱責されてしまう。
「寧執政、こたびの対決はそちの負けとする」
聶桑楡は寧鈺軒の足を引っ張ってしまったと落胆したが、皇帝の話には続きがあった。
「だが夫婦の絆の強さと互いを思いやる心を目にして朕は感じ入った
 夫婦の心が1つなら家は安寧、家の安寧は国家の安泰だ」
そこで皇帝は聶桑楡に高官の母や妻だけに与える二品の誥命(コウメイ)夫人に封じた。
「はあ?@うさぎ風…陛下、そうではないんです、そんなつもりでは…」
しかしまさか皇帝の勅命を断れるはずもなく、聶桑楡はその場で拝命するしかなかった。




屋敷に戻って寧鈺軒の薬を交換する聶桑楡、しかしすっかり落ち込んでいた。
「誥命夫人に封じられたのに、なぜ意気消沈するんだ?」
「冊封より離縁を選ぶわ、身分なんていらないのに…
 それにしても誥命夫人用の衣、売ったらかなりの銀子が手に入りそう♪」
「下賜された物を売ったら死罪だぞ?」
「チッ!なら痕消し膏を″誥命膏″という名に変えるのはどう?」
「離縁するんだろう?」
「(はっ!)そんな急いで離縁しなくてもいいわ」
すると寧鈺軒は掟通り数日後に冊封の祝宴を開くと言った。
欲に目がくらんだ聶桑楡は離縁をしばらく延期、その代わり勘定だけはきっちりさせてもらうという。

聶桑楡は2色の珠でできた首飾りの紐を切り、それぞれの色に分けた。
「この珠1つで100貫に相当すると考えて、あなたは藍色、私は紅色ね?
 で相手の役に立ったら珠を1つ得る、逆に害を与えたら1つ没収よ
 離縁する日に珠の数で精算しましょう」
すると聶桑楡は傷の縫合で1つ、薬を塗って1つ、箱の中に2つの珠を入れた。
しかし寧鈺軒は今の2つで珠1つ分だという。
「負傷を黙ってあげた」
「じゃあ手当と合わせて2つだ」
「そうだ、誥命夫人に封ぜられ、寧家の名声を高めた!これは2つ分の貢献ね!」
「だが必要以上の注目を集めた、1つだ…」
「ふん!この分なら寧府を離れるまでにひと財産築けそうだわ」

一方、凌剣星は聶桑楡を甘く見過ぎていたと後悔していた。
しかし手合わせしたおかげで寧鈺軒がかなりの重症を負ったと見抜く。
自分の読みが正しければ怪我は匪賊討伐と関係があるはずだ。
「陛下は職権を越えての調査を禁じている
 もし事実なら寧鈺軒は自分で自分の首を絞めたことになるな…ふっ」

聶桑楡は正室の寝殿である薔薇園に戻れることになった。
しかし自分で手入れした部屋に愛着があり、このままで良いと断る。
そこで反省させる目的の″思過閣″を″非晩(ヒバン)閣″と改名、痕消し膏も″非晩霜″に改めると決めた。
鬼白(キハク)の報告で知った寧鈺軒は″非晩″と聞いてすぐ王勃(オウボツ)の句だと気づく。
「東隅己逝 桑楡非晩…か、なかなか趣があるな」
また聶桑楡は上客を取り込むため、自分で稼いだ100両で冊封の宴を準備するという。
どうやら聶桑楡は自分が″都一の毒婦″であることを忘れたらしい。
「ふっ、誰が宴に来る?」
「聶将軍一家がお見えになります」

つづく


※王勃「縢王閣序」より「東隅己に逝けども桑楡晩き非ず(日の出は過ぎたがまだ日の入りではない→まだ遅くないという意)


( ๑≧ꇴ≦)思過閣…どんだけMなのwwwww





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最終更新日  2024.04.08 21:58:38
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