荷葉団団

荷葉団団

2013.07.21
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カテゴリ: 映画 #cinema
http://www.u-picc.com/seediqbale/

・・・ 映画『セデック・バレ』は、“文化”と“信仰”の衝突という視点で「霧社事件」を描いた、4時間36分に及ぶ歴史超大作である。1930年、日本人警察官との間で起こった小さないざこざが原因で発生した原住民による武装蜂起、日本統治時代後期の最大規模の抗日暴動が「霧社事件」である。

実は私の父親一家も一時期台湾に移民してたことがありまして。あんまり長い時期ではなかったようだし、多分時期的に霧社事件の後だったんだろうと思いますが、そんなことで興味があって見に行ってみました。
レディース・デーだったにもかかわらず、お客もおじいさんが多かったですね。

主人公モーナ・ルダオの若いころから、霧社事件の後までが描かれます。

第一部『太陽旗』;

日本統治が及ぶ前のセデック族というのは、いわゆる首狩り族で。首狩り族にも、たまーに(成年の儀式とか)しか首を狩らない所もあるようですが、セデックは割に狭い範囲でしょっちゅう縄張り争いを細かくやっていて、人の首も縄張りも取ったり取られたりをこまめにくりかえしていたようです。
人の首をとらないことには男として認めてもらえないようだし、死んでも祖先の待つ家に入れないらしいから、徹底してます(笑)。

なんというか、非常に「ヤクザ」の論理に類似している、と感じました。


近代人の考え方からいえば「蕃族」ということになってしまうんですが、そうかといって
独自の文化をないがしろにされたり、過酷な労働と服従を強いたりしては反発を受けるのも当然で。小さないざこざが原因で「霧社事件」が起こるのも仕方のないことかと思います。

第二部『虹の橋』;
ここでは男性側論理から「霧社事件」を再考してみたいと思います。

武装蜂起の準備~実行の経緯をみてて、非常に「ベトナム戦争」に近いものを感じました。
高温多湿なアジアのジャングル、急峻な地形、原住民のすばやい移動。日本軍が業を煮やして毒ガス弾を使ってくるのも、似てるといやあ似てます。

総じていえば、大した補給もないなか、モーナ・ルダオおよび蜂起軍はよくがんばったと思います。しかし、準備期間は相当あったのだから、やろうと思えばもっとやれたんじゃないかとも思います。

結局、最初から勝とうと思ってないというか、圧倒的戦力差があるなかで、何をもって勝ちとするのか、目標が明確でないのがよくなかったですね。

私の考えでは、日本軍の支配の網目をくぐって「セデック族の子孫・文化、考え方を存続保存させる」いうのが、一番の勝利と思うんです。女性陣がみんな首くくって自決した時点で、もう実質「負け」だと思ってしまう。近代人の発想かも知れませんが。

そのためには
・時間をかけて遠くの部族にセデック族の女性・子供を少しずつ預かってもらう。何だったら海外にだしておく。


だいたい他部族の説得を若い子に任せたのが敗因の一つではありましたね。

・日本軍の警察に入っているセデックの若者が2人いたんですが、彼らをあまり活用せず、すぐ自決させたのももったいなかったですね。電話回線をのっとって日本軍をかくらんするとか、すこしはあってもよかった。

ほかにも自分とこの補給の問題、日本軍の補給路の問題など色々あるかと思いますが割愛します。
とにかくセデック族はやたら自決したがる。これが日本軍の薫陶を受けたからなのか、もともとの彼らの伝統の中にあったのかは気になるところです。

映画について;

衣装も、どこのデパートで買ってきたのかというような結構な大島紬とかを普段着としてきておられました(笑)。大島とか麻とか、当時の普段着は今は結構なお値段するものになっていますね。

☆松本実さん
蜂起のきっかけをつくった日本人警察官吉村を演じておりましたが、いかにも日本にいがちな肝の小さい小役人を演じて秀逸だったです。名演技!

☆安藤政信さん
最近あまりお見かけしないので、この映画で見てちょっとびっくりしました。ちょっと気味が悪いほどのイケメンさんなので、日本ではなかなか使われにくいのかもしれませんね。
家族を殺され、だんだんと狂気に入っていく今回の役は、結構はまり役だったと思います。

以上です。長文御容赦ください(実質映画二本分あるので)


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Last updated  2013.07.21 18:54:42
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