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一週飛んでしまいました。雑用に追われて時間が取れなかったのですが、儲からなくても忙しい事は良い事です。今日、ご紹介するのは古典的であり乍ら、重厚性とモダンさを兼ね備えた希有な振袖と思います。元々、雑誌に出ていたものを参考に、更に付加価値を加えて完成したものです。地色も種々やりましたが、一番絵になったのが黒鼠地。これです。「遠山に松竹梅の段」文様生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」この振袖は可成り、複雑な工程を経て出来上がっています。それに加え、各工程で神経を尖らせる柄でもあるのです。シルエットに松竹梅の形を取っている事では、柄の糸目とシルエットが混在しているので、柄の伏せ違いが起き易いのです。また、ベージュの下染めを入れる事で生地の伸びが生じます。事前に裏から緻密な鉛筆当たりを入れねばなりません。柄の頂上付近にあるぼかしは当りを取っていません。ぼかし職人さんの勘だけで合い口を合わせているのです。簡単そうですが、極度に熟練された技術のみがなし得る染なのです。肩付近にある梅や裾付近の梅と笹の一部には摺疋田を入れています。当然、普通に彩色するより手間がかかります。最初の考えではベージュの所は無地の予定でした。中途で遠山の素描を入れる事になったのですが、これもこの振袖の質感を上げる事に成功しています。松竹梅の柄を邪魔しないで重厚さを上げてくれました。沢山の困難を乗り越えて染め上がるのですが、手間がかかり過ぎて予価に収めるには辛いものがあります。そのお陰で、割安感があったのか最近での一番人気となりました。この振袖も何代かに渡って着用して欲しいものの一つと言えるでしょう。
2010年05月23日
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手描き友禅でも、飾り付けに刺繍や金彩を施す事もよくあります。我が工房では少なめですが。その金彩でも小紋箔を使って柄を表現する事もあります。それも我が工房では少なめです。しかし、小紋箔ではありませんが、型を使う事は少なくありません。それも疋田の型。細かい絞りの目がつまった柄です。本来は本当の疋田絞りを入れるべきなんですが、工程が複雑になって目玉の飛び出す程の高価なものになってしまいます。疋田絞りの振袖は世間一般に良く見られますが、本来とても高価なもの。中国などの安価な工賃で作られたものだから安いだけ。大変な労力を元に作られた事を忘れてはなりません。細かい本疋田の反物は一反十三メーターを絞るのに一年かかると言います。そんな贅沢な疋田を手軽に使える様にしたのが摺で表現する「摺疋田」型友禅が発明されて直ぐに使われ出した古くからある技法です。その摺疋田をメインにして染められたのが今回ご紹介する振袖、疋田大菊。御覧下さい。煉瓦朱の地色。疋田は色の出方がソフトなのでこれだけの大柄になっても柔らかな印象を与えてくれます。摺疋田の柄の縁は白い部分を同じ色で素描で塗りつぶします。これを「目消し」と言って摺疋田では、これがあるのと無いのでは天と地程の値打ちが違ってきます。この振袖の菊の花びらはこの目消しで表現されています。もう一枚地色違いを御覧下さい。琥珀色の地色です。大柄で迫力ある振袖になっています。これはシリーズ化されて色違いや、椿や桜の柄違いも。
2010年05月08日
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振袖で枝垂れと言うと桜が定番です。実際に美しい枝垂れ桜は絵になります。そんな枝垂れ桜を模して枝垂れ菊を染めたのがこれです。生地は工房でお馴染みの浜縮緬、南久さんの「雲影」地色は「濃色(こきいろ)」と言われる深い紫、大きな丸に染めたのは「京紫」八掛には「蘇枋(すおう)色」上物は花傘をメインに櫛や手毬を配しました。配色違いも染めています。定番の黒鼠地に臙脂色の大丸。枝垂れ菊に薄山吹の配色が映えています。そしてこちらは黒緑地に紅鵜紺の大丸。地色としては少な目の珍しい配色です。概して枝垂れ柄はボリュームがあって、振袖には定番と言える柄行きですが、大きな丸のぼかしと併用するとその迫力は倍加します。
2010年05月02日
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