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長らく楽天ブログで振袖を掲載していましたが、写真の掲載方法が変わり掲載を止めていました。再開を期したいと思うのですが不自由さは矢張り障害。正式にこのブログでのご紹介を中止致します。別の機会を作って再開したいと思いますが、何処で、何時から等すべて未定です。始まり出したら本家のブログなどでお知らせ致します。長い間、ご覧頂き有難うございました。染工房 遊 店主啓白
2012年10月14日
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相変わらず更新が遅れています。御所解模様に水車があります。勿論田園風景の水車なんですが、御所解模様に描かれる水車は小屋無しに水車だけが殆どです。それも木枠でこしらえた様な思い浮かぶ水車ではなく、柄杓を輪に並べたのが普通です。こんな柄です。桔梗や女郎花、萩がありますがその間に柄杓の形をしたものがあります。中に疋田が入っているのが水車。定番の柄なんですが、この柄杓の変わりに花をモチーフにしたものが「花水車」振袖の柄に使いました。珍しく裾色に金茶を使っています。可愛い柄になりました。使用する生地は濱縮緬、南久さんの雲影。工房の染める殆どの振袖に使っている高価ですが落ち着いた質感の高さを醸し出す良い生地です。今の所、インクジェット振袖には使われていない様です。
2011年12月24日
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更新が遅れる事久しいのですが、雑用に振り回されている事で御免そうらえ。日本語になっていないかも知れませんね。冗談はさておき、今回の振袖もぼかしの技としての自慢作。ぼかしは本来ゆっくりと色が変化するもの。今回のぼかしは「堰出し」きちっと色を止めるのはぼかし足を出すより難しい一面があります。ぼかしなのでほんの少し足を出しますが、見ていて分からない程。その縁の濃淡の強いと染料の浸透圧の関係で濃い色が薄い色へ滲み出していきます。それを防ぐのが技術。そんな振袖です。身頃の裾や袖の下の部分雪輪がその堰出しぼかし。問屋筋ではこの技術を評価したのか人気がありました。
2011年11月01日
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久しぶりの更新です。忙しすぎているとは言え申し訳の無い事。今回ご紹介するのはちょっと珍品。最近では見かけない図柄です。その昔、正倉院御物に関する図柄であれば何でも売れた時代がありました。一竹さんで有名になった辻が花もそうでしたが、それより少し前。四条通りに面する問屋さんでは染色作家をお抱えして正倉院柄を沢山染めていました。辻が花がブームになると正倉院柄をローケツで染めていた作家さんは辻が花に転身。それも良く売れたものです。今ではそんな問屋さんのド派手なビルも看板が変わっています。この正倉院柄の振袖はそんな時代のずっと後、ブームの気も無い頃に発表しました。落ち着いた配色は振袖向きではありませんが、ありきたりの振袖とは一線を画して所謂高級店に喜ばれた様です。正倉院柄のブームの再来が来ると奈良も賑やかになるのですが。
2011年09月26日
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今回ご紹介するのは形として振袖の定番。上衽から右の方へ流れる裾と、それに対比して右袖右肩に重きを置いて、肩から枝垂れる柄を置くというもの。その典型です。ご覧下さい。定番の臙脂色です。この柄は大人気であったので似よりの柄を二柄追加した程。この写真では大きな菊に疋田が入っているのが分かりません。売れ続ける事で柄の置き方にも変化が出てきます。次の振袖は同じ柄ながら、疋田の置き方が全く違います。上の振袖では大きな菊の八重の部分だけ友禅した後から抜染で疋田を表していました。下の振袖では疋田の部分は摺疋田に変化、晴れやかさを増す事に成功しています。菊の八重の部分だけでなく他にも使っているのは、質感を上げる為。上の振袖を染めていた時には、摺疋田が出来なかったのです。本格的に「摺り」を習わないと本来出来ないものですが、聞きかじりや見よう見まねで何とか。摺疋田が出来る様になると振袖の注文は可成り増えたのです。何でも挑戦してみるべきですね。
2011年08月14日
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久しぶりの更新です。雑用に忙殺され更新が滞りました。何事にも定石とか定番と言ったものがあります。振袖も同じ。この地色で染めておけば安心してお客様が納得して頂けるというもの。それが今回ご紹介する振袖の地色です。臙脂に深い緑。明るい緑は彩色でも嫌がられ、黄味に振るか青みに振る事がこれも定番とされています。ご紹介するのは裾に枝垂れ桜、上物に蝶をあしらった振袖です。下染めが黄味ですから余り青い緑は出ませんが、深い緑は定番。この振袖は肩から枝垂れ桜と言う定番柄を離れ、裾回しで枝垂れ桜を描いています。定番の地色が有ると申しましたが、この柄では違う地色の方に注文が多かったのです。臙脂の地色が売れない振袖は他にもありますが、この柄はこの配色が抜きん出て評判が良うございました。少し緑系に振った芥子色とミントグリーンは斬新なんですね。
2011年07月31日
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振袖に使う地色は得意先が指定するのが半分以上、後はこちらの裁量に任されていました。インクジェットが席巻するまでは。現在では注文の量が減ったので得意先は安全第一、指定される色以外は御法度となります。因に注文があればその地色は深い臙脂、黒鼠そして裾ぼかしの色として深い青緑。時々濃い紫や紫紺がある程度。今回ご紹介するのはこれらの地色ではなく、中間色のブルーグレー。柄も古典的ながらチョイモダン。地色が爽やかな分、配色は熱めに。手鞠に桜と梅を肩、袖、裾に配しています。柄が背中に無いと帯が合わせやすく、お母様やお婆様の古い袋帯が使える確率が高くなります。手描友禅の振袖は価格も高いのは勿論ですが、職人が何日もかかって作り上げたもの。言わば贅沢品ですが、それだけにお嬢様一人だけでなく、妹さんや親戚のお嬢さん、そして何よりお嬢様のお子様や孫に受け継がれてもらいたいものです。そうなれば贅沢品がリーズナブルなお召し物に変身。長く受け継がれて欲しいですね。
2011年06月17日
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工房の作品としては染め上がるまで、特に時間の掛かる「重い」振袖の数は多くありませんが数点あります。今回ご紹介するのはその一つ。全面に枝垂れ桜を配しています。柄の数が多い割に配色のパターンを少なめにして、重いながらもすっきりした印象を引き出すのに成功しています。今年の二月十六日に発表した振袖と柄域としては同じ部類。あちらは工房の作品の中でも柄が重い部類に入りますが、こちらは桁違い。柄がこれでもかという位に詰まっています。大きな桜は胡粉の彩色と二色の摺疋田で構成しています。生地はいつもの濱縮緬、南久さんの雲影。地色は黒鼠。気の遠くなるほど時間がかかる作品。彩色と疋田の摺だけで二十日は掛かりそうです。何世代も袖を通して欲しい逸品だと思います。
2011年05月30日
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先日、工房の作品の写真が出てきました。探していた花ぼかしの振袖です。メルマガには兎の八柄を掲載しました。いずれこの場所でも掲載しますが、今回発表するのは「蝶」。振袖のキャンバス一杯に蝶を表現しました。兎でこれをやったのですがちょいグロ。ちょっと気持ち悪かった気がしますが、蝶はお洒落でした。ご覧下さい。ローケツの堰出しや友禅でこの蝶を描くのは簡単です。ぼかしで染め上げるのは至難の業。こういう難しい柄を続けて染めると職人さんは体を病んでしまいます。それほど神経を使わないと出来ない染という事です。墨色地に臙脂の蝶。生地は濱縮緬、南久さんの「雲影」色違いは紫紺地に鉄色の蝶。片身分けの一種で着姿も美しいのですが、パッと見た時に蝶とは分からないかも知れません。
2011年05月08日
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振袖の染は相変わらずインクジェットが増えて染の大半を占めています。軒並み生産が減った友禅業界ですが、インクジェットだけは増えました。しかし、インクジェットの振袖に小売屋さんなどが飽き飽きしているのも事実。震災前には手描友禅の振袖の注文が増えていた様に思います。今回ご紹介するのは簡単に見えて無茶に難しい堰出しぼかし。裾に取った雪輪がそれなんですが、蝋で堰をするのは簡単。ナイフで切った様に堰が取れます。ぼかしでそれをするのですから並大抵の腕では不可能。小さな写真でその味をご覧頂けないのは残念です。鉄紺地に裾を臙脂でぼかし上げました。柄は摺疋田の雪輪と金友禅の花丸。もう一色は江戸時代の振袖をイメージした配色。敢えて裾にぼかしを入れませんでした。日本女性の原型である大和撫子に似合う物として配色を付けました。さて貴女に似合うでしょうか。
2011年04月27日
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振袖の定番中の定番、桜と鴛鴦を使った柄は沢山あります。その中でも一、二を争う人気柄です。裾を流水取に染分けて水辺を表現。枝垂れ桜も細くて華奢な一本の枝が、裾に向かって大きく枝を広げた図になっています。定番地色の臙脂は余り使う事がありません。もっぱら黒鼠。その中でも最もオーソドックス配色がこれでした。下染めは定番の濃いめのベージュ。桜では白をメインにした彩色もやっています。その内お客様からの注文でより付加価値の付いたぼかしをと言う事で始めたのが次の写真。下染めは定番の濃いベージュではなく、ブルーに。そして大きく輪を描く様に存在していた枝を下染のブルーを覗かせる事に。出来上がったのはこちら。うねった枝が稲妻の軌跡の様に見えて面白いものになりました。下染めの色を思い切った色にしたのが成功した事例です。お陰さまで現在の注文は全てこちらに。
2011年04月09日
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摺で染める疋田は振袖だけに限らず友禅の定番柄。それでも振袖に使われる事が一番多いかも知れません。工房では十三参りの着物にも多用しています。今回ご紹介する振袖ではバックに使う雪輪と梅の一部に使っています。画像が小さいのでご覧頂いても分かりにくいかも知れません。我が工房の作品としては全体に珍しく甘く軽めの配色です。こういった配色も楽しくていいと思います。松竹梅も振袖の定番柄。色んな形で使っています。松はこの振袖では松葉、竹は笹として。梅は唯一の花ですから、しっかり派手にしています。疋田は濃いグレーですが、派手な赤を疋田に、松葉は全て白にしても良いと思います。こうやって見ると左の袖が寂しい感じがします。次回制作する時は柄を足してやりたいですね。
2011年04月02日
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片身分けなどの染分けは、後姿で作った雛形で色の配置を決めると思わぬ失敗をしてしまいます。後姿の雛形と言うのは衣桁に掛けた状態をそのまま図案にしたもの。後の形だけで格好のいい図案を描いても着物は立体的なものですから、後に隠れた部分まで配置を考えなければなりません。これが分かっていない図案家や悉皆屋さんが仕事を持ってくると職人さんが立ち往生してしまいます。そんな場面に何回か出会った事があります。意味を説明すると分かるのですが。今回、ご紹介する振袖も片身分けの染分け。大きな熨斗目で染分けています。左右の色を分けているのは右肩の熨斗目ですがこの熨斗目の向こう側には臙脂を持っていきたい所なんですが黒でないと無理なんですね。右の胸まで黒が続いているからです。首の後から回ってくる臙脂の部分を右襟で熨斗目の柄を配する事で止めてしまうのです。こう言った片身分けの着物は全ていずれかの襟の部分で染分けしないと成立しません。この写真は薄い部分が白飛びして、良い写真ではありません。ピンクのまだらに見える所は摺疋田。結構手間のかかった振袖です。
2011年02月26日
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枝垂れ桜は振袖の柄では定番中の定番。我が工房にも沢山の枝垂れ桜文様の振袖があります。今回ご紹介するのは下から立上がった桜が枝垂れるというもの。一番人気であった「黒鼠」の地色です。色数は極力少なくしてシンプルな配色になっています。背中の真ん中に柄を付けると帯を合わせるのが難しくなります。色数を減らしてあるのはその為でもあります。ピンクに見える所は摺疋田。勿論、縁は目消しを施し質感を上げています。この柄とそっくりで枝垂れの枝数を可成り増やした豪華版も作りました。そちらの写真は撮らずにいたのでご紹介は出来ませんが、高価にも拘らずよく追加受注がありました。このブログで紹介している振袖は有名小売店でも取り扱っている可能性はありますが、今時珍しい手描きの振袖、遭遇する事は稀です。別注もお受けしていますので遠慮なくお声をお掛け下さいませ。
2011年02月18日
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今回ご紹介するのは個人の別注品。呉服の問屋さんの社長令嬢。柄が決まるまでは紆余曲折がありました。結果的に社長とお嬢様の意見の合作がこれです。臙脂地裾黒ぼかしに宝尽くし文様。地色は臙脂、その上に黒を被せてぼかし上げています。ぼかしも真横に。柄は定番の宝尽くし。背には紋代わりに宝船。近くの柄は省いても良かったかも。とんでもなく目出たい振袖になりました。
2011年01月30日
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「花ぼかし」と言うのは柄の形をぼかしで染め上げて表現したものを表す造語。私が名付けたのですが、小売屋さんから、得意先の製造問屋、職人まで使っています。元々桜や椿の花柄を表現する技法として「花ぼかし」の名を付けたのです。この花ぼかしは圧倒的な人気で、嫌と言うほどコピーが出回りました。コピー商品の常で価格が安いせいかそちらも売れましたが、隣に我が作品を置くとピタリと偽物は売れなくなりました。出来具合の差が歴然としていたからです。ざまを見ろと思ったものですが、今は消えて無くなりました。帯から始まって、絵羽コート、付下、訪問着そして振袖までこの技法で染めています。柄も花柄だけでなく、源氏香や雪輪などシルエットで表現出来るのものは何でも染めました。今回ご紹介する「鈴」の柄も特に評判の良かった柄の一つです。その一つが「大丸取に鈴」ちょっと優しい目の配色で、我が工房では珍しい朱系の赤を使っています。もう一つは大丸の代わりに大鈴で。ちょっと柄をいじくっただけなんですが、こちらも評判でした。これくらい濃い色のぼかしは段差が見えるのですが見事にぼかされています。鈴の花ぼかしは帯でも人気で、今も注文が続いています。
2011年01月07日
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松は着物の柄としては定番ですが、意匠化される柄としてもトップクラス。梅や桜に椿はその最たるものです。松も負けていません。今回ご紹介するのも松を花に見立てた柄です。定番の臙脂色と深緑の組み合わせも染めましたが、ちょっと上品めの地色もよく似合います。派手すぎず落ち着いた赤は「今様色」優しい色が着る人の人格まで高めそうな地色です。もう一つの地色も優しい地色、ちょっとモダンに。グレーと冷たい色の組み合わせはちょっと粋。濃い地色も良いですが、ちょっと薄めの上品な振袖も良いものです。
2010年12月26日
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写真では今時珍しい濃紺に見えますが実際は紫紺に近いと思います。紺地は流行の波からはずれてもう三十年あまり経つでしょうか。紺地、朱地、グリーン地が全ての定番だった時代がありました。昔、和菓子のアンコがとても甘かった時代と同じ頃だったかも知れません。しかし、紺地を所望される方も居られます。非常に個性的でしかも着物の枚数をお持ちの方の中に。それも、明るい目の「花紺」そんな方はその「花紺」を見事に着こなして居られるのだからにくいですね。振袖の中で「紫紺」は人気の地色です。地色は人気でもこの配色には好き嫌いがあると思います。紅型に近い様なこってりとした配色。紫や葡萄色がこの振袖の個性を引き立てています。好き嫌いの激しいこの振袖、貴方は支持派?それとも拒否派?
2010年12月11日
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今回ご紹介するのは大胆な染分け。これです。地色が地味めでも着映えする染め方です。金茶の地色が臙脂色になっても良い物になるでしょう。彩色も非常に個性的な配色でまとめています。普通でない振袖の典型です。染分けの枝垂れ桜の枝を利用して摺疋田が入ります。黄色く見える桜も摺疋田。この摺疋田、机の上での加工なんですが、これだけ面積が広いと非常に難しくなります。この大きさだと普通は型屋さんで板に貼付けてやります。長年の技術でもある訳ですが、机の上でここまでやれる摺疋田の職人さんはもう存在しないかも知れません。左後の部分は疋田の型を送らねばなりません。面積が長め、型を送って繋がないとこの部分は染まらない訳です。工房にある疋田の型はつなぎを作っていないので、この大きさになると不可能になってしまいます。型屋さんがあるので問題はありませんが。
2010年11月21日
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今回ご紹介するのは蝶。工房ではいくつかの蝶の柄を染めています。大小の蝶を所狭しと詰めた柄もありました。しかしこちらはもっとすっきりと柄も少なめですが、一匹づつぼかしを添えました。丸取りぼかしに蝶です。我が得意先では圧倒的に臙脂色がよく売れ次に黒の一歩手前黒鼠なんですが、この柄に関しては臙脂色で染めたのは一枚か二枚だった様に記憶しています。上の写真の地色が一番人気でした。その次に受注が多かったのが下の地色。黒鼠よりずっと薄めで少し青紫気味です。一般に地色の色を合わせる時、単純に近しい色を混ぜて合わせるのですが、我が工房が地染めを依頼しているぼかし屋さんは隠し色を混入して単純でない地色に染め上げます。ですから、出した色見本より良い色になって上がると評判が良いのです。その代りデーターを取る事が不可能なので追加の際に同じ色に染める事が難しいという難点もあります。その皮肉な地色です。実物は写真より薄めです。
2010年11月06日
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今日、見て頂くのは江戸時代の振袖を再現したもの。図案から仕上がる迄大変なコストと時間がかかりますが、こんな振袖を着て頂きたいと切に思います。両褄という形の着物をご存じでしょうか。背筋で柄を反転し上前衽と下前衽が同じ柄で左右対称になっている様式です。今やこんな着物は着る人も作る人もいませんが、染屋としては挑戦してみたいものです。両褄は江戸時代、着物を上に羽織って引きずりながら歩いていた名残。この振袖は両褄ではありませんが、同じ時代の振袖を出来るだけ忠実に再現しました。ただし、当時の様に大きな家紋は付けていません。ご覧下さい。糊で伏せて白く残った場所に素描やぼかしを入れて染上げています。
2010年10月16日
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我が工房は本来古典的な柄しか染めないのですが、時には更紗やモダンな柄も。今回ご覧頂くのはちょっとマンガ的で可愛い柄。乗物をモチーフにしました。楽しい柄でしょう。同じ柄で四つ身にも作った事があります。
2010年09月23日
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着物の柄には沢山の種類があります。全て意匠化されて実物のままと言う訳にはいきません。振袖に使われるのは最近ではモダンな洋花が主流です。最近では浴衣迄同じ様な柄が主流となっています。最近の風潮は「みんなと一緒」。個性的な着物を着ると仲間はずれになる恐怖感があるそうです。しかし、時代は個性を求めています。一人が「かわいい」と言ったら周りが全て「かわいい」を連発するのでは時代から取り残されてしまうのでは。今回ご紹介するのは実物に近い形で、美しく意匠化した菊をご覧頂きます。こちらです。地色は臙脂色。他にも鉛色なども染めました。関東の方ならひねた地色で染め付ければ、良く似合う人が多いのではないかと思います。生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」深い色が心馴染ませる生地です。
2010年09月11日
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鴛鴦は振袖の定番中の定番、それに桜も。工房の作品にその組合わせは四つか五つあるほど。その定番の柄に楓を割り込ませたのが、今回御覧頂く振袖です。実物の地色は深めの臙脂色、霞取りの様な流水は鈍色(にびいろ)生地はいつもの長浜、浜縮緬南久さんの雲影。結構壮観な展開を見せる振袖になっています。こちらはいろ違い。地色はガンメタあるいは烏羽色。流水は藍鼠。晴れやかな明るい配色は着る人に聡明さを与えてくれます。
2010年09月04日
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振袖の素材は多くが古典や花柄に求められます。今回ご紹介するのは、その中では希有な柄。雨と紫陽花。大変珍しい柄です。雨の部分で濃い色は黒に近いグレー。雨を表現するのに点々が入っている部分があります。これが「蝋のタタキ」写真が上手く写っていないのが残念ですが、とっても良い柄です。作家的な作品では友禅と蝋の「たたき」が併用される事は沢山あります。先年お無くなりになった人間国宝の作家さんはこれが得意でした。蝋のたたきとは蝋の吹雪、小粒の溶けた蝋を一面にたたき付ける事から「たたき」と呼ばれています。昔は溶けた蝋を刷毛にひたしてそれを木の棒に叩き付けて生地に振りまいていました。一定の大きさにするのが難しく、大分前からエアーガンを使った物や機械でピアノ線を弾いて生地に定着させる方法が一般的になっています。工房でもエアーガンでやっていましたが、大きな場所を必要とする仕事なので今はやっていません。斜めの線とタタキ、それに黒に近い色とのコンビネーションが話題で受注も多かった柄です。
2010年08月29日
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以前、一枚だけ総友禅の振袖をご紹介しました。「鶴に松竹梅」です。今回、ご紹介するのもこれと同じ総友禅。これ一反にかかる時間はざっと一月。身頃の合い口だけでなく、袖も合わさなくてはいけないので神経をすり減らす振袖です。銘打った「百花」とは大げさですが縞でも五、六十本で千本縞、百ほど縞があれば万筋というが如しです。この振袖は現在工房にサンプル在庫として保存しています。工房に来て頂ければ御覧頂けます。
2010年08月22日
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今日、ご紹介する振袖はちょっと変わっています。線上げにローケツを使ったから。先ずは見て頂きましょう。「松葉色」の地色に線上げの乱菊です。この線は蝋で描き上げたもの。長い線は筒書きでは線が走らないので、筆で描く蝋の線にしました。中太で力感が出るので良い味になっています。普通、こういった蝋の使い方をするのは作家作品に見られます。仮絵羽の状態なので肩の袖付け部分が開け過ぎて見苦しいのは仕方ありません。乱菊の蝋線の先には周囲を目消しした摺疋田が施されています。友禅の菊以外にも、摺疋田を使用。片方に柄を集中させるのは振袖の図案としては定番なんですが、最近は見かけなくなっています。そして色違い。「雌黄」しおうと読みます。この柄、振袖の定番である「黒鼠」や「臙脂色」は一枚も染めませんでした。中間色ばかり。珍しい事です。
2010年08月06日
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定番というものはどんな商品にもあります。今回紹介するのは全てが定番でありながら、未だに魅力を失わない振袖です。柄は枝垂れ桜と蝶。ぼかしは裾の染分け。文字を見るだけで何処にでもありそうです。作品はこれ。枝垂れ桜を左半身だけに寄せてあるのがとても印象的で、この形が消費者に気に入って頂いた様子。地色は黒ではなく、チャコールグレーとも鉛色とも言えそう、裾は臙脂色、下染めはベージュ。この蝶の彩色は少しモダンな現代風ですが、こってり系の配色も喜ばれました。他に地色を臙脂色や黒鼠にしたものも定番として染めています。帯の付近に柄があると帯を合わせにくいのですが、この振袖はそんな悩みはありません。この「本物の振袖」に興味ある方は全国の有名小売店で「西原の振袖」と指定頂くと見つかるかも知れません。どうしても見つからない時は本家のホームページからお問合せ下さい。
2010年07月24日
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「そのろく」で発表した「花ぼかし 雪輪取りに雪輪」は沢山のご注文を頂いた作品です。そのシリーズの柄は数えきれない程ありますが、その中でも一番好きな柄の一つでもあるのが今回ご紹介する「大雪輪散し」ぼかしは刷毛を前後左右に手際良く動かして足を綺麗に染めます。長いぼかし足は美しいものです。所が短い足は別の意味で難しい要素が出てきます。特に柄が入り込んでいる場合は。大きく刷毛を動かせないのでぼかし足を揃えられないからです。雪輪の柄はその代表。その意味で、花ぼかしの振袖の中で一番の職人さん泣かせの困り者がこれです。地色は墨茶。生地は浜縮緬、南久さんの「雲影」雪輪の中には金泥で素描した桜や霞等が。職人さん泣かせが分かるのか、良いものを見る目のある人には好かれてしまう因果な振袖です。
2010年07月15日
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モチーフとして鴛鴦は振袖柄の定番です。そして菖蒲との組合わせもしかり。その組合わせで作った中でもちょっと変わった流れで染め上げたのが今回御覧頂く振袖です。生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」右後袖から後身頃へかけて柄を流すのは振袖の常套手段です。しかし、菖蒲を並べて袈裟取りに配したものは珍しいと思います。そういう意味では珍品になるかも。地色は黒鼠ですが、この色でここまで自然にぼかしてあるのは珍しいと思います。下職さんながら、いつも感心する技術。
2010年07月03日
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暫く、ご無沙汰でした。雑用に振り回されて更新が遅れてしまいました。振袖は一枚の立体的なキャンパス。面白い取り方を使ったり、大胆な構図を考えたり、想像力をかき立ててくれるので職人に取っては本当に楽しい仕事ではあります。モダンな柄は一般受けしないので問屋筋では敬遠されますが、作り手にとっては意欲をそそられる仕事になります。ですから、モダンな意匠の振袖は個人向けが殆どです。古典的な中にも大胆な取り方でモダンさを表現したものもあります。今回の振袖もその一つ。桜を胸肩と裾にぎゅっと詰めこんだ柄になっています。桜の形の中に松、梅、桜や笹などが入っています。ピンクに見える所は赤い濃色で摺った疋田柄。勿論、縁は目消しして質感を上げています。生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」この振袖の地色は「黒鼠」ですが、濃い紫も人気がありました。姪の振袖も濃い紫。他には深い臙脂色も人気色です。この振袖柄は十三参り着物の企画に入れてあります。寸法の変更が自在に出来る十三参りの着物はゆっくりではありますが着々と進んでいます。
2010年06月25日
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手毬、桜は振袖に代表される定番の柄。今回の手毬は一見すると鈴の様でもあります。見て頂く振袖の地色は深い臙脂色ですが、黒鼠地も染めています。どちらかと言うと大人っぽくない配色で、十三参りから次のステップに移行したいお嬢様の振袖です。前回とは大違いですね。生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」深い色が出ます。可愛いでしょう。
2010年06月01日
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一週飛んでしまいました。雑用に追われて時間が取れなかったのですが、儲からなくても忙しい事は良い事です。今日、ご紹介するのは古典的であり乍ら、重厚性とモダンさを兼ね備えた希有な振袖と思います。元々、雑誌に出ていたものを参考に、更に付加価値を加えて完成したものです。地色も種々やりましたが、一番絵になったのが黒鼠地。これです。「遠山に松竹梅の段」文様生地はいつもの浜縮緬、南久さんの「雲影」この振袖は可成り、複雑な工程を経て出来上がっています。それに加え、各工程で神経を尖らせる柄でもあるのです。シルエットに松竹梅の形を取っている事では、柄の糸目とシルエットが混在しているので、柄の伏せ違いが起き易いのです。また、ベージュの下染めを入れる事で生地の伸びが生じます。事前に裏から緻密な鉛筆当たりを入れねばなりません。柄の頂上付近にあるぼかしは当りを取っていません。ぼかし職人さんの勘だけで合い口を合わせているのです。簡単そうですが、極度に熟練された技術のみがなし得る染なのです。肩付近にある梅や裾付近の梅と笹の一部には摺疋田を入れています。当然、普通に彩色するより手間がかかります。最初の考えではベージュの所は無地の予定でした。中途で遠山の素描を入れる事になったのですが、これもこの振袖の質感を上げる事に成功しています。松竹梅の柄を邪魔しないで重厚さを上げてくれました。沢山の困難を乗り越えて染め上がるのですが、手間がかかり過ぎて予価に収めるには辛いものがあります。そのお陰で、割安感があったのか最近での一番人気となりました。この振袖も何代かに渡って着用して欲しいものの一つと言えるでしょう。
2010年05月23日
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手描き友禅でも、飾り付けに刺繍や金彩を施す事もよくあります。我が工房では少なめですが。その金彩でも小紋箔を使って柄を表現する事もあります。それも我が工房では少なめです。しかし、小紋箔ではありませんが、型を使う事は少なくありません。それも疋田の型。細かい絞りの目がつまった柄です。本来は本当の疋田絞りを入れるべきなんですが、工程が複雑になって目玉の飛び出す程の高価なものになってしまいます。疋田絞りの振袖は世間一般に良く見られますが、本来とても高価なもの。中国などの安価な工賃で作られたものだから安いだけ。大変な労力を元に作られた事を忘れてはなりません。細かい本疋田の反物は一反十三メーターを絞るのに一年かかると言います。そんな贅沢な疋田を手軽に使える様にしたのが摺で表現する「摺疋田」型友禅が発明されて直ぐに使われ出した古くからある技法です。その摺疋田をメインにして染められたのが今回ご紹介する振袖、疋田大菊。御覧下さい。煉瓦朱の地色。疋田は色の出方がソフトなのでこれだけの大柄になっても柔らかな印象を与えてくれます。摺疋田の柄の縁は白い部分を同じ色で素描で塗りつぶします。これを「目消し」と言って摺疋田では、これがあるのと無いのでは天と地程の値打ちが違ってきます。この振袖の菊の花びらはこの目消しで表現されています。もう一枚地色違いを御覧下さい。琥珀色の地色です。大柄で迫力ある振袖になっています。これはシリーズ化されて色違いや、椿や桜の柄違いも。
2010年05月08日
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振袖で枝垂れと言うと桜が定番です。実際に美しい枝垂れ桜は絵になります。そんな枝垂れ桜を模して枝垂れ菊を染めたのがこれです。生地は工房でお馴染みの浜縮緬、南久さんの「雲影」地色は「濃色(こきいろ)」と言われる深い紫、大きな丸に染めたのは「京紫」八掛には「蘇枋(すおう)色」上物は花傘をメインに櫛や手毬を配しました。配色違いも染めています。定番の黒鼠地に臙脂色の大丸。枝垂れ菊に薄山吹の配色が映えています。そしてこちらは黒緑地に紅鵜紺の大丸。地色としては少な目の珍しい配色です。概して枝垂れ柄はボリュームがあって、振袖には定番と言える柄行きですが、大きな丸のぼかしと併用するとその迫力は倍加します。
2010年05月02日
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訪問着でも時々見かけられますが、大きく染分けると粋なものです。今回、御覧頂くものも大きく染分けています。この振袖も割と沢山の手法で染められています。大きな桜は金糸目に彩色友禅、写真では無地に見える桜は摺で疋田を。摺疋田の縁は目消しして質感を向上させています。臙脂色の部分と鉄紺の部分を分けている連なった桜は白抜きした所にローケツの堰出し、逆堰と呼ぶ技法で染めています。この部分が一番時間がかかるかも知れません。この振袖は可成り人気の高かった作品で他に二配色の地色違いや柄を変えてお友達の振袖も作りました。可成りの枚数が売れたので御覧になった方が居られるかも知れません。これです。大胆な構図と連なった桜、思い切った配色の大桜と優しい摺疋田が巧く相乗効果を出して良い作品になったと思います。地色の赤い色は現物はもっと深みででしたが、鉄紺はこんなものでしょう。再度、作ってみたい振袖の一つです。
2010年04月23日
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染の技法賭しては知られているだけでも限りない程あります。勿論代表的なのが糸目友禅彩色、手描き友禅の代表ですが手描き友禅そのものを指す場合が殆どです。手描き友禅は糸目を使わない無線友禅、つまり素描やローケツまで含んで語られる事もあります。今回ご紹介する振袖にはそれらだけでなく、着抜友禅という当工房独自の技術も使用しています。染まった色を抜いて違う色を染め付けると言う離れ業です。近年使われ出した含金染料では抜染が効かない事もあって使う事は稀になってきました。染の技の宝庫とも言える振袖がこちら。「竹林にかぐや姫」文様。少し青味の紫、姪の為に作ったものです。袖を詰めて仕立て直しが出来る様に袖は振違いにしてあります。かぐや姫は糸目友禅、竹はローケツと友禅彩色の併用、笹の葉はローケツ、ダンマル、着抜の併用、落ち葉の笹は素描、柄のバックは蝋で伏せてぼかしました。先に作ったものはこちら。緋色地。こちらの振袖はヨーロッパへご旅行。当地で人垣を作った逸品です。こちらの袖は両袖両面に柄付けしてあります。実はこの二つの振袖、業界へは一度も顔見せしていません。緋色地の方を作った時も、手間が掛かり過ぎて追加の注文には応えられなかったからです。たまたま、湯伸し屋さんのお嬢さんが二十歳の時に「売物ではありませんが」と言って参考にお見せしただけなんですが、どうしてもと言う事でお嫁入りしてしまいました。手許に無くなって悲しみの余り作ったのが紫地。姪に預けておけばいつでも呼び返せるという物語の顛末でした。
2010年04月11日
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作家さんになると、糸目糊置きつまり筒描きと彩色友禅を続けてやってしまう方も居られます。そして、稀にローケツ迄やってしまう方も。我が工房は作家ではなく職人ですが、これぐらいは当たり前にやってしまいます。別に大した事ではないので、自慢でもなんでもありません。意欲さえあれば、難しいものではありません。今回の作品は以前に公開した姫人形にも使った染の技法を使っています。それはローケツの堰出し。先ずは振袖を御覧下さい。桜のシルエットの部分は下加工で白抜きで上げてあります。それを蝋を白の外側に置いて、中を黒く染めるのです。これを「蝋の逆堰」と呼んでいます。堰出しの中でも特に注意と技術が要求される場面です。独楽の周りに花がある珍しい図案ですが、お客さまの評判は良かった逸品です。こちらは金友禅。地色は深い臙脂色。生地はいつもの浜縮緬南久さんの雲影です。
2010年04月03日
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我が工房で染めた振袖で一番人気の地色は深い臙脂色。二番目が黒に近い「黒鼠」我が工房が勝手に付けた名前ですが、黒になると留袖臭くなるので、黒の一歩手前。色んな色を混ぜて黒に近い色にしています。ですから、毎回微妙に色は違います。これが手で染める良い所。そんな黒鼠地の振袖です。下染めに鼠色を染めて、柄の下の部分だけぼかして残してあります。結構むつかしいぼかしなんですが、さり気なく目立たない様に。花は黒に対して白を基調に彩色。雪輪は摺疋田で縁は目消し。奇麗な茜色で染めてあります。摺疋田には専門の職人さんがいます。いましたと言うべきかも知れません。プリント振袖の影響を受け、仕事が激減したので暫く音信不通になっています。
2010年03月26日
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着物の職人さんが減りつつあるのはご存じだと思います。その中でもローケツの職人さんは特に減っています。困った事です。ローケツには大きく分けて二つの種類があります。一つは「付立て蝋描き」と言い、熱く溶けた蝋を筆に付けて柄を筆の運筆で描き上げる手法。筆の動きで蝋の厚さが変わり、防染力がそれによって変化します。上から刷毛等で染めると防染力がグラデーションを自然に表現してくれるのです。もう一つは蝋が油性である事を生かして横から染料が染み込まない様にする「堰出し」ローケツを始める人が一番最初にやるものですが、一番腕の差が見える技法でもあります。高度な技術を持つ人が見れば、出来上がりを見ただけで修行年数が分かる程。これは蝋を置いた場所の上からは染めない事が前提。筆で丸を描けば、内側の部分だけ筆や刷毛で染めるやりかた。外側に阿呆、馬鹿と描いても蝋を落とせば何も残りません。そんなローケツの堰出し技法で染めたものがこれです。柄は薔薇を意匠化、モダンな柄にしました。地色も浅葱色。当工房でも珍しい地色です。生地は照りのある緞子。誰でも着られない人を選ぶ振袖です。
2010年03月20日
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今回は「そのく」まさに親御さんにとって振袖の購入は「苦」ですね。特に今日ご紹介する振袖は親御さんにとって大変な負担となります。総友禅ですから、価格は可成り高め。まともな小売屋さんでも二百を超えるのではないかと思います。総友禅と言うのは地色迄彩色する事。彩色だけで三週間ほどかかります。孫の代以上に残して欲しい逸品です。「鶴に松竹梅」文様。お宅のお嬢様に如何ですか?
2010年03月13日
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振袖としては珍しい柄かも知れません。「吊り雛」文様。可愛いので雛人形の一つとして人気が出ているそうです。今回は沢山の地色から二つ御覧頂きます。大きな手毬が主題になっていますが、可愛い吊り雛に人気が集まって沢山の注文を頂きました。例によって、深い臙脂と黒地が一番人気でしたが紫地と金茶地を好む個性派も居られます。手毬の中の薄く吹雪の様になった所は摺疋田を施してあります。先ずは紫地。実物は可成り濃いめです。続いて金茶地。生地は浜縮緬「南久」さんの「雲影」光らずに落着いた色合いが出るので、我が工房の振袖は殆どこの生地を使います。使いづらいと仰る工房もありますが、慣れれば素晴らしい性能を発揮する生地です。可成り高めですが。
2010年03月06日
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本物の振袖とは厚かましい表現である事は重々承知しています。我が工房の作品より手間をかけたり、センスが良かったり優れたものもごまんとあります。ただ、世間に酷いものが多すぎて、我が工房の作品でさえ本物に見える時代なりました。世代を越えて残しておきたいと言うのが、本物の振袖だと思っています。そんな振袖を希求されている方の参考になれば幸いです。今回見て頂くのは当工房でも珍しいモダンな意匠です。桜の柄ですから古典的でないとは言えませんが。これです。肩と裾に桜を散らして地色も肩裾に染分けています。地色も派手さはありませんが、粋で洒落ていると思います。売れる振袖と作りたい振袖はずれている場合があります。この振袖も売れる確率は低いかも知れませんが、作りたい振袖の一つです。
2010年02月27日
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着物業界でぼかしで市場を席巻したのがこの振袖です。言わばエポックメーキングな振袖。御覧になった事があるかも知れません。もちろん、この業界ですからコピー商品は溢れました。しかし、隣にコピーを置くと価格が安くても売れませんでした。深い色合いとぼかしの技術は、素人であるお客さまにも理解出来るだけの差があると言う事です。我が工房では「花ぼかし」と呼んで振袖だけでなく帯、付下、訪問着まで染めて好評を博しました。配色違いも数えきれぬ程。ぼかしで売り場を占める事を知った業界は各手持ちの下職にぼかしの技術向上を促した様です。無地しか染めていなかった引き染め屋さんでも、その技術が向上したのはこの振袖の存在が大きいのです。これです。最も沢山染めた配色で、インクジェットの振袖が席巻する中で未だに注文が来ています。
2010年02月20日
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今回御覧頂く振袖は目にも鮮やかな紫。色名辞典にもこの色を表現する名前はありません。写真では黒に近い色となっていますが、現物は濃くても紫の色目がはっきりしたどちらかと言えば派手な地色です。濃い紫ですが、どちらかと言えば青味。下染めに使った「鴨の羽色」が、柄の縁に覗く蒔きぼかしで染まっています。柄名は「蝶に大花丸」文様。柄としてはかなり大きめですが、この大きさは迫力があります。ちゃらちゃらした振袖群の中に有っては他を従える力強さがあります。ですから着る人を選ぶかも。背の高い深窓の令嬢が着用されるイメージが湧いてきます。元気なヤンキータイプが着られると凄い迫力があるでしょうね。生地は縮緬系統を使うなら古代しか合いません。無地の緞子が最適だと思います。
2010年02月15日
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今回見て頂くのは明治大正期の振袖を復元した物です。型友禅を使い出した走りでしょうか。型を使って色を染めるのではなく、江戸小紋の様に単色で地色設定してあります。現代ではこの型の素材は糊ではなくゴムや蝋を使う事が殆どです。この作品ではゴムを使っています。こういう型を彫るの時は大抵、問屋さんが費用を負担します。しかし、この型はこの振袖にどうしても使いたかったので工房自ら負担して作りました。この振袖は一般受けしない事が分かっていたからです。全く派手さはありませんからね。型屋さんの廃業に寄って、この型は既に消滅しています。廃業が続く制作現場で貴重な財産が失われ続けているのです。元の絵摺が残っているので再現は可能ですが。御覧下さい。とても地味な振袖ですが、振袖群の中に入れば目立つ事間違いないと思います。本当は工房でもこんな振袖を作りたいのです。
2010年02月11日
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我が工房は友禅などの場所を取らない仕事をしていますが、引き染めやぼかしの染は大きな敷地を持った下職の工房に任せています。長さが十六メーターの空間が必要なんです。そのぼかしをしてもらっている工房は京都でもトップの技術を持っているので、今回のぼかしも可能でした。地色は白地の様に見えますが、実際はブルーっぽい銀鼠です。他の配色は濃い紫、臙脂色、黒鼠、金茶など売れ筋の定番でした。蝶の柄の他に鴛鴦も。虹ぼかしの流れももう一柄ありますが。撮影していないので残っていません。
2010年02月06日
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今回御覧頂くのは地色を染分けしたもの。地色は無地の一色ものや裾ぼかしが大半です。しかし、工房では何色かに染分けたものも沢山作っています。殆どが二色の染分けですが、これは三色。縦横に散らばった紐で染分けています。小さな部分には摺疋田も。御覧下さい。白けて見える所が摺疋田です。地色は白緑(びゃくろく)に鉄色、黒鼠。ついでに色違いを。こちらは茜色、黒に近い葡萄色(えびいろ)そして黒に近い鉄紺の三色が地色。
2010年02月01日
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明治以前から振袖は代々子孫に受け継がれるものでした。しかし、ごく最近はそんな風習に堪えられないものが氾濫しています。テレビに出てくる振袖もしかり。こんな振袖しか手に入らなくなった若者が可哀相です。ただ、今時のお嬢様は特出する事を嫌います。一人が「可愛い」と言えば周りのお友達は順に「可愛い」を発します。これから順に紹介する振袖はそんな今風のお嬢様には不向きです。自分だけのお洒落を日本の伝統の中に見い出したいお嬢様に適しています。毎回一枚ずつ不定期に掲載します。お楽しみ下さい。熨斗目の部分で牡丹文様は金糸目の友禅、無地の臙脂色と納戸色の部分はローケツの堰出し技法で染めています。姫人形も金糸目友禅で仕上げてあります。
2010年01月27日
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